GEZANの全感覚祭、タイムテーブル発表。川崎のちどり公園でオールナイトで開催。
「面白さの価値は自分で決めてほしい」というコンセプトで、GEZANが主宰するレーベル十三月が開催してきた野外フェス「全感覚祭」。コロナ禍を経て4年ぶりの今回は、『Road Trip To 全感覚祭』と題して緊急開催されることになった。
タイムテーブルがリリースされ、マヒトゥ・ザ・ピーポーのステートメントも発表された。11月というフェスシーズンの終わりに開催される「全感覚祭」。「全感覚ステージ」、「かちこみステージ」、「セミファイナルジャンキーステージ」という3つのステージで展開されるオールナイトフェス。新たな祭光が感じられる時間になることは間違いない。
マヒトゥ・ザ・ピーポー
11月の現状
11月15日、ラインの返信、電話、電話、電話、誰もいない夜のちどり公園をゆっくり一周歩く。夜露で濡れた芝と風のない潮の香りに深呼吸する。ぼーっとした頭が冴えてきて思いついたこと、気づいたこと、メモする間もなくライン、電話、電話。
もう四日でここに人が集まる。とても信じられない。でも本当。感覚が人を交錯させる。顔も知らない色んな考えの人が集まる。
タバコを吸いながら海を眺める人、今年を振り返りため息をつく人、狂喜乱舞し酔っ払う知ってる顔、知ってる人の知らない顔、セミファイステージのけたたましさに目を細め通りすぎる人、好きなアーティストと乾杯し、撮影→真っ暗で写ってない。祭壇を見つめる海鳥の目の色、タクシーを待つ列とインスタグラムでメッセージ「GEZAN終わったからそろそろ帰るわ~」受付の布の飾りが風に揺れ、汽笛をあげることなく通りすぎる船。ゴミを拾う人の頭上を通りすぎる飛行機、食事しながら着てきすぎたジャケットを脱ぐ人、伸びてくレーザーを受け止める木々が風の歌を歌う。久しぶりに会う仲間、少し肥えた?昔付き合ってた女の人とその人が連れてる新しい彼、飲み干す酒と助長する音楽、立ち上がるわたし、最前列へ急げ。
肌寒くなってくると一年を想う。12/31と1/1の間なんて、別にいつもと変わらない時間が流れてるだけなのにどうしたって間の線を意識してしまう。
九月の終わり、橋の下音楽祭の蔵王でのライブに参加してぶっ飛ばされた。別に助成金が降りてるみたいな大人の事情を飛ばして、ただここの磁場やばいでしょ?という真っ当な理由で豊田から引越し開催し、その純粋な気迫は後効きで真っ赤なパーカーの背中を押したのが10月の頭、それからオライビの別れが届き即日、石になる。ただ、煙を吐いて雲が流れてくのを眺めては増えてくラインの通知もただ人差し指で流してた。きっと捨てられたプラゴミのような濁った目をしてただろうな。こんな時に歌なんか聞いてる場合か、祭なんてどうでもいい。そんな吐き気のする青黒い気分に押しつぶされた夜は一緒にやった演奏の映像をみて朝まで泣いた。
どうして人は集まり、祭をするんだろうね?聞いた話じゃ、太古の壁画には火を囲い祭をしてた絵が残されてるとか。政治や法律なんかができるよりももっと前、宗教や国境線が引かれるよりもずっと前からわたしたちの先祖は音楽を奏でて踊っていた。
タイムテーブル見ればわかると思うけど、今回、歌で朝を迎えて綺麗に収めるとかじゃなくてダンスに託した。土着からバンド、そしてレイヴの流れは近年、自分が本当に救われてきた音楽の軌跡だ。真剣だよ。ネームバリュー集めて即完させるのなんてとても簡単なことで、祈りがそこになくちゃ祭じゃない。どんなに金に困っても音楽は妥協はしない。祭のこと信じてるから。でも普通にチケット買って(笑)
でも金ない奴の気持ちわかるから、チケットの入金流れを整理して売り切れてた券種も今日の21時に追加販売する。でも普通にチケット買って。なぜかって、祭って金かかるんだな。派手に見えてもチケ代高く見えてもフジロックとかそんなのも意外と赤字だったりするんだよ。7000円って健全な値段なのな。今回の総予算は1200万、ソールドしても足りずドリンクでトントンまで追いつく算段。お金の話は野暮に思うかもしれないけど、想いに対する評価だし、来年へ繋がる希望だし、やっぱり言っておかなくちゃ、大事なことだよ。
いいことも悲しいこともあったけど、許せることも許せないこともあるけど今年も終わりに向かってる。わたしはどんな気持ちで迎えるだろう。数字に置き換えれない季節を知ってる。12/31と1/1の間に生まれる十三月という架空の国を知ってる。
戦争なんかする暇ないくらい踊ろう。戦争がもっと嫌いになるくらい隣の知らない人を愛そう。足りてないこともたくさんあるけど、わたしやわたしたちは全力で考えて場所をつくった。あの場所に想像力がやぐらを立てる。それぞれのドキュメントを背負って人が集まる。あとは笑う番だ。瞳の下にため込んだ小さな海が川崎のたゆたう水面に合流する。風になった友達がきっと応えてくれる。
2023番目の風をつかまえて全感覚に問う。生きてるならここで証明しよう。生きてなくてもここで証明しよう。出会うことの意味をここで証明しよう。
待ってる。
開催日:11月18日(土)〜19日(日)
会場:ちどり公園(神奈川県川崎市)
出演:GEZAN、渋さ知らズ、ゆるふわギャング、踊ってばかりの国、切腹ピストルズ、moreru、鎮座DOPENESS、ほか
Ticket : Peatix
※売切になっていた券種の追加販売が15日21時よりスタート。事前募金も募っている。
「厳しい時代ではありますが、入れてもらった気持ちは、わたしたちのエネルギーになります。刺激的な時間や景色が日常につながっていくための新しい時代の祭、何卒宜しくお願い致します」。