延安の娘
2018.09.29 05:46
延安の娘
2003/12/10
東京都写真美術館ホール
中国、文化大革命の下放についての映画は『牧場人』『シュウシュウの季節』くらいしか観ていない
のですが、このドキュメンタリーで改めてその「事実」について知らされました。
大変興味深いドキュメンタリーです。
過去のつらい事実と向き合うのは実につらい事で、出来るなら自分に都合悪いことは、
忘れてしまいたい・・・しかし、あまりに深い傷をそのまま蓋をして気楽にすごせればいいのか???
下放時代に産まれ、延安にとりのこされた娘、海霞はまさに下放青年たちにとっては
「忘れてしまいたい過去が生きて動いている」ということ。
実の親たちの戸惑い、養父母の面子、もう50代を迎えようとしている下放青年たちの今・・・それをかき乱すものですが、その間に立ってなんとかしようと説得に走り回る黄玉嶺という人の一筋さが、臭いものには蓋をしていい所だけすくって上手く暮らしていくことができない不器用さが、最後に涙ながらにカメラに訴える言葉に表れていて、涙が出ました。
立場や経験は違うけれども、どこの誰にも共通するなにか、を追い続けた監督の技量も素晴らしい。
延安の広大で荒涼とした風景・・・そしてそこで地を耕している人の小ささ・・・映像も編集もとても上手く、ドキュメンタリーで2時間は、常人には出来ないこと。
それが観られただけでも、観にいって正解でした。