Day 6 (2) ベルヴェデーレ宮のクリムト・映画『Before Sunrise』 ロケ地へ
夕方の混雑したトラムに揺られながら、ヴェルヴェデーレ宮、オーストリア絵画館に到着しました。ヴェルヴェデーレ、それは「美しい景色」を意味する言葉だそうです。ただもう夕方で、時間がなかったので庭園まで散策できなかったことは心残りです。
ヴェルヴェデーレ宮(Belvedere Palace)には、オーストリアの象徴的な画家、グスタフ・クリムトの最も有名な作品「接吻(Der Kuss)」が展示されています。また、エゴン・シーレやオスカー・ココシュカといった他の重要なオーストリア画家の作品も鑑賞できます。
しかし、時間はもう夕方の17時を回っていました。夕食の時間も考慮しなければならず、私たちの美術鑑賞はわずか30分という短いものとなりました。目指すはクリムトの「接吻」!
宮殿の大理石が白く輝く階段を上がりながら、期待が高まってきました。そして、美術館の入り口をくぐると、息を呑むような壮麗な天井画が目に飛び込んできました。豪華な装飾と天井の高さに、思わずうっとりと見上げてしまいます。その瞬間、美術館の魅力にすっかり引き込まれてしまいました。まるで歴史のページが、色鮮やかに目の前で開かれたかのようです。
限られた時間の中で、私はクリムトの展示へと向かわねば!しかし、さまざまな魅力的な絵画が目に留まります。美術史美術館で見た宗教画や暗めのトーンの作品とは異なり、ここには明るく、現代的な、生命感あふれる絵が並んでいました。ああ、もっと時間があったら。また、オーストリアの旅をアンコールするかもしれません!
やがてクリムトの展示にたどり着くと、クリムトの最高傑作をリアルで見ている幸せを実感しました。
グスタフ・クリムトの「接吻」。東京で開催されたクリムト展では見られなかったこの作品の前に立ち、私の中でのクリムトに対する印象が劇的に一新されるような感覚に襲われました。画面全体を覆う金箔の輝きは宝石のように!
金箔を多用した「黄金様式」と呼ばれるクリムト特有の色彩の魔法は、まるで富と繁栄の波動が周囲に満ち溢れているようでした。その作品の前に立つと、クリムトが作品に込めた情熱と芸術的な豊かさが、見る者の心に直接語りかけてくるようです。
画面の中で、恋人たちが織り成す深い愛の表現は、黄金の光の中で、彼らの永遠の瞬間を刻んでいるかのようです。この幸せの瞬間を永遠に封じ込めたクリムトの技巧には、ただニヤリとするしかありません。少し羨ましくも感じました。
そして、意外な発見がありました。それはクリムトの描いた、思いがけず可愛らしいお花の絵。お花の配置が際立って個性的で、まるで巨匠の遊び心を感じさせるよう。その絵がまるでインスタグラムの投稿のような正方形の形状をしていることもユニークです。この構図は、対象を限定された空間に閉じ込めることで、鑑賞者に対して独自の視覚体験を提供すると言われているようです。たしかに、この絵の前に立つと、まるで自分だけの秘密の庭園を覗いているような、特別な感覚に包まれました。
ということで、クリムトの「接吻」ではなく、この花柄のデザインをあしらったTシャツをお土産に選びました。気に入りすぎて毎週着用し、ヴィエナを思い出しています。
帰りの日から、早速着用しました。そして空港で、クリムトのポストカードを購入。部屋に飾っています。
クリムトの「接吻」は、シンプルながらも印象的な黒のフレームに収められていました。そのため、私は同じ黒色のフレームを選びました。たった199円のIKEAのプロダクトではありますが、中身が素晴らしいと、外枠はどうでも良くなってしまいますね。やはり、クリムトの作品はその存在感ですべてを圧倒するのです。
さて旅行中に戻ります。記憶に残りすぎる美術館のはしごのあと、私たちのウィーンでの時間も残り少なくなってきました。翌朝は早朝から空港に向かう予定なので、そろそろ夕食の時間です。
私はこのタイミングで添乗員さんに「カフェ・シュペールへ行こうと思っています」と伝えると、「では一緒に行きましょうか?」と、言ってくださいました! 夕食場所をまだ決めていなかった他の7名も、一緒にカフェ・シュペールへ行くことになりました。なんとなく、この流れを予感していた私は、最後の瞬間まで敢えて申告を控えていたのです。(笑)
