映画【正欲】

水鏡に映る自分は果たして…

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※ネタバレ含みます

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昨日

朝井リョウさん原作の映画『正欲』を

観てきました。

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映画の内容を

簡単にまとめてあったものが下記です。

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家庭環境や容姿、性的指向など、

自らでは選択することのできないものを

抱えながら生きる人々の現実を

精緻に描き出した作品。

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また上記のあらすじを細かく拾ってみると、

この映画の中では『水』が

キーポイントになっています。

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映画の中で、

「水に性的な魅力を感じる少数性癖者」として

夏子(新垣結衣さん)と

佳道(よしみち/磯村勇斗さん)が登場します。

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夏子と佳道は中学の同級生同士で

この少数性癖による息苦しさを

共に共有していました。

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ですが、

佳道の転校により再び二人は

孤独の一途を歩み始めます。

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大人になってもその孤独を抱え、

ついには自殺を決意した夏子でしたが、

佳道との再会と共に夏子の自殺は

失敗に終わり、二人は再び孤独を

分かち合う生活を始めます。

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お互いに

『(違う世界から)ずっと地球に

留学に来ているみたい…』

と長年の孤独と疎外感を共有しあい、

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せめて、

表面上だけでもこの世界に馴染もうと

二人は結婚し「理解者が側にいる」という

些細な幸せを感じ、生活していました。

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しかし、

奇しくもこの少数性癖さによって

出会った二人はこの少数性癖によって

引き裂かれる運命に至ります….

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この運命が引き裂枯れる様子を

間近で見ている検事・啓喜(ひろき)役として

稲垣吾郎さんが登場します。

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啓喜は、

少数性癖者への非理解はもちろん

妻・子供の意見にも耳を傾けず、

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自分の考えこそ正しいと

思い生きてきた人物のために、

家庭環境は崩壊寸前になってしまいました。

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映画では、

夏子と佳道の二人が葛藤する姿と、

啓喜の理解を示さない姿。

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この「二人 vs 啓喜」の関係が

相反する様子で描かれていました。

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今回私はこの「３人の関係性」

そして「『正欲』というタイトル」から

以下のようなことを感じました。

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『正しい欲とは何なのか？』

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そして、

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『”正しい”と思いたい欲』とは。

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夏子と佳道の一般的には

「正常ではない、正しくない欲」と、

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啓喜の

「自分は一般的で、”正しい”と思いたい欲」

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夏子と佳道は、

「お互いの共通点を認識・受容する」ことで

相手の中にいる「自分の”欲”を肯定」、

生きていても良い理由を見つけていました。

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その二人の姿はまるで

自らが水面に映っている

水鏡(みずかがみ)のよう。

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水に映る自分のような他者を

愛していたのです。

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精神的にも表面的にも孤独だった二人は

お互いの存在によって孤独から

解放されていきます。

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その反対に啓喜は、

精神的にも表面的にも孤独でなかったのに、

次第にどちらも孤独になっていきました。

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啓喜の水鏡には

歪んだ自分だけが

映っていったのです。

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『正しい欲とは何なのか？』

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そして、

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『”正しい”と思いたい欲』とは。

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「正しい欲」とは

誰か一人でも正しいと思ってくれたらそれは

誰がどう感じても当人にとって

正しい欲なのだと思いました。

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「正しい欲」は

一人ではありません。

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「”正しい”と思いたい欲」は

自己完結で始めから一人です。

独りよがりなのでしょう。

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「水鏡」にはこんな意味もあります。

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水がありのままに物の姿を映すように、

物事をよく観察してその真情を見抜き、

人の模範となること。また、その人。

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お互にとっての模範となった

夏子と佳道の水鏡。

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自分が孤独の模範となった

啓喜の水鏡。

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あなた様の

水鏡に映る自分は果たして…

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どんなご様子なのでしょうか。

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あなた様の欲は、

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『正しい欲』ですか？

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それとも

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『”正しい”と思いたい欲』ですか？

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