"HIGH CUT Vol.287(2018)" ギョンス インタビュー訳
ド・ギョンス ―「ひとつひとつの作品を終えるごとに自分について少しずつ理解が深まっていく。」(2017 青龍映画際 新人俳優賞 <ヒョン>)
_青龍映画際の受賞は俳優ド・ギョンスにとってどんな意味がある?
ギョンス:たった一度しかチャンスがない新人賞を受賞させていただけたことに再度、感謝申し上げたい。僕にとってこの賞は…"とにかく頑張りなさい"という意味なのではないかと思う。もっと熱心に取り組んで素敵な姿をお見せできるように頑張りたい。
_<ヒョン>のなかで最も記憶に残っているシーンは?
ギョンス:視力を失った恐怖に苛まれ、まだ一人では何もできない状態の弟ドゥヨンが、目が見えないにもかかわらず兄貴の元へと駆けだすシーンがある。ドゥヨンがついに兄貴のことを信じ頼って恐れを振り払う瞬間なのだが、ぜひこのシーンを選びたい。
_受賞作<ヒョン>の未公開シーンを撮るとするならばドゥヨンは元気にやっているだろうか?
ギョンス:兄貴の不在を克服し、今では柔道選手として良く過ごしてるんじゃないかな。金メダルも"もう一度"獲ってさ。一人でもたくましく元気に暮らす格好いい男になっていそうだな。
_<7号室>、<ヒョン>、<神と共に>など、感情を表に出すというよりかは少しずつ溜めてここぞという場面で放出するところが新人らしくなくプロフェッショナルだと評価されていたが。
ギョンス:"よし、ここでは感情を抑えておこう" 今でもまだそんなふうに考えながら演技をすることはできない。自然な演技ができるよう周りの方々が本当にたくさん助けてくださった。<神と共に>ではキム・ヨンファ監督が感情的なシーンで的確にディレクションをしてくださったけどただ監督と目を合わせただけでも分かるというか、「ギョンス、ここはこうするか」と言われただけでほとんどを理解できるくらいだった。なんというか俳優と監督だけが分かる気持ち?シグナル?テレパシーのようなものを感じてとても不思議だった。
_一緒に作品を作り上げた俳優や監督たちがみんな、「ド・ギョンスはものすごく大人な性格だ」と言っていたがそんな性格こそが"節制美"の秘訣なの?
ギョンス:ストレスを感じても隠したり抑え込むタイプだ。生まれてこのかた怒ったり感情をむき出しにして大声をあげたことがほとんどない。そういう性格だからか、これまで演じてきたキャラクターとの交点を上手い具合に作ることができたんだと思う。<カート>でヨム・ジョンア先輩に対して大声を上げたのが生まれて初めての経験だった。大声をあげるというのがどういう事かよく分かってなかったけど、あれ以降すこし理解できた気がする。
_感情表現に少しずつ慣れてきたという意味でもあるね。
ギョンス:その通りだ。この前も大声をあげるシーンがあったんだけど。<カート>では怒鳴り散らしたとするならば、最近撮った<100日の朗君様>ではどうすればより怒っているように見えるかについて悩んだ。そして、いちばん不思議だったことといえば<大丈夫、愛だ>の頃。もともと滅多に泣かないタイプなのだが16話の撮影のとき、あまりにも感情移入していて心から号泣した。嗚咽まではいかないにしても僕からすればそれはそれは本当に一番泣いたと言える。初めてだった。悲しくもあったけど、そんな感情を発見できたのがとても不思議だった。意外にスッキリして気分は良かった。
_これまでに演じてきた役柄といえば暗いものが多いが、下半期に公開される<スウィングキッズ>と新ドラマ<100日の朗君様>では少し明るいよね?
ギョンス:僕も本来は明るいよ(笑)無意識のうちにダメージを負ったりしてるかもしれないけど基本的には冗談を言ったりもして明るい性格ではある。これまでに演じてきた役柄のせいもあって知らない人もいるだろうけどそれとは真逆のキャラクターが僕の中にだってある。だから今回の作品はいままでより気楽に演じられたように思う。「ついに俺も明るいキャラクターに出会えた」と思ったし、今までやってこなかった表現の仕方が多くて演じながらも楽しかった。
_新作映画に新ドラマと忙しない第四四半期が過ぎた後はどういった変化がもたらされると思う?
ギョンス:その時にならないと分からないけど、僕はひとつひとつの作品を終えるたびに多くの成長を感じる。今度公開される<スウィングキッズ>の撮影を終えたときにも感じたことがたくさんある。自分の演技についてもそうだし、それから自分自身についても。僕は自分のことをよく理解していると思っているんだけど作品を作りながら自分の知らない一面が垣間見えたとき、不思議でもあるが悦びをも感じるのだ。今回も作品たちを通じて僕の新しい一面を見つけ出して、さらにレベルアップできることを願う。
〔訳:xiu0348〕