添乗員さんは、カフェ・シュペールを、視察として訪れたいと思っていたそうです。私の提案が添乗員さんにとっても都合が良かったようで、まさにWin-Winの状況となりました。
トラムの駅を調べることも、Googleマップを立ち上げることもなく、私たちは添乗員さんについて行くだけでした。この日は携帯の充電器を持ってくるのを忘れてしまい、ランチの時にそのことを添乗員さんに話していたこともあって、もしかしたら、添乗員さんがそんな小さな心配事まで気にかけてくれたのかもしれません。お陰で写真やビデオ撮影もしながら、1日中iPhoneの充電が持ちました。
ナッシュマルクトから10分程度歩き、ついに私たちは、1880年の創業されたカフェ・シュペールに到着しました。
私は当初、「ウィーンに行く」と思っていましたが、英会話レッスンで、それは「Vienna」でしょと言い換えられた瞬間、『Before Sunrise』の映画のことが頭に浮かびました。それは突然、私の旅が新たな意味を帯びたような感覚でした。母が計画した旅行であったにも関わらず、この偶然の発見は、まるで自分自身のための冒険のように感じられました。
その時期、私はちょうどKindle本を制作していて、その本は『Before Sunrise』へのオマージュとして、脚本風に構成されていました。この映画への深い愛情を胸に、私はその物語を新たな形で再解釈し、読者に届けようとしていたのです。だから、まさにViennaで『Before Sunrise』のロケ地を訪れることになるとは、まるで運命のように感じられました。
この偶然の一致には、未来が何らかの形で既に決まっていたかのような不思議な感覚に襲われました。まるで、私の旅が映画のストーリーラインに沿って進んでいるような! カフェ・シュペールに足を踏み入れた瞬間、その場所が映画のシーンを超えて、私の人生の一部となりました。
この映画は、20代の男女が偶然電車で出会い、一緒にViennaで過ごすというストーリーは、私にとってもっとも愛する作品の一つです。
スマートフォンもない時代の作品で、彼らは濃密な一日を共に過ごした後、連絡先を交換することなく、半年後にViennaで再会するという曖昧な約束を残して別れます。
その中でも、カフェ・シュペールでのシーンは特に印象深いもの。彼らがお互いの友人に電話をするふりをして、お互いの印象を語り合う、その印象的なシーンがこのカフェで撮影されました。どれくらいそのシーンが好きかというと、10年前にこの映画のスクリプトをペーパーバックで購入したのですが、英国人の先生と共にレッスンでそのシーンを再現したこともあります。
そんなロケ地に、実際に足を踏み入れることができるなんて!私の中では、まるで夢のような瞬間でした。
地元の人々に愛されていることが一目でわかるカフェ・シュペールでは、メニューの多様性と手頃な価格設定が、そのローカルな魅力を物語っていました。
私たちが到着したとき、驚くべきことに入口近くのテーブルがちょうど8名用に準備されており、「予約席」という札が掲げられていました。添乗員さんが予約の手配をした形跡もなく、この偶然の完璧なタイミングに、私たちは思わず笑顔になりました。まるで、私たちの訪問が運命づけられていたかのようです。
メニューをじっくり眺めながら、私はイタリアントーストを選びました。これまでの旅行で重たいお肉料理を楽しんできたため、カジュアルフードが恋しくなっていました。このカフェのメニューには、そんな私の望みを叶えるようなライトミールが並んでいて、安心感に包まれました。
カフェの中は、映画で見た通りの趣きがあり、アンティークな照明や家具たちが、この場所の歴史と物語を物語っています。
さて、イタリアントーストが到着しました。
注文したイタリアントーストは、見た目以上の美味しさを秘めていました。これは単なるピザトーストではなく、サクッと香ばしいトーストの食感と、トマトペーストの酸味、チーズのクリーミーさ、そしてピクルスのほんのりとした酸味が、口の中で完璧なハーモニーを奏でていました。一口噛むごとに、その安定した美味しさが広がり、ハプスブルク家だけでなく、ローカルなヴィエナにも興味が湧いてきました。
そして、いよいよカフェ&ケーキです。また「メランジュ」をオーダーしました。いろいろなカフェで、味が違うというので、ここはどうでしょうか?
