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CBD新薬の可能性

2018.10.03 05:31

この夏、FDA(米食品医薬品局)は大麻から抽出した成分で作った新薬を初めて承認。

もれなく『HIGH TIMES』でもそのことが取り上げられています。

朝日新聞などもこの話題について取り上げてはいますが、専門的な用語を並べてあるだけでわかりにくい部分もありますので、生情報をわかりやすく説明したいと思いまとめました。


FDAが承認した新薬とは

マリファナの消費者なら誰でも知っている成分、カンナビジオール(CBD)と、テトラヒドロカンナビノール(THC)。

 THCを摂取すると主に "ハイ"(鼓動が早くなり、神経が高まる感覚)という感覚を感じます。

同じく大麻から抽出される成分CBDは、筋肉や脳の緊張がなくなる感覚だけ。さらに医療大麻と同じように、重度の医療の治療に有益であることも数々の臨床実験の結果から証明されています。


FDAは、植物由来医薬品としてCBDのみを使用した新薬、エピドレックスを承認するかどうかを決める条件としてCBDが完全なる天然由来成分であることを検討しました。


CBDは、大麻からの天然化合物で植物そのものだから問題なかったというわけです。


CBD新薬の効果

 FDAは、2つの大麻関連薬品、ドロナビノールおよびナビロン、マリノールが組み合わさることでTHCの効果を再現すると判断しています。


Epidiolexは、競合他社の抗てんかん薬、や乳児の死亡率が高いドラッベシンドローム(小児期のてんかん発作に関連する障害)に対して強力な効果を発揮します。


これは医療業界にとっても大変有効な解決策となると予想されています。

今までは、既存の医薬品があるににもかかわらず小児神経学者や医者は、いろんなタイプの抗てんかん薬を混合して処方するしかなかったからです。


CBD新薬の研究

CBDオイルは、自然食料品店や専門店ですでに売られていますが、新薬として承認されるのは初めて。


米国FDAは医薬品開発および承認審査の不可欠な要素としてモデリング&シミュレーションを率先して推奨しており、特に21st Century Cures Act (21世紀医療法) のモデリング&シミュレーションを強調しています。


これに対して、新薬承認申請の95%にCertara®社のソフトウェアやサービスが貢献していることを公表。

「研究開発の生産性、商業価値および患者のアウトカム最適化を目指して、モデリング&シミュレーション、リアルワールド・エビデンス・ソリューションなど最新の定量的アプローチを活用して医薬品開発パラダイムに革命をもたらす」

と、インタビューにも答えており、この会社の研究結果が承認するまでの有効な要素になったことも明らかです。


CBDに焦点を当てた視点でニューイングランドジャーナルに掲載されている記事にはこのように書いてあります。

「治療のためのカンナビジオールは、てんかん治療やDravet症候群を患う小児においてその効果を発揮できるでしょう。」


承認事例

2018年の新薬承認申請において当社のモデリング&シミュレーション手法を用いたサービスが活用され、改革をもたらした事例がこちらです。


・オンコセルカ症 (河川盲目症) を適応症としたMedicines Development for Global Health (MDGH) のMoxidectinの承認。河川盲目症は糸状虫である回旋糸状虫が原因で発症し、感染したクロバエに刺されることで感染します。

世界保健機関によると、少なくとも2500万人が回旋糸状虫に感染しています。

Moxidectinは河川盲目症を治療する初の新薬として20年の歳月を経て承認されました。

(MDGHは米国FDAから「Priority Review Voucher」を与えられた最初の非営利企業)


・希少遺伝性疾患であるX染色体連鎖性低リン血症性くる病 (XLH) の成人および1歳以上の小児患者を治療する初の新薬であるUltragenyx Pharmaceutical Inc.のCrysvita (burosumab – twza) の承認。

米国FDAのDr. Julie Beitzは、「XLHは他のくる病とは異なり、ビタミンD療法の有効性は認められていません。

Crysvitaは初めて米国FDAの承認を受けたXLH治療薬であり、XLH患者にとって真のブレークスルーとなっています」と述べています。


・2歳以上の患者における2種類の希少かつ重篤なのてんかん症候群であるレノックス・ガストー症候群およびドラベ症候群の発作の治療を適応とするGW PharmaceuticalsのEpidiolex (cannabidiol: CBD) 経口液剤の承認。

Epidiolexは、大麻由来の精製原薬を含有する薬剤として、さらにドラベ症候群患者の治療を適応とする薬剤として最初に米国FDAの承認を受けています。



問題は値段

患者がEpidiolexを処方箋薬保険の範囲で低コストに抑え、投与できるかどうかが問題となってきます。

FDAによる新薬の承認数は、2016年が22でしたが、2017年は46と急激に積極的に取り組むようになっているのです。

この数は59の新薬が承認された1996年以降では最も多く、ここ10年間の平均である32をかなり上回っているといえますね。

新薬開発のコストが26億ドルまで高騰していることを考えると、2017年の承認数はいっそう際立ちます。



ヘンプビジネスジャーナルの最新「CBDレポート」によると、新薬 Epidiolexの2018年の売上高は30ドルと予測。

2019年には500%増加し1億8,000万ドルになるとのこと。

Epidiolexの年間費用を3万ドルとすると、既存の抗てんかん薬ルンドベックよりも約65%高くなる。

エーザイのBanzelとは同程度となる(2017年の価格)。

保険会社にとってもその価格設定は妥当なのだそう。

しかし、保険会社は間違いなく、症状に応じた段階的な使用といった処方制限を課すはずです。

厳密な処方制限が課されれば、市場シェアの3分の2を占めることも、ブロックバスターとして莫大な売り上げを手にすることも、夢と終わるだろう。


Epidiolexの患者対費用はまだ発表されていませんが、健康保険を持たない患者には、年間30,000ドルから60,000ドルの費用がかかると予測。


処方制限をして妥当な値段で患者に投与され、純粋な治療薬として広まって欲しいと思います。


CBD新薬、今後の動き

Epidiolexは、GW社にとってFDA承認のための「有力候補」でした。

多発性硬化症の症状を緩和するCBD口腔スプレー『Sativex』や、他のカンナビノイド系医薬品も、臨床試験と連邦承認の取り組みが行われています。


GW社は、まだまだ他のカンナビノイド製剤も検討中。

自閉症スペクトラム障害に向けたカンナビバリンベースの医薬品、グリア芽腫と呼ばれる脳腫瘍の特に悪性の形態や、さらには統合失調症のための他の製剤など、原因の追及が難しく、これといった治療手段のない難病向けのものを主に開発中なのです。


今秋の新薬発売を皮切りに、承認数をさらに増やして少しでも早く患者さんお手に届くように急ピッチで進んで欲しい案件ですね!