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【読みラボ】チームのことだけ考えた。他4冊(2016年1月)

2016.01.31 14:15
ぼくは、常日頃悩んでいた。


なぜ、良い本に出会っても、ひとときの満足感を得て大抵忘れ去ってしまうのだろう。娯楽としてではなく、より知識や行動に繋がる本の読み方ができないのだろうか。


SNSや動画、ゲームにショッピングなど隙間時間を埋めるコンテンツはスマホを開けば無尽蔵に出てくるような時代。日々の流れに忙殺されて、ページをめくることを忘れてしまった本たちは数知れず。そこで、読書によるインプットとアウトプットの習慣を意識的に作るため、これからは月に一度読んだ本の紹介と、そこから得た学び的なものをここに記していきたいと思ったわけであります。


個人的なルールとしてなんとなく、


小説、エッセイ、漫画→kindle

ビジネス、専門書→紙の書籍

雑誌系→dマガジン


という感じで分けて読むように決めている。


dマガジンの凄さについても語りたいところだがそれはまた別の機会にするとして、ビジネス書は要所ごとに繰り返し読んだり、赤ペンを引いたりするために出来る限りリアルな書籍で買っておくようにしている。また大きめの本屋に直接足を運ぶことで、新たな本との出会いやネットサーフィンでは得ることの出来ない知的好奇心への刺激をもらえるのでオススメ。


というわけで、2016年1月に読んだ5冊はこちらです。どうぞ。


1.チームのことだけ、考えた。 / 青野慶久

サイボウズの代表である青野さん自らが、1997年の創業時から今に至るまでの苦悩に満ちた道のりを赤裸々に描いている作品。


経営者の自叙伝は個人的に最も好きなジャンルのひとつ。CA藤田さんの「起業家」やDeNA南場さんの「不格好経営」などはバイブルにしたいほど好きなのだが、いずれも赤裸々に失敗体験や挫折に満ちたストーリーを自分のコトバで語り、ネットビジネス黎明期の歴史を紐解くかのような臨場感で筆が進む。下手な自己啓発本を何冊読むよりも、またどんな分厚いインターネット関連の専門書を読みふけるよりも価値があると思っている。


今やサイボウズといえば、多様な働き方を受け入れる会社として有名だが、はじめはむしろゴリゴリのどベンチャーで、退職率も最大28%にまで達したことがあるそう。経営者としての葛藤、独自のチーム論やマネジメント論、人事制度におけるあらゆるトライアンドエラーを経て、退職率4%、100人100通りの働き方を選べる会社へと変革を遂げたストーリーは非常にドラマチックだ。


昨年、移転した新オフィスに遊びに行かせてもらったこともあるが、遊び心溢れる内装や空間の使い方がまさに多様性を表していて、非常にうらやましくもあり悔しくもあった。

案内してもらったカフェスペース。広すぎる。


現在、自分自身が直面したり抱えている課題やミッションにダイレクトに響いてくる内容ばかりで個人的に今月最も刺さった作品だった。とはいえ、人事に携わっている人のみならず、マネジメントに悩みを抱えている人やチーム・組織づくりに携わっている人なども必読の一冊で間違いなし!



2.WORK RULES!  / ラズロ・ボック

これは昨年話題となった人事界隈ではあまりにも有名な本ですが、今さらながら読了。


人事トップであるラズロ・ボックがGoogleの採用・育成・評価についての背景や仕組みを惜しげもなく述べつつも、それを実際にどう我々が活用していけるのかというところまで体系的にまとめてくれている。ずば抜けた福利厚生や報酬の裏には徹底した仮説、検証を繰り返してGoogleらしさを追求していった背景がある。大事なところにアンダーラインを引いたら真っ赤になるんじゃないか、というくらい常に傍らに置いて迷ったときに目を通したい一冊。


とにかく中身は読んでみて欲しいのですが、最終章でまとめている”自由度の高い環境を手に入れたい人のための10のステップ”を挙げておく。


1.仕事に意味を持たせる

2.人を信用する

3.自分より優秀な人だけを採用する

4.発展的な対話とパフォーマンスのマネジメントを混同しない

5.「2本のテール」に注目する

6.カネを使うべきときは惜しみなく使う

7.報酬は不公平に払う

8.ナッジ-きっかけ作り

9.高まる期待をマネジメントする

10.楽しもう!(そして1に戻って繰り返し)



