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日々の印象

[落語] 秋刀魚(さんま)の欠伸(あくび)

2018.09.27 07:56

テン・テン・ツク・テン・テケ・テン・テン・テケ・ツク・テン・シャン・テン・の・スッ・テケ・テン・・・ 

ようこそのお運びでありがとうございます。蒸し暑いとおもったら、寒くなったり、よくわからないお天気でございまして、おりから台風なぞも来てますから、また蒸し暑いのなんのとぼやく声が聞こえそうでございます・・。

 え〜、総裁選で安倍首相が歴史的な続投をしましたとかで、日本中大騒ぎに なっておりまして、どうも、景気のほうはパッとしませんが・・。

スーパーの魚売り場でのお話です・・・ 

 売り子  「せっかく仕入れたサンマがさっぱり売れないねぇ・・」 

主婦A  「ちょっと、店員がなにかぼやいてるわよ・・」 

主婦B  「あら、なにかしら・・?」 

売り子  「なんてこった。今朝から一匹も売れてねえよ・・」 

主婦A  「サンマが売れてないんだって・・」 

主婦B  「そうよねえ、こう蒸し暑くちゃねえ・・・」 

主婦A  「呼び止められられないうちに、向こうに行きましょ・・」 

主婦B  「今日あたりはソ−メンよねえ・・・」 

売り子  「ああ〜あ。またお客が行っちゃったよ・・」 

主 任  「ちょいと、お前さん」 

売り子  「なんです・・?」 

主 任  「お前さんは、さっきから愚痴ばかり言ってるが、それじゃあお客は逃げてくよ」 

売り子  「そうすかねえ・・?」 

主 任  「そうだともよ。お客は愚痴を聞きに来てるんじゃない。

      ショッピングを楽しみに来てるんだな。だから、楽しませなくっちゃいけない」 

売り子  「どうやって楽しませるんです・・?」 

主 任  「そこだ。まず、お客を引き付ける売り口上が必要だ。

      あたしがやってみるから、あとで真似をしてやってみな」 

売り子  「はい、お願いします・・」 

主 任  「さあさあ、お立ち会いだよ。ご用とお急ぎでないお客さま。

ここに取りい出しましたるサンマ。ただのサンマじゃないよ。

いま採りての新鮮でイキのいいサンマだよ。

それだけだったら全国どこにでもある。

このサンマの偉いところは、筑波名産四六のサンマ。

えっ? サンマは山では獲れない?

ご明察! お客さん頭がいいねえ。

山で獲れないサンマが、ここに来ると四六のサンマになる。

四六五六はどこでわかる?

前足が四本、後ろ足が六本・・、

えっ? サンマに足は無い?

はい、その通り! 今日のお客さんは、ほんとにかしこい!!

足は無いけど、眼ならある。尻尾もあるし、ヒレだってあるよ、お立会い。

さあ、ぴんぴんしているこのサンマが一匹たったの50円!!

暑さ対策にサンマの蒲焼きは最高!

刺身にしたって晩酌にピッたし。さあ、買った買った!!」

主婦A  「サンマのお刺身だって・・」 

主婦B  「なんか美味しそうね・・」 

主 任  「・・とまあ、こんなぐあいだ」 

売り子  「なんか無茶苦茶いうてるけど、あたしに出来ますかねえ・・?」 

主 任  「出来るとも、じゃあ、任せたよ」 

売り子  「行っちゃったよ。なんか照れるなあ・・

え〜、お立ち会い・・お立ち会い・・おたち・・」 

おばたりあん  「さっきから立ってるよ・・」 

売り子  「ご用とおお急ぎ・・」 

おばたりあん  「急いでないよ・・」 

売り子  「これは、サンマでござい・・」 

おばたりあん  「見ればわかるよ・・」 

売り子  「イキのいいサンマでござい・・」 

おばたりあん  「くさったサンマを売る店はないよ・・」 

売り子  「富士山のサンマでござい・・」 

おばたりあん  「山でサンマは獲れないよ・・」 

売り子  「お客さん、頭がいい。前足が4本、後ろ足が6本・・」 

おばたりあん  「サンマに足はないよ・・」 

売り子  「お客さんは、はしこい・・」 

おばたりあん  「かしこいだろ・・」 

売り子  「眼と尻尾はあるよ・・」 

おばたりあん  「あたりまえだろ・・」 

売り子  「一匹が50円あるよ・・」 

おばたりあん  「サンマがあくびをしてるよ・・」 

売り子  「そういやあ、口を開けてる・・」


               おたいくつさまで・・