とても深い味わいと香り高いコーヒーで、豊かな風味が口の中で広がりました。オーストリアを何度も訪れている添乗員さんも、このコーヒーの美味しさには大絶賛。「おいしい!」いただきました! この瞬間、やはり本当に美味しいものは、地元の人々に愛される場所でこそ見つかるのだと改めて感じました。まるで、ウィーンの生活そのものに溶け込んだかのような感覚は嬉しいです。
ハイライトはチーズケーキでした!私の席からは、ケーキのショーケースがちょうど見えていて、ラスト一つとなっていたチーズケーキを目ざとく見つけ、迷わずオーダーしました。スフレのような軽やかさと、まろやかなチーズの風味が絶妙に融合していて、ガトーショコラで少々疲れた舌にはまさに極上の味わいでした。ふわふわとした口溶けの良さと、ほのかな甘さが、私の心を一瞬で虜にしました。
私が感動のあまり「美味しい!」と声を上げると、母が旅行中にお友達になったマダムから「一口いただけますか?」という声がかかりました。喜んで少し分けてあげると、彼女の顔にも満足の笑みがこぼれていました。ウィーンの甘美な記憶として私の心に永遠に残り続けるでしょう!また食べに行く!(笑) (食レポは、YouTube動画をご覧ください)
まさか、このウィーンでの旅が、この素敵なカフェでのひとときで完結するとは思ってもみませんでした。
そしてまたトラムに乗り、「高級スーパー」と添乗員さんがおっしゃる場所で、コーヒー豆やチョコレートをお土産として購入。最後のトラムは、ホテルの最寄りの駅までです。
私たち団体がトラムに乗り込んだ時、若い男性がすぐに席を譲ってくれました。70代のグループにとってありがたいことでした! この日は本当に濃厚な経験でしたから。
まずはシェーンブルン宮殿の豪華な美しさに感動し、次に世界で最も美しいと称される美術史美術館のカフェで優雅な時間を過ごしました。そして、ベルヴェデーレ宮でグスタフ・クリムトの魅惑的な作品に心を奪われ、最後はカフェ・シュペールで、美味しいカフェとデザートと共に、1880年代にタイムスリップしました。
自由時間をどう過ごすのか?と、旅行前には少し不安になっていましたが、添乗員さんはフリープランの時間にも付き添ってくださり、私たちの旅をサポートしてくださいました。そして、最後は私のリクエストであるカフェ・シュペールへも付き添ってください、私にとっての旅のハイライトとなりました。そういえば、音楽の都のストリートピアノを1度も観ることがありませんでした。(笑)
翌朝は、モーニングブッフェの代わりにホテルがサンドイッチと果物を用意してくださいました。添乗員さんがそれをカートに載せて、お弁当屋さんのように配っており、本当に至れり尽くせりで有り難いです。
空港に着いて、チェックインを機械で済ませた後、私たちはカウンターが開くのを待っていました。とうとう、この旅で出会った仲間たちとのお別れの時がやってきました。そこで驚いたことに、旅の最後にして初めて、母が親しくなった皆さんと苗字だけの自己紹介が行われました。旅の間ずっと、お互いの名前さえ交わさないままでいたのですから、なんとも不思議なことです。
70代にとって、別れ際にSNSでつながるというのはほぼないでしょう。しかし、母が旅の最後に、ユーロが足りずに建て替えてもらったお金を日本円でお友達になった方に返す機会がありました。その際に、住所を紙に書いてお渡ししました。まさにアナログなやり取りですが、これが70代のつながり方です。
アムステルダム空港での乗り継ぎ時には、もう一度みんなでお話する機会があり、最終的に成田空港で本当のお別れとなりました。私も母と帰る場所は違いますから、成田で解散です。
この日の夜、私の予定にはジャン・ロンドーのチェンバロリサイタルが組み込まれていました。偶然にも母も、同じ上野の芸術劇場でバレエ鑑賞を予定していたのです。しかし、母は疲れからか喉の調子が悪くなり、バレエ鑑賞をキャンセルせざるを得なくなりました。
一方、私は無事にジャン・ロンドーのチェンバロリサイタルへと向かいました。上野芸術劇場は厳粛な雰囲気に包まれており、警察の存在が目立っていました。驚いたことに、バレエの公演には天皇皇后両陛下がご観覧されていたのです。
最前列でジャン・ロンドーの演奏を堪能しました。プログラムにはウィーンで生まれた作曲家、モーツァルトの曲も含まれていました。まるでウィーン旅行の延長のような感覚で、その素晴らしい音楽に心を奪われました。この経験については、私のもう一つのブログに詳しく記してあります。まさに、この日記の続きのような形で、ウィーンの魔法は音楽を通じてまだ続いていたのです。
帰国してから2週間が経過したある日、母から喜びの電話がありました。驚くべきことに、旅行中に仲良くなったマダムから、手書きのお手紙と写真が届いたそうです!そのお手紙を通じて初めて、彼女が名古屋の方であることを知ったのだとか。旅の素晴らしい余韻ですね。
私自身も、帰国後1ヶ月を費やして、YouTubeの編集と旅行記の作成に没頭しました。この旅は、パソコンの電源を忘れたことがきっかけで、後日まとめて記憶をアウトプットする必要性が生まれたのですが、その間にChatGPTの有料版が進化していました。この新しいツールのおかげで、私の記事の品質をさらに向上させることができ、より臨場感あふれる文章で綴ることが可能になって、まるで、チェコ・オーストリアの旅をもう一度体験しているかのような感覚です。ChatCPTで英訳もして、いつものオンラインの先生にも旅の思い出をシェアすることもできました。
