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みーちゃん

灯台

2018.09.29 14:48

今だったら言葉にできる気がして。

3.11のとき思ったこと。

そこから変わり続けたようで、

つながっていた道のことも。


地震のあったその瞬間、

わたしは鎌倉の定食屋コバカバで働いていて、

いつものように魚を焼いていた。

地震に驚きながらも、

ガスを止めて、

お客さんを外に誘導して。

そこらじゅうの人がみんな外に出て、

道は人で溢れていた。


ほんとうにいろんなことがあって、

帰りは自転車を借りて帰宅した。

そのあと、

お店の営業をどうするか、

オーナーのうっぽんと電話で話していた。

子どものいるお母さんたちは、

西に避難するか悩んでいて。


わたしはそのとき、

灯台になりたい、と思った。

恐怖がそこら中に渦巻く中、

その渦にのまれるのではなく、

みんなが安心して、我に帰れって、

自分の望みをわかって、動き出せるように。

いつもあるものがいつものようにある。

その風景になりたかった。


そのときはこんなにうまく説明できなかったけど、

「みんなが安心するように、

いつも通り営業したい。

一人でもお弁当なら30個くらい作れるし」

と、伝えた。

うっぽんも、

「おれも営業したいと思ってるんだよね。

家族は避難したいと言ってるけれど」

という話しだった。


そんなこんなで、

お弁当を作って、

店内は自由に使ってもらうことにして、

店を開けることにした。

「家にいると気が滅入るだけだから」

と、他のスタッフも来てくれて、

いっしょにいつものようにご飯を作った。

ぬか床をまわして、

野菜を洗って切って、

体に染み込んだ、いつものリズムが流れ出す。


停電があったから、

冷蔵庫にペットボトルで作った氷を入れて冷やしたり。

レジが開かなくなったり、笑。

なんだかいろいろあったけど。

通りかかったり、

顔を出しに来たみんながホッとするのを見てると、

なんだかとてもうれしかった。

こんなときこそ、

笑顔や笑いが、人を蘇らせる。


二児の母であるスタッフは、

何がほんとかわからない現状に混乱し、

避難するか迷っていた。

「お母さんが安心した気持ちで子育てできることが、いちばん大事だよ」

と、伝えたものの、

誰にも真実がわからない中で決断していく難しさを、滲ませていた。


その数ヶ月前から、

オーガニックの農家のお手伝いもはじめていたので、

そこもいつも通り行って作業していた。

「放射能の影響で、

出荷できるかわからないけどね」と話しながら。

それでも土と野菜の中にいると、

自分に戻れる気がした。


ありがたい気持ちの半面、

人間の作ったもので起きた出来事なのに、

周りの生き物たちは巻き込まれて、

ほんとうに申し訳ないな、と思った。

本で原発がああいうものだと知っていたから、

ついにこの日が来たか、と。

その後も、植物や虫たちが、

ただ生きて死んでいく循環で、

土を浄化していることを思うと、

感謝しかない。


人と地球の関わりを思うと、

やっぱり負荷をかけ過ぎたな、と思う。

人が病気になることで、

体を根本から改善していくように。

地球も自分で調整してるな、と、ときどき思う。

そして子育てと似て、

能力はそのもの自体が持っているから、

余計なことをし過ぎないことが、

とても大事な気がする。


そうやって、これをきっかけに、

それまでずっと抱えてきた、

人という生き物への謎が溢れ出し、

その後の自分を動かしていったんだなー、

と、今となると、気づく。


海外に縁があるなんて、

思ってもみなかったわたしが、

そのあとから急に縁が生まれて。

フランスのエコビレッジで、

パーマカルチャーベースの、

自給自足の生活をしてみたり。

インドの先住民の村で、

自然と神さまとともに暮らす、

昔ながらの生活をさせてもらったり。

インドの聖山のある町で、

神さまを中心とした暮らしをしてみたり。

国内でもやっぱり、

同じような場所で暮らしたり。

大地を再生させる活動に参加したり。


ぐるりと一回りしながら、

やってみたかったことをやり尽くし、

戻ってきて、いまここにいる。


結局のところ、

広い世界の中で、

わたしはものすごくちっぽけで。

でも同時に、

自分以外の者になろうとしなければ、

可能性に満ちた生き物なんだ、

と、わかった。


こだわりがとれて、

ものすごくシンプルなものだけが、

手元に残った。


自分に必要なものは、

あんまりなかったし。

やっぱり子育てと同じで、

余計なことをしなければいいんだな、

って感じが、今はしている。

基本、ナマケモノなので、

なんにもしな過ぎっていう、

むしろそっちが要注意かもしれないけれど。

なにしろ座ってるだけでハッピーだから、笑。


縁あって暮らした場には、いつも、

生きるスキルとともに、

命への「愛」と、

アートのような「表現」があった。


わたしは、

自分が喜びだと思えることで、

人の力になる、

それができたら、うれしい。


空気が秋に変わってくると、

毎日歩いていた、フランスの森を思い出す。

ヨーロッパの秋の風景は、

なんだかロマンチックなんだよね。

たくさんの寄り道がくれた、

想い出というプレゼント。

そういうなにげない出会いを、

大切にしたいな。