3.リーダー論 / 高橋みなみ

ご存知AKBグループの総監督、高橋みなみ氏が卒業を間近に控えて発売した初の著書。


かねてより、たかみなのマネジメント能力をどこかでまとめて発表してくれないかと願っていたのだが、それを書籍という形でこのタイミングで出してくるとは憎すぎる。


前田敦子になれないと思ったことが今のたかみなを作ったというエピソードから始まり、リーダーの仕事について5つを挙げて持論を展開し、スピーチのコツまでまとめている内容はまるで25歳のアイドルが書いた本とは思えない。


たかみな曰く、以下の5つがリーダーの仕事である

・メンバーのことを理解する

・ほぐして、つなぐ

・導く

・手本を示す

・任せる


また

リーダーは、言葉で道を示す

太文字になる言葉をイメージする

 

というのは総選挙の圧巻のスピーチを見ていれば納得だ。


“努力は必ず報われる”というコトバの真意についても触れており、


努力は報われないことのほうが多いかもしれないけど、努力をやめないことで、自分も努力したいと思ってもらえる人がいるかもしれない。自分の退路を断ち、希望を与えるために言った

とのこと。すごすぎる。

多分、たかみなはどんな仕事でもどんな組織でも活躍できると思う。



4.ベンチャー魂は消えない / 経沢香保子

26歳でトレンダーズを創業し、2012年には最年少女性上場社長(当時)となった経沢さん。30代で3度の出産を経て、トレンダーズ代表を退き、カラーズという会社を立ち上げて今に至るまでの思いを告白した連載をまとめたkindle限定本。


ベンチャー界隈が集まるイベント「IVS(Infinity Ventures Summit)」内で開催されるピッチコンテスト「Launch Pad」で2015年に見事優勝を果たした「キッズライン」というソーシャルシッティグサービス。


実は当社においても今年から法人契約を行い導入を決めたのだが、それは経沢さんが実現しようとしているビジョンや思い、シェアエコの概念をシッターにも適用し、時代の流れを読んでいるサービス理念に共感したからに他ならない。


“日本にベビーシッターの文化を”


という理念を掲げて走り続けるカラーズのことを、本書を読むことでより応援したくなった。社員の方と話をしていても、ベンチャーマインドが伝わってきて非常に刺激をもらえる。


これから当社でもより利用者が増えるよう呼びかけをしていきたいと思うし、まずは自分自身が機会があるときに率先して使ってみたいと強く思った一冊だった。



5.「好き嫌い」と経営 / 楠木建

優れた経営者の重要な意思決定には、「理屈では割り切れない直観(センス)」が大きく作用しており、その直観を支えているのが経営者個人の好き嫌いなのだという。「良し悪し」ではなく、経営者個人の「好き嫌い」に焦点をあて、その経営者の魅力や戦略の源泉を探るという斬新な切り口の対談をまとめた本。とにかく出演者が豪華すぎる。


大前研一氏から始まり、ライフネット生命の出口氏、日本電産の永守氏、マクドナルドの原田氏、CA藤田氏、星野リゾート星野氏、スタートトゥデイ前澤氏、ファーストリテイリング柳井氏など日本を代表するバラエティ豊かな経営者14名。


「何でも一番が好き」という経営者もいれば、「人との競争が嫌い」という経営者もいたりするなど成功するための考え方や価値観はひとつではないということに気づかされる。


楠木さんと言えば他にも『ストーリーとしての競争戦略』などが有名ですが、非常にユーモア溢れる方で、NewsPicksで連載している『楠木建のキャリア相談』も有料ですがオススメ。


以上。


こうして見ると今月は人事・マネジメント系にやはり寄っていますね。2月はもう少し幅広く攻めていきたいところ。


次回もあることを祈りながら、、おやすみなさい。


【参考】本文中に出てきた他の書籍たち