この旅行は、何度もアンコールを求めるほどに楽しいものでした。まるで、私の感性が新たな次元に到達したかのように、旅の一つ一つの瞬間を新鮮で豊かなものとして感じ取ることができました。パンデミックによる長い待機期間が、私の心と感性をより鋭敏にし、美しいものへの感謝を深めたのかもしれません。ウィーンでの体験は、私の生活に新たな色彩と深みを加え、これからの創造において、新しい境地へと誘ってくれることでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。(完)
Day 6 (2) Visit to the Belvedere Palace for Klimt & the filming location of 'Before Sunrise
In the evening, swaying on a crowded tram, we arrived at the Belvedere Palace, the Austrian Gallery of Art. Belvedere means "beautiful view" in Italian. Regrettably, it was already late in the evening and we didn't have time to stroll through the gardens.
At the Belvedere Palace, you can see 'The Kiss (Der Kuss),' the most famous work of Austria's iconic artist, Gustav Klimt. You can also admire works by other important Austrian artists like Egon Schiele and Oskar Kokoschka.
However, it was already past 5:00 PM. Considering dinner time, our art appreciation was limited to a brief 30 minutes. Our goal was Klimt's 'The Kiss'!
As we ascended the palace's shining marble staircase, anticipation grew. Entering the museum, a breathtaking ceiling painting caught our eye. We were mesmerized by the luxurious decorations and the height of the ceiling. In that moment, we were completely drawn into the charm of the museum, as if a page of history had vividly opened before us.
In our limited time, we hurried to the Klimt exhibit. However, various attractive paintings caught our eye. Unlike the religious and darker-toned paintings seen at the Museum of Art History, here were bright, modern, and vibrant paintings. If only we had more time. Maybe we'll encore our Austria trip!
Finally reaching the Klimt exhibit, I felt the joy of seeing his masterpiece in real life.
Gustav Klimt's 'The Kiss'. Standing in front of this piece, not seen in the Klimt exhibition in Tokyo, my impression of Klimt dramatically transformed. The entire painting, covered in gold leaf, shimmered like jewels!
Klimt's unique 'Golden Style', characterized by the extensive use of gold leaf, seemed to radiate waves of wealth and prosperity. Standing in front of the painting, Klimt's passion and artistic richness seemed to speak directly to the viewer's heart.
In the painting, the deep expression of love between the lovers, enveloped in golden light, seemed to etch their eternal moment. Klimt's skill in capturing this moment of happiness left me with nothing but a smirk. I felt a bit envious.
