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はじめましてのショートショート

2018.09.30 05:42

ブロガーズギルド内のオンラインサロン


ショートショートサロンに参加してます^^



小説だけど、特に短いショートショート。


140文字からでも小説と呼べるのだそーだよっ


短くて不思議な物語



課題をこちらにも載せていこうと思いまする🙆





 







2018.09.30



 妥当な値段 










部屋の片隅で積み重なる布、布、布…。





「週末こそは片付けなくちゃ…」









重たい頭を重力に逆らわせるかのように立ち上がり、布の山から一枚取り出す。



なぞるだけで精一杯の毎日では、何かがすり減っていく気がする。








とにかく楽しくてやる気が湧いていた仕事も、最近はどうにも調子が出ない。



価値があると思っていた自分の値段は、本当はいくらなのだろう。









引っ張り出したこの服だって、一生懸命働いたご褒美だった。




お会計を済ませ紙袋のリボンをつかんだ瞬間の、『手に入れた』感覚。





そんな輝きを持っていたこの服は、わたしのものになって一気に市場価値を失ってしまった。手に入れる前は明確に値段がついていたのに。







増え続ける衣服を処分しようと、オークションや古着回収に出すたびに、店を一歩飛び出した物の値段について考える。








私が手に入れたことで、そのものは価値が下がって。







一体なにがしたいんだろう。








努力して掴み取ったものも、その嬉しさも自信も


次の日には隣に置いて、また走っていかなければならない。








盛り上がった分だけ大きくなる空虚感を抱えて、またゼロから作っていかなければ、と。







「しんど…」







逃げたくてもどこに逃げればいいかわからない。


それを辛抱強いと言ってもらえるなら、それでいいのか。






手に取った一枚の布を見つめる。

この子は、私の手を離れたらどこにいくのだろう。





価値を失って使い古されたあげく







ぽいっ





 



だろうか。











『価値がなくなったんじゃないの。あなたの一部になったんだよ。』









どこかから聞こえる声にハッとする。



洋服がしゃべるわけ、ない、よね。







『だって一緒に出かけたあのデートのことは、忘れないでしょう。』