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龍と鳳凰

2023.11.07 07:12

見えないものを信じてはいますが、それが見えたり聴こえたりする力はありません。

本当にあるのかなぁと思ってしまう時もあるのですが、でも時々、「ほら、あるんだよ。」と示してくれるような出来事に出逢います。



20年近く前になると思います。

仕事で遠出した帰り道、独り山あいの温泉に寄りました。

夕方まではまだ間のある午後、目の前に岩山の見える、少し高いところにある露天風呂。

空を眺めていると、左側から流れてきた雲が龍に見えて来ました。

「え!?(嘘?カ…カメラ…携帯…はロッカーか。あ、お風呂で写真はまずいか。)」

そうこうしている間に、龍はどんどんリアルになっていきました。

これは心に焼き付けるしかないと思い、湯船の中で正座して、龍神さまに正対しました。

前足をぐ〜っと抱え上げてこちらを向いた龍神さまは、カーっと眼を見開いて私を見据えて、そしてまた前を向いて右へ流れ始めました。


「龍神さま…ということは、鳳凰も?」

そう思って右の方を見ると、本当に見事な鳳凰(の形をした雲)が、翼を持ち上げて、立派な尾をたなびかせて飛んでいました。

信じられない光景に、誰か…と思って見回しても、露天風呂には一人きり。

鳳凰はゆっくり首を下げ、葉っぱを1枚咥え上げました。

その葉は舟の形になって、鳳凰はそっと舟を送り出しました。

「変革…船出のとき…」

そんなイメージで、独り占めの大パノラマは終わりました。

呆然としていると、露天風呂へ次々と人が入ってきました。

私だけのために用意されたような、不思議な時間でした。


その日から私の人生は激変して…とはいかなかったのですが、節目節目にちゃんと導かれて来たことはわかります。



先週、大切な方が亡くなりました。

生きていらしても亡くなられても、いつもと同じように陽はめぐるのですが、喪失感のようなものはやっぱりある訳で。

一昨日そんな気持ちでぼんやり朝の散歩をしていたら、久しぶりにお空の龍神さまと鳳凰にお会いしました。

そういえば、あの方との縁が深まったとき、あの鳳凰の舟が迎えに来てくれたような感じだったなと思い出しました。

「きっと大丈夫。」「これからの新しいステージを楽しむんだよ♪」と言われているような気がしました。

【(形が流れてしまったし、写真では表せませんが…)左が鳳凰で、右が龍】