Then, there was an unexpected discovery. It was a surprisingly cute floral painting by Klimt. The arrangement of the flowers was strikingly unique, almost as if showcasing the master's playful spirit. It's also unique that this painting was in the shape of a square, much like an Instagram post. This composition is said to offer a unique visual experience to the viewer by confining the subject within a limited space. Indeed, standing in front of this painting, I felt enveloped in a special sensation, as if peeking into my own secret garden.
So, instead of 'The Kiss' by Klimt, I chose a T-shirt adorned with this floral design as a souvenir. I like it so much that I wear it every week, reminiscing about Vienna.
I started wearing it right from the day of return. At the airport, I purchased a Klimt postcard, which I now have displayed in my room.
Klimt's 'The Kiss' was framed in a simple yet impressive black frame. Therefore, I chose a black frame as well. Even though it's just a 199 yen product from IKEA, when the content is wonderful, the frame doesn't matter much. Indeed, Klimt's work overwhelms everything with its presence.
Now, back to our journey. After an unforgettable museum-hopping, our time in Vienna was coming to an end. We had to head to the airport early the next morning, so it was soon time for dinner.
When I mentioned to the tour guide that I was thinking of going to Café Sperl, she suggested, "Shall we go together?" The other seven members who hadn't decided on a place for dinner yet also joined us to Café Sperl. I had a hunch this would happen and deliberately held back my suggestion until the last moment. (laughs)
The tour guide wanted to visit Café Sperl as part of her inspection. My suggestion turned out to be convenient for her as well, creating a Win-Win situation.
Without having to check the tram station or open Google Maps, we simply followed our tour guide. I had forgotten to bring my phone charger that day and had mentioned it to the guide during lunch, so maybe she was even mindful of that little concern. Thanks to her, my iPhone's battery lasted all day, even with taking photos and videos.
After about a ten-minute walk from the Naschmarkt, we finally arrived at Café Sperl, established in 1880.
Initially, when I thought of going to "Vienna," the moment it was rephrased to "Vienna" in my English conversation lesson, the movie "Before Sunrise" came to my mind. It felt as though my journey suddenly took on new meaning. Despite being a trip planned by my mother, this serendipitous discovery felt like an adventure of my own.
At that time, I was working on a Kindle book, composed in a screenplay style as an homage to "Before Sunrise." With a deep affection for the movie, I was reinterpreting its story in a new way to reach readers. So, the idea of visiting the filming locations of "Before Sunrise" in Vienna felt like fate.
This coincidence gave me a strange sensation, as if my future had somehow been predetermined. It was as if my journey was following the storyline of the movie! Stepping into Café Sperl, the place transcended its role in the film and became a part of my life.
The movie, about two people in their twenties who meet on a train and spend a day together in Vienna, is one of my most beloved works.
It's a pre-smartphone era film, where, after spending an intense day together, they part with a vague promise to meet again in Vienna in six months, without exchanging contact information.
The scene in Café Sperl is particularly memorable. It was filmed here, where they pretend to call their friends and share their impressions of each other. I love this scene so much that I bought the script in paperback ten years ago and even re-enacted it with a British teacher during a lesson.
Stepping into such a filming location was like a dream come true for me.
Café Sperl, clearly beloved by locals, narrated its local charm through a diverse menu and affordable pricing.
Upon our arrival, surprisingly, a table for eight was prepared near the entrance, marked "Reserved." There was no sign the tour guide had arranged this reservation, and we were all smiles at this perfect timing, as if our visit was destined.
While perusing the menu, I chose an Italian toast. After enjoying heavy meat dishes throughout the trip, I was longing for casual food. The café's menu offered such light meals, enveloping me in comfort.
The café's interior, just like in the movie, had a charm of its own, with antique lighting and furniture telling the stories and history of this place.
Now, my Italian toast has arrived.
The Italian toast I ordered was more delicious than it looked. It was not just a simple pizza toast. The combination of the crispy and fragrant toast, the acidity of the tomato paste, the creaminess of the cheese, and the subtle tang of the pickles created a perfect harmony in my mouth. With each bite, the consistent deliciousness spread, igniting an interest in local Viennese culture, not just in the Habsburg's grandeur.
Then came the time for coffee and cake. I ordered a 'Melange' again. The taste varies at different cafes, so how would it be here?
