最近多い「このビッグデータ、どうしようか?」という質問。
最近、よく質問を受けるのが「うちには〇〇のデータが数万件あり、ビッグデータとしてどう活用しようか悩んでいるんです」、もしくは「このデータによると、〇〇という兆候があるため、△を売り出したいと思っています。しかし本当に流行るのかわかりません」
最近企業さまと話していると、このようにデータの活用で悩まれている企業さまが非常に多いと感じる。
たしかに、この数年でデータ蓄積の重要性は広く認知されている。きちんとトラッキングを取ることで圧倒的にマーケティングセールスにも差をつけることができるし、ときには強い販売力強化もできる。
しかしながら、多くのデータを手にしても、実際はなかなかそれを有効活用する手立てがないことも往々にしてある。
またそのデータ動向を基に何かの新規商品を売り出してみても、さっぱり売上が上がらない時もある。
2009年にNokiaは、携帯市場で相当数のシェアをとっていた。Nokiaの製造する携帯電話はその当時、最先端であり、またもっともメジャーな携帯メーカーだった。
2009年、アップルがiPhoneを発売した時から、スマホの時代を迎え、我々の生活は大きく劇的に変わった。
しかしなかには、その販売当時、スマホを懐疑的に見ていた人も多くいた。過去のデータをみても、「スマホ」というものは存在しない。いくらデータを見ても、本質的なニーズを掴みとることができない。
結局、Nokiaはその過去の膨大なデータから「これは流行らない」と判断し、スマホ開発を後回しにした。
現在、Nokiaの携帯売上は、見る影もない。
シックデータという概念がある。訳すと「濃いデータ」。これは、実際の現場、ユーザーのニーズを実際に聞いたリアルな声としてのデータだ。数量的には大きくはないが、ひとつひとつの声を丁寧に聞き、その生活スタイルや商品の訴求力などを、足を使って丁寧に取るデータのことをいう。
このシックデータは、ビッグデータから取れないリアルな声を拾うことができる。表面的なデータ動向ではわからない生の声を聞き、はたしてそれが本当にユーザーに刺さるのかどうかを判断するものだ。
おそらくわりと多くの人がビッグデータを基にしたアプローチに対して違和感を感じることがあるのではないだろうか。
たとえば上司から過去データを基にしたアプローチを勧められ、強烈な違和感を感じたことなど。わかりやすく言えば、「現場は違うのにな。ユーザーは違うのにな」
Netflixは、このビッグデータとシックデータを上手く掛け合わせ、大きな成長を遂げることができた。
彼らは、今までのユーザーの蓄積データだけではなく、民俗学者などの有識者からの協力を得てシックデータを取り、今の高品質のアルゴリズムを開発した。
逆に言えば、このシックデータがなければ、今のように絶好調なNetflixは、存在してなかったのかもしれない。
膨大なデータだけではなく、現場の声を拾い上げ、そこを上手くミックスさせることで、新しいイノベーションが生まれるかもしれない。