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地域創生の肝はよそ者・若者・バカ者ではない|浪方勇希/西海クリエイティブカンパニー代表取締役社長

2018.10.01 10:44

ポケットマルシェは長崎県西海市の地域商社である株式会社西海クリエイティブカンパニーさんとタッグを組み、西海市の生産者さんのファンを全国につくる取り組みを開始いたしました。(プレスリリース「長崎県西海市、主婦ライターが農家・漁師とタッグ!オンラインマルシェでファンづくり」)



今回は、その提携を結んだ株式会社西海クリエイティブカンパニーの代表取締役社長である浪方勇希さんにインタビューさせていただきました。



ドローンを使った360°VR映像で市内観光スポットを撮影する試みや、主婦ライターを雇用した地元メディア「ばりぐっど」を運営するなど、各種メディアからも引っ張りだこの浪方さん。そんな浪方さんは「地域創生の肝はよそ者・若者・バカ者だとよく言うが、そこに頼りすぎると地域創生は短命に終わってしまう」と語ります。真の地方創生とは何なのか。ご覧ください。

(登録生産者さんの圃場へ行き、野菜を収穫する浪方社長)



▼目指すは補助金に頼らない「自走できる地域商社」

ーー西海クリエイティブカンパニーは様々事業を展開されていますが、そのなかに地元の主婦を雇用した「ばりぐっど」というメディアがあるそうですね。



 はい。「西海のいいね!を集めよう」をコンセプトに、観光やグルメ、移住、生活情報等を集めて紹介しているのが、キュレーションメディア「ばりぐっど」です!主婦ライターは18名おり、市内在住の主婦が毎日記事を発信しています。

また、弊社ではその他西海市の産品を活用した新商品開発をはじめ、既存商品のパッケージデザインや域外への販路拡大といったプロデュース業や電力小売り事業なども行なっていますよ。



ーー西海市では2018年に入って『西海ブランド振興部』も立ち上がったと聞きました。その観点からも今後ますます注目されそうですね。このような事業を行う中で意識されていることはあるのですか?


 

 地方創生が注目される昨今、全国各地で地域商社が設立されています。しかし、その大半は交付金依存や行政的な組織体質から脱却できていないところも珍しくありません。一方で自治体からは、柔軟な発想やスピード感が求められています。

 


そこで当社では、電力小売り事業で経営を安定させ、商品開発や販路拡大、シティプロモーションといった市民からの期待値の高い分野に積極投資できるビジネスモデルを採用することで、自走できる地域商社として成長しようと考えています。



ーーいわば”補助金に頼らない自走モデル”といったところでしょうか。そんな西海クリエイティブカンパニーさんですが今回のポケマルとの協業を行うことになりました。どちらでポケマルを知り、なぜ協業を考えられたのかを教えてください。


 

 実は、これまで漁師さんと協力し販路拡大を行うプロジェクトを進めていたのですが、手数料や商慣習など主に流通の点で課題があり、プロジェクトが頓挫していました。生産者と消費者が直接つながることができれば、流通で頭を悩ませることもないのに…と思っていました。



 また、漁師さんからも「自分の商品がどのような人に届き、どのような表情で食べてもらっているのかわからない」

「収量が整わず、市場に出荷できないため、放流や破棄をせざるを得ない場合も多い」

といった声を多く聞いていました。



そのような時にインターネットでポケマルのサービスを見つけたのですが、ポケマルではそれらの課題や悩みを解消できると思い、お声がけさせていただきました。



▼ポケマルでの受注をスマホ片手に喜ぶ84歳のおばあちゃん



ーー今回の協業によりどのようなことが期待されますでしょうか?

 

 ポケマルと当社の間で西海市の登録生産者さんの販売データを定期的に共有することで、市内一次生産者の販路拡大や市場調査に役立てていこうと考えています。

 これまでは、市場に出荷した後の商品の消費のされ方について生産者は把握できていなかったため、エンドユーザーのニーズや評価を知る機会がありませんでした。



 協業によりそれらを知り、当社を媒介することでマーケティング観点を取り入れ、生産者の所得向上にも繋がることを期待しています。

(協業で販売データの共有なども予定している)



ーー今後が楽しみですね!協業のリリースを発信して1ヶ月ほどが経ちますが、地域や生産者さんに変化はありましたか?