The coffee had a deep flavor and rich aroma, spreading delightfully in my mouth. The tour guide, who had visited Austria several times, highly praised the coffee. "Delicious!" she exclaimed. At that moment, I truly felt that the best things are found in places loved by locals. It felt like I was seamlessly blending into the life of Vienna.
The highlight was the cheesecake! From my seat, I could see the cake display, and spotting the last piece of cheesecake, I ordered it without hesitation. The lightness akin to soufflé and the smooth cheese flavor were a sublime treat for my palate, tired from the Gâteau au chocolat. The fluffy texture and subtle sweetness instantly captivated my heart.
When I exclaimed, "Delicious!" in awe, a lady whom my mother had befriended during the trip asked if she could have a bite. I happily shared, and her face lit up with satisfaction. This memory of Vienna's sweetness will forever remain in my heart. I'll definitely go back! (laughs) (Please check out the YouTube video for the food report.)
I never imagined that my trip to Vienna would conclude with this wonderful moment at Café Sperl.
Then we took the tram again and bought coffee beans and chocolates as souvenirs at a place the tour guide called a "luxury supermarket." The last tram took us to the station nearest our hotel.
When our group boarded the tram, a young man kindly offered his seat, much appreciated by our group of septuagenarians after such an intense day.
We started the day marveling at the grandeur of Schönbrunn Palace, enjoyed elegant moments in the café of the world-renowned Art History Museum, were captivated by Gustav Klimt's alluring works at the Belvedere Palace, and finally, time-traveled to the 1880s at Café Sperl with delicious coffee and desserts.
Before the trip, I was a bit anxious about how to spend free time, but the tour guide accompanied us during the free plan, supporting our journey. And finally, my request to visit Café Sperl became the highlight of the trip. Interestingly, we never saw a street piano in the city of music. (laughs)
The next morning, instead of a morning buffet, the hotel prepared sandwiches and fruit. The tour guide distributed them like a lunchbox vendor, a truly considerate gesture.
At the airport, after completing check-in via a machine, we waited for the counter to open. It was time to bid farewell to the friends we made on this trip. Surprisingly, at this final moment, my mother and her new friends exchanged only their last names, having never shared names during the trip.
For septuagenarians, connecting on social media at parting is almost unheard of. However, my mother had the opportunity to repay in Japanese yen the money she borrowed in euros. In doing so, she shared her address, a truly analog interaction, but that's how people in their 70s connect.
At Amsterdam Airport during our layover, we had another chance to chat, and finally, we said our real goodbyes at Narita Airport. My mother and I have different destinations, so we parted ways in Narita.
That evening, I had a harpsichord recital by Jean Rondeau scheduled. Coincidentally, my mother had planned to attend a ballet at the same Ueno Art Theater. However, she had to cancel due to fatigue and a sore throat.
Meanwhile, I went to Jean Rondeau's recital. The theater was solemn, with a noticeable police presence. Surprisingly, Their Majesties the Emperor and Empress were attending the ballet performance.
I enjoyed Jean Rondeau's performance from the front row. The program included works by Mozart, born in Vienna, giving me a sense that my Vienna trip was continuing. I was captivated by the beautiful music. More about this experience is detailed in my other blog. It seemed as if the magic of Vienna was still continuing through music.
Two weeks after returning home, I received a joyful call from my mother. Surprisingly, she had received a handwritten letter and a photo from the lady she became friends with during the trip! Through the letter, she learned for the first time that the lady was from Nagoya. What a wonderful post-trip experience.
I, too, spent a month after returning home immersed in editing videos for YouTube and writing a travelogue. The need to compile memories later arose because I forgot my laptop charger on the trip. During this time, the paid version of ChatGPT had evolved. Thanks to this new tool, I could enhance the quality of my articles, making them more vivid and immersive, as if I was reliving my trip to the Czech Republic and Austria. I even translated some of it into English using ChatGPT and shared my travel memories with my usual online teacher.
This trip was so enjoyable that I would want to encore it several times. It felt as if my sensibility had reached a new dimension, enabling me to perceive each moment of the journey as fresh and enriching. Perhaps the long waiting period due to the pandemic made me more sensitive and deepened my appreciation for beauty. The experiences in Vienna have added new colors and depths to my life and will surely lead me to new creative horizons.
Thank you for reading until the end. (End)