秋の養生その弐:清らかな水と空気を
8月7日は立秋でした。
そこからの約90日、11月7日立冬の前日まで、1年の4分の1の期間が秋にあたります。
そして9月23日は、秋の真ん中の秋分でした。
秋分の日を中日とした7日間は、秋の彼岸。
秋の彼岸は、昼と夜の長さがほぼ等しい時期。
太陽が真東から昇り、真西に沈む時期。
秋の彼岸から春の彼岸の時期は、昼の長さ<夜の長さ、の時期です。
最初に載せた「一年を円環で表した図」で言うと、下半分の時期に入ったということです。
夏の潤いが減り、乾燥が増してきたり、あたたかさが減り、冷たさが増えてきていることが、体感できる時期になってきました。
陰陽五行においてこの「秋」をどのように見ているのかについて、「むすびの会」の岡部賢二氏の書かれた「マワリテメクル小宇宙」を参照させていただきながら、紐解いてみたいと思います。
空気が乾燥する秋から冬にかけてが、「肺」の弱りやすい時期になります。
「燥」といって「肺」は乾燥を嫌います。
空気中に湿気が少なくなると、肺や皮膚からどんどん水分が失われるため、水分代謝が悪い場合は、体の砂漠化が進みます。
皮膚がカサついたり、のどの痛みなどがあるときには、適度に部屋を加湿する必要があります。
のどや鼻、肺の粘膜が乾燥すると、病原菌が容易に体内に侵入しやすくなります。
湿度を40%くらいに保つと菌に対する抵抗力が増します。
食べ物では、スナック菓子などの揚げ菓子やクッキーのような焼き菓子が多いと皮膚や肺の砂漠化が進行します。
また、焼肉、焼き魚、フライもの、炒めものが多い場合も、皮膚から潤い成分がなくなっていきます。
ご飯、味噌汁、煮物、おひたし、漬物といった水分をたっぷり含む食事に切りかえると皮膚にツヤや潤いが戻ってきます。
お菓子では蒸したものや、寒天やくずなどで作った水気を含むものがおすすめです。
レンコンや里芋、きのこ類、海藻などのネバネバ成分も「肺」を潤してくれます。
ー「マワリテメクル小宇宙」岡部賢二:著
家の中や、肺の中の空気に清浄さを。
清浄さと潤い。
マスクは、のどや気管や気管支、そして肺の中の空気に潤いを増やします。
竹の持つ清浄さ。
皮膚や、肺や、大腸、リンパなどに潤いを。
寒くなる秋から冬にかけては、入浴で体を温めると、水の循環が良くなり、むくみが取れます。
漢方の入浴剤などで毛穴の掃除をしてあげると、大腸の働きがさらに良くなります。
また、乾布摩擦などで皮膚に刺激を与えると、大腸の働きが活性化します。
生姜湿布で下腹を温めると大腸が動き出し、肺をはじめとした身体中のリンパの流れが整います。
呼吸器にトラブルがあるときも、お腹を温めるのが秘訣です。
反対にお腹にトラブルがあるときは、呼吸法などで肺の働きを高めてあげると大腸の働きを整えることができます。
ー「マワリテメクル小宇宙」岡部賢二:著
温めること。
潤いを増やすこと。
お腹をあたためること。
大腸の働きを助けること。
部屋の空気のケア、皮膚につける衣服、洗濯の仕方、日々の食事の中に秋の養生を取り入れていくための知恵や実践や、そのたまものとしてのプロダクツが、色々なところにありますね。
山からやってきた水が、洗濯機の中を通り、排水口から川へ、海へ流れていく。
その一つ一つのプロセスにどう関わっていくか。
地球の皮膚、水、空気。
私達の皮膚、水、空気。
相似象。
お互いに分かちがたくつながりあった、ひとつひとつを見つめ直していくこと。
これからも養生に関する情報を中心に、季節の節目に合わせてお伝えしていけたらと思います。
text by 冨田貴史