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ドクター・フィールグッド【F's GARDEN -Handle With Care- Vol.13】

2018.10.01 03:00

<F's GARDEN -Handle With Care- 第13回:DAILY HOWL> 

ここ数年、国内外問わずエンターテイメント史に名を残すようなビッグネームの訃報がやけに多い。それとは比較にもならないしょうもない話しだが、これを書いている自分自身も先日心臓の精密検査を何度も受けた。とかく「人の死」について考える時間が最近は多かった。 



『ダウン・バイ・ザ・ジェティ』(SHM-CD/紙ジャケット)

発売中 ¥2,400+税/WPCR-15503



生きるとは抗うこと

それはそう 

つまりロックンロール



モノクロのジャケットが好きだ。ソニック・ユースのGoo、イレイザーヘッドのサントラ、BLANKEY JET CITYのBANG!、バウハウスのいくつかのアルバムやデヴィッド・ボウイの遺作、WITH THE BEATLESやチープ・トリックのファースト、最近のワーナーミュージック作品だとストテンやアリチェンの新譜など、挙げ始めるとキリがない。白と黒/光と闇/生と死のコントラスト、とりわけ死の匂いに自分は強く惹かれる。何故死の匂いに惹かれるのかはわからないが、死を想う事でより強く生きようともがいているのかもしれない。ドクター・フィールグッドの最初の1枚「ダウン・バイ・ザ・ジェティ」、このアルバムジャケットから放たれるヤバさは完璧だと思う。


主観なので異論は全て認めるが、自分の中でロックというのは「ざけんなこのやろう」という気持ちに端を発しているかどうかという部分が大きい。音楽のジャンルではなく精神的な概念に基づいて判断しているので、例えば静かな音楽だろうがそこに挑発的・挑戦的なスピリットを何かしら感じればそれはロックだと思うし、ともすれば昔ながらの伝統を背負い、誰にも真似出来ない作品を黙々と生涯一人で作っている職人のじいさんにだってロックを感じる。逆に音楽のスタイルこそロックでも内容が全く無い、コンドームよりも薄っぺらいラブソングばかり歌っているような連中にはロックの要素は微塵も感じない。


Dr.Feelgood / She Does It Right


それからもうひとつ、ロックンロールという言葉。自分の中でロックンロールの永遠のスタンダードナンバー、あるいはマスターピース的に感じている曲は2曲。ひとつはチャック・ベリーの「ジョニー・B.グッド」。そしてもう1曲はドクター・フィールグッドのこの「シー・ダズ・イット・ライト」。


元を正せばロックンロールはロックよりも古い言葉、まだ打ち込み音楽が無かった時代のダンスミュージック的な側面もあるし、語源を辿ればセックスの事だったり、バカ騒ぎする事を指したりもするので一概には言えない部分もあるが、これも通説とは違い自分の中では先のロック的な概念、すなわち理不尽な世界に抗うために「ざけんなクソが!負けてたまっかよ」と自らを鼓舞するかのような気持ちの上に、軽快に転がりだすリズムやらビートやらが合わさって、アドレナリンが噴き出すような痛快さを感じるかどうかが自分の中の「ロックンロール」としての判断ポイントになっている。


至極簡単に説明させてもらうとドクター・フィールグッドは1970年代のパブ・ロックを代表する最重要バンド。1977年に勃発するUKパンク(セックス・ピストルズ、ダムド、クラッシュ等)の火付け役でパブ・ロックと言う名称は、拡大するロック市場とは真逆に小さなパブで演奏しているバンドの総称。ドクター・フィールグッドの音楽性は後のパンクやガレージ・ロックのムーブメントに多大な影響を与えている。日本でもTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTなどはパブ・ロックの雰囲気やウィルコ・ジョンソンの恐ろしく鋭利なギターカッティングの感じを上手くスタイルに取り入れていたし、リー・ブリローのシンプルで力強いヴォーカルと感電したかのような表情や体を痙攣させるようなパフォーマンスは甲本ヒロトなどにも影響を与えていると言える。


人生が期せずして良い方向へ転がり始めた瞬間や、今からちょっとばかり俺(私)頑張っちゃうぜという時、「シー・ダズ・イット・ライト」のような胸のすくようなロックンロール・ナンバーが頭の中で不意にダンスし始めたら、この文章を書いた甲斐はある。


ドクター・フィールグッド「ダウン・バイ・ザ・ジェティ」。シンプルでシャープな最高のロックンロール・アルバム。あなたの嗅覚ならここへ辿りつくはず。




(おまけ) 

「ジョジョの奇妙な冒険」から紐解く洋楽入門


ヤッダーバァアァァァァアアアアア 

2018.10.5 祝・ジョジョ第5部アニメ化ッ‼ 


覚悟はいいか?俺はできてる 

もう楽しみで楽しみで自分の中の殺人ウイルスを抑えきれません 

というわけで今回は5部からの元ネタをひとつ、ご紹介


第5部「黄金の風」から 

本体名:プロシュート 

スタンド名:ザ・グレイトフル・デッド(偉大なる死) 


プロシュートはギャング組織「パッショーネ」の暗殺チームの一員。原作ではペッシ(スタンド「ビーチ・ボーイ」の使い手)とのコンビで登場。絶大な人気を誇るジョジョにおける3大兄貴の一人で、プロシュートはその命を賭して弟分のペッシに悪の流儀を教える。「ザ・グレイトフル・デッド」の能力は生物を無差別に老化させるガスを放出するというもの。老化させられた対象は身体だけでなく記憶力等も老化、最終的には老衰して死に至る。 ただし、体を氷などで冷やすことにより老化スピードを遅くすることが可能(ペッシはこれを逆手に取り、定期的に氷をかじることで老化を免れていた)。


スタンド名の元ネタはもちろんジェリー・ガルシアを中心に1965年に結成されたロック・グループ「グレイトフル・デッド」だがGrateful(感謝する)という本来の言葉の意味に対し、原作ではGreatful(偉大な)という言葉に意味を置き換えている。なんと言ってもグレイトフル・デッドの”デッド”=”死”という言葉や、アートワークには欠かせない骸骨のイメージなどがインスピレーションになっているのは間違いないだろう。


これは自分なりの考察だが、原作者の荒木先生は人名の方に洋楽ネタを入れていた1~3部くらいまでは最初にキャラがあって、洋楽由来のネーミングを後付けしていたように思う。しかしスタンド名の方に洋楽ネタを仕込み始めた4部以降の殆どは初めに音楽ありきで、その音楽からインスピレーションされたスタンド能力を考えてから、それを具現化しているように思うのだが果たしてどうだろうか。


『(Tシャツ付き限定盤)結成50周年記念 ベスト・オブ・グレイトフル・デッド』



DAILY HOWL 

 ただのジョン・レノン好き