 

 ポケマル史上最高齢になると思われる齢84歳の松永サヨさんという方も出品しているのですが、注文が入る度にスマホ片手に近所に自慢して回っているとお孫さんに聞きました。以前よりも笑顔が増え、活動的になったようです。笑



そのほか、口下手な生産者さんもいらっしゃったのですが、購入者と直接やり取りができることで、商品に対する想いを言葉で表現することができるようになったという方もいらっしゃいます。



野菜でブーケを作って販売している生産者さんなんですが「もっとこのようにするとお客さんも見た目で喜んでくれるのではないか」と言い、気づいたら包装用のリボンを新たに調達していました。笑

(84歳の松永さんはお孫さんにポケマルでの出品サポートをお願いしているという)



 また、リリース後には「私も出品したみたい」という問い合わせが、すでに市内5事業者から届いている状況です。今後も、生産者さんと一緒に、商品の特徴を見える化して、時には創造しながら伴走していきたいと考えています。



▼地方創生の肝は「気づいたらやっていた」という空気感をつくること



ーー伴走しながら商品づくり、素敵ですね。ところで、浪方さんが考える地方創生の肝はどこにあると思われますか?



当社は昨年の12月に行政・金融・民間の合同出資によって設立された地域商社です。形態やビジネスモデルの特徴もあり、幸いにも域内外から注目いただく機会が多くございました。



しかしながら、私自身の考えでいうと、地域活性化の肝が当社であってはならないと考えています。当社は、事業を創り育てますが、それを活かすのは地元企業や市民の皆さんであると思っています。



地方創生の肝は、熱意ある誰かが頑張るでも、バズるネタを考えることでもなく、ポジティブなコミュニティをつくり、気づいたら地元の人たちが勝手に色々やってた、というような空気感をつくることだと考えています。


そのひとつとしてポケマルを活用させていただき、いままで市内の一次生産者の皆さんが見ることのできなかったエンドユーザーの表情やリアクションを見える化することで内発的動機に訴えかけ、気づいたら出品者たちが勝手に色々やってた、というような瞬間がつくれたら良いと思っています。

 

ーー肝は現場の方々が自発的に動くことですね。では最後に今後この取り組みをどのように広げていきたいとお考えかを教えてください。

(浪方社長は自ら現場にも訪れ生産者さんと会話しているそうだ)


 当社を媒介し出品された生産者さんの商品はいずれも、No1もしくはOnly1の特徴を持った商品です。域外の方々には、西海市の産品に触れ風土を知っていただき、生産者とのコミュニケーションを楽しんでもらいたいです。



 他方、西海市は交通インフラが弱く、特に高齢者では買い物コストの高い現状があると認識しています。市内高齢者にポケットマルシェがインストールされた端末を配布し、ポケットマルシェを利用することでQOLが向上する取り組みができたら面白いと考えていたりします。



 地域創生の肝はよそ者・若者・バカ者だと聞きます。確かにその側面はあるかと思いますが、そこに頼りすぎると地域創生は短命に終わってしまうと思っています。「いかに、現場の方がモチベーションもって行動するか。」これからもここを意識して事業を展開していきたいですね。


【行政・企業・団体の皆さま】
地域 x ポケットマルシェの「食」マーケティングを考えてみませんか?

地方創生のかけ声が各所から聞こえてくる昨今、一番の地域資源である「食」をテーマとした取り組みは様々行われています。ブランディングのwebサイトの立ち上げ、産直市場の開設、生産者向け勉強会の開催・・・、それらはどういった成果につながっていますでしょうか。

私たちポケットマルシェは、生産者が主役となり、長期的・自律的に活動することで、地域のファンが育っていくためのマーケティング施策を地域とともにご一緒しています。

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