今月の輝く!リフォームセールス~「できない」はタブー最善を追求して提案 手厚いフォローと誠実さで年間売上9000万円
今回登場するのは、リフォーム営業歴10年の中島一彦さん。どんな局面でもできないと諦めず、常に最善策を探る誠実な姿勢が顧客から支持されている。
▲サンエキ(神奈川県厚木市)住宅サービス事業部 住宅リフォームグループ 中島一彦さん(35歳)
都内のリフォーム会社勤務を経て、4年前にサンエキへ中途入社。設備交換から大規模リフォームまで幅広く担当する。家では料理をすることも多い。二女の父。
地域に信頼される定期的なフォロー
プロパンガス販売事業から内外装、大型リフォームまで手がけるサンエキ。顧客の困りごとに寄り添う地域密着型のリフォームを展開している。4年前に中途入社した中島さんは、初めは顧客との距離の近さに驚いたという。
「『ちょっと寄っていってよ』とか、『お茶飲んで行って』とか、都内のリフォーム会社にいた時よりも、お客様がフランクに接してくれます」
この関係性が築かれている要因のひとつが、定期的に取り組んでいるOBフォローだ。
工事の7日後と30日後には、必ずフォローの連絡を入れる。また、OB顧客の誕生日には花をプレゼント。花は季節ごとに変え、直接届ける。この訪問は、OB顧客からリフォーム後の話を直接聞ける貴重な機会になっている。
こうした時に、中島さんは、話を聞くだけでなく、リフォームに関するネタを提供するように心がけている。
「以前リフォームしなかったけど気になったところを覚えておきます。次回訪問した時に、『ここに使えそうな商品が今出ていますよ』など、知れたら嬉しいだろうな、という話題を準備していきます」
雑談の中でも、何か困っていないか気にかけている。
すると、顧客の方から「今度はこういうリフォームを考えているよ」と相談してもらえることが多くなった。
話が苦手だからこそ誠実な対応力で勝負
しかし、実は中島さん自身はあがり症で会話に苦手意識がある。だからこそ、言葉には注意を払う。
中島さんは、すぐに「できない」と結論付けない。例えば、顧客の希望を実現するのが難しいと思った時も、ほかに手段がないかを探る。
「梁を受けている柱を抜きたいとの要望でしたが、これまでの経験では無理そうでした。でもお客様には『職人さんや建築士の方と相談して、できる限り実現するように模索します』と話しました」
「できない」と決めつけると、顧客のモチベーションを下げてしまう。かと言って、「なんとかします」と根拠なく言ってしまうのも、できなかった場合に信用を失いかねないため危険だ。
「否定する言葉は極力使いません。もちろん補強を入れると予算がかかるかもと、伝えるべきことは伝えたうえで、解決できる策を探します」
改めて、補強を足すことで柱を抜くプランを提案。最終的に抜かないことになったが、契約に結びついた。
急がば回れのアプローチで即契約
この徹底的に解決策を探す中島さんの姿勢が響き、相見積もりを勝ち抜いたことがある。
子ども1人の3人家族で、キッチンリフォームの依頼。ガスコンロが壊れていて、生活に支障が出て困っていた。しかし、よく話を聞いてみると顧客はキッチンにこだわりたいという思いを持っていた。
競合の2社はスピード重視で、早々にプランと見積もりを提出していたようだった。
一方、中島さんは、顧客が落ち着いてプランニングを考えられるように何とかできないか、と模索した。その時、自社在庫に新古品のビルトインガスコンロがあったことを思い出した。
「一時的に新古品に取り替えて、その間にゆっくりキッチンのプランニングをしませんか?最終的にキッチンの契約をいただけたら、この分はサービスにします」と提案。
すると顧客に非常に喜ばれ、提案はすぐ採用に。翌日には取り付け工事となり、見積もり提出前に「サンエキさんにお願いします!」とキッチンリフォームの契約に至った。
その後、顧客と時間をかけて商品選定ができた。プランが固まるまで3カ月かかったが、LIXILの上位機種リシェルSIに決まり、約200万円の工事となった。じっくりと時間をかけられたことで、顧客の満足感も高まった。
「あの時焦って決めていたら、お客様が本当に納得できるプランになっていなかったかもしれません。金額やスピードよりも、お客様に喜んでもらえるアプローチができるかどうかが、大事だと実感しました」
職人の人柄を話して工事への不安解消
ほかにも、顧客対応の中で中島さんが気にかけているのが、工事に対する不安解消だ。
「リフォームが初めての方は、今後がわからないし、特に職人さんに対して不安を抱かれている方が多いです」
中島さんは、工事の流れを説明する際に、職人の人柄がわかる紹介を加えている。
「40代くらいで、腰の低い職人さんですよ。職人さんって怖いイメージがありますが、感じの良い人です」という具合だ。
初回のヒアリングや見積もり提出時など、折に触れて話す。すると、親近感を持ってもらえたり、「職人さんへのお茶出しってどうしたらいいの?」と職人絡みの質問をしてもらいやすくなる。
「依頼する職人さんは、工事内容が決まった時点である程度限られます。この人かなという方の情報を、事前に話しておきます」
実際に工事が始まれば、現場にいるのは職人だ。この不安をなくせるだけで、顧客のストレスは大きく軽減される。
▲施主にも職人にも、真摯に向き合う中島さんの姿勢が、信頼を生む
立ち会い工事が被らないようにスケジュール
中島さんは内装工事をメインに、設備交換〜大型リフォームまで一気通貫で担当している。昨年の売上は9000万円。5〜600万円規模の工事を、月に2〜3件進行している。
現場をスムーズに進めるために重要なのが現場管理だ。常時工事が重なるため、組み合わせを調整している。
「立ち会い不要な工事と必要な工事を並行させるのが理想です。例えばクロス工事など、初日以降同じ内容が続く現場は職人さんに任せ、その間に自分は立ち会いの必要な在宅現場に向かう。工程を決める時に、できる範囲でコントロールします」
工事内容で優先順位をつけ、訪問するタイミングを決める。その上で、自分が行けなかった場合は手厚いフォローを心がける。職人にはLINEで報告してもらったり、施主への連絡を依頼したりこまめなやりとりを欠かさない。
こうして施主にも職人にも誠実な姿勢で、信頼を得ている中島さん。
「お客様に親しみを持ってもらえるよう、最近は仕事以外の自分の趣味や家族の話を進んでしています。今後はもっと何でも聞いてもらえるような関係性をつくっていきたいです」
▲中島さん愛用のアイテム。スケール、下地探し、ドライバー、カッター、養生に使うマスキングテープ。これらは常に車に積んでいる。現場で気になった場所には、養生を自分で追加することも
工事内容に優先順位をつける
▲工程が決まったら、現場立ち会い日も決めておく。①②のように、同じ工事が続く場合、初日に立ち会い、2日目以降は別の現場へ向かう。こうして複数現場を効率的にまわる
リフォマガ2023年1月号掲載