NA or PDA?
うれしいことに、ここのところ関西圏のホームティーチャーがここそこで英語ディベートの勉強会を立ち上げています。私もタイミングが合う限り、参加したいと思っているのですが、まぁ基本オンラインをメインに練習しています。
わたしたちがやっている英語ディベートには大きく分けて、「アカデミックディベート」(準備型)と「パーラメンタリーディベート」(即興型)があり、わたしたちが取り組んでいるのは後者、即興型英語ディベートです。
この即興型英語ディベートにはまたいくつかの種類があります。
12月に立ち上げる、ECC生を巻き込んだ英語ディベート練習会は、PDA方式で行います。これは各種あるスタイルの中でも一番あたらしく、かつ日本独特のもので、中学や高校の1時限内に終わらせるにはその他のスタイルでは長すぎるため、コンパクトにまとめたものです。
①PM(肯定側1番手)3分 → ②LO(否定側1番手)3分
→③MG(肯定側2番手)3分 → ④MO(否定側2番手)3分
→⑤LOR(否定側ラスト)2分 → ⑥PMR(肯定側ラスト)2分
という形でディベートが進みます。準備時間は15分です。中高生にやらせるために割としっかりフォーマットが決まっていて、①~④は自チームのポイントを一つずつ出す、②、③、④、⑥はそれぞれ相手チームへの反論をまず行う、POI(敵チームへの質問)はラウンド中いつでも実施出来る、などと手順がくっきり決まっています。最後の⑤と⑥で肯定側と否定側の先攻後攻がひっくり返るのを、素人はよく間違います(笑
中学、高校でパーラメンタリーディベートを取り入れている所はまだまだ少なく、大学になってディベートを始めた場合、NA(ノースアメリカンスタイル)と呼ばれる方式で始めることが一般的です。
①PM(肯定側1番手)7分 → ②LO(否定側1番手)7分
→③MG(肯定側2番手)7分 → ④MO(否定側2番手)7分
→⑤LOR(否定側ラスト)4分 → ⑥PMR(肯定側ラスト)4分
時間はほぼ倍ですよね、これに加えてPDAでは誰がいくつポイントを出す、などと細かく決まっていますが、NAはわりと自由めで、ポイントは3つでも4つでも出してもいいし、逆に一つしか出さずにそれをひたすら深く掘っても構いません。POI(敵チームへの質問)は①~④の場合は最初の一分と最後の一分は不可、また⑤、⑥については一切不可です。
大学生はまず入部するとこのNAスタイルから練習を始め、慣れてきたらBP,Asian,とその時に行われる大会にあわせて移っていきます。そのあたりは東大ディベートの記事に少し書きましたのでよろしければ御覧ください。
では、どのスタイルから練習するのが良いのですか?という話なのですが。中高生に教える場合は、やはりルールがすっきりしているPDAからが良いと思います。まだまだリスニング力もおいつかない中高生がいきなりフリースタイルに飛び込むと、自分が言うのはまだよくても、相手が言っていることを聞き取りにくくなるかもしれません。またいきなり7分喋れと言われても立ち尽くすかもしれません。
なので最初はPDAで、みなで同じフォーマットを使って練習を始めるのがいいだろうと思います。
ではホームティーチャーはどうでしょう?
春にオンラインディベートで練習を始めたときには、そりゃ生徒に教えるならPDAなんだし、PDAがいいんだろう、手元にあるのもPDAの本だし、全然これでいいやと思っていたのですが、オンラインディベートに来られる社会人ディベーターのお一人に、いやいや、英語が話せてエグザンプルもたくさん頭に浮かぶホームティーチャーのみなさんなら、PDAは窮屈よ、というかそっちにまず慣れるべきじゃないと思う、NAスタイルでたくさんアイディアを出したほうが上達早いんじゃない?NAをやり尽くしたあとにPDAもやればいいのよ、とずいぶん強くすすめられ、また社会人のあつまる定例練習でも通常はNAで行われているようでしたので、NAで練習するようになりました。
5ヶ月経った今思うに、これは正解だったと思っています。NAから始めたので、東大合宿でBPにもハードルなく参加できましたし、先日のESUJの練習会(こちらは変則NA,5分→3分というスタイルでしたが)にも同じく障壁を感じず参加出来ました。
PDAより時間が長い分、いろんなアイディアを話せるので、その分反論もたくさん食らって、なるほどこのアーギュメントは話す前には絶対強いと思っていたけど、めっちゃ簡単に切られちゃったな、なんて経験もたくさんできるので、結果的に効率よく練習出来ていると思います。
最初は7分間話し続けるなんてしんどすぎる!と思っていましたが、すぐに慣れましたしね。
もちろん今でも時間がないときは簡単にPDAですませちゃおっか!とか、レクチャーつきのときにも時間ないしPDAで!なんて感じでやったりもしていますが、多分3分を7分に伸ばさなきゃ!と考えるより、7分を3分にするのね!のほうが精神的には楽なんじゃないかなと思います。いやでも実はやってみるとPDAだとちょっと脇道に反れると致命的なぐらい時間が足りなくなるので、PDA難しいな!と思ったりしながらやっていますが、NAから入ってPDAも時々やる、これがホームティーチャーには最適な気がしています。
ちょっと質問されることが多かったのでまとめてみました(笑