Go for it! #21 ヒュゲイア予防美学研究所 代表 木下恵子さん
「ホルモンバランスや女性特有の悩みなどで、商品や施術を求めて来店くださるお客様とお話しをながら、その方に合うものをお勧めしています。ハーブティーで繋ぐ、一人一人の健康美を提案していけたら。」
そう話すのは、「ヒュゲイア予防美学研究所」の木下恵子さん。
2023年5月に、ハーブティー専門店「ALL MY TEA奥琵琶湖店」(今津町深清水)をオープン。
琵琶湖が眺望できるカントリーハウスで、良質で香りかなクラフトハーブティーをテイクアウトできるお店を家族で営んでいる。
お店の西側
お店の東側。気候の良い時期はウッドデッキで飲んだり。冬季になると薪ストーブが点き、暖かい店内でホットメニューをいただくこともできる。
〈毎日飲むハーブティーから毎日飲みたいハーブティーへ〉をコンセプトに、素材の管理からブレンドに至るまでを一貫して行う専門店。奥琵琶湖店は、関西第一号店となる。
お店では、自宅でも楽しめるティーバッグ、希釈して飲むコーディアルなども販売している。
西洋の漢方とも言われるハーブティー。豊富な商品の中から、自分に合ったものが選べるよう、味やフレーバー、ハーブの持つ特性について記載されていて選びやすい。自宅用だけでなく、出産祝いや、お土産にも喜ばれている。
また、ロミロミマッサージなど、多角的なアプローチで健康美を提案するメニューも。
セラピーメニューのひとつ、ロミロミは、ハワイのやさしいエネルギー『マナ』を全身にチャージするオイルマッサージ。「レギュラーロミロミ」(90分 13,200円/税込)をはじめ、デコルテから頭にかけて丁寧にケアする「Poni (ポニ)ロミロミ」(90分 6,600円/税込)など。筆者は後日、Poni ロミロミを体験。カウンセリングシート記入後、中医学をベースとしたレインボーセラピーで経絡を刺激。タスクで詰まった思考と作り上げた戦闘モードを一旦オフにし、自身の体の状態とじっくり静かに向き合う。仕上げは至福のヘッドスパ。肩周りの循環も良くなり、スッキリ。(メニュー詳細はHPにて)
独身時代から化粧品オタクだったという恵子さん。海外ブランドの美容部員だった義母の勧めで、美容師の資格を取得すると、その後も様々な研修へ参加。
大学卒業後、結婚と同時に義父が京都で興した美容商社に入社。以来、水を得た魚のように美容室やエステサロン向けの美容インストラクターとして従事する。
2人の子に恵まれ、彼らが大学生となる頃に、社内で世代交代。恵子さんは、義母が担当していた経理業務を引き継ぐことに。折しも、美容業界の趨勢と、仕事の変化の波が押し寄せ、煮詰まり、息苦しさを伴う40代のことだった。
「26年前、地元が高島の従業員に教えてもらったご縁で、自宅を構えて。美味しい空気を吸いたい、と時折リセットしに訪れていました。」
高島に訪れた、
ある夜に。
月と、
月光に揺れる湖面に息を飲む。
浮かび上がるは金色に煌めく、
ひとすじの道。
波で揺れる輪郭とは対照的に、中心部分には、迷いがない。
その後、高島へ移住することも、思い切って、会社ごと移転することも。
まるでこの先を照らす道標のように、彼女を強く後押しする景色だった。
やがて〈美容という範疇で、できることがあるのでは〉と、上海中医学大学で中医学をはじめ、世界の伝統医学や代替療法といった分野へ学びの裾野を広げていく。
2001年、得意先からの紹介で海外の通信制大学の「美容医学科」に強い興味を持ち、代替医療について学び始める。
修了までの課程で出逢った恩師の一人に、長らく救命救急医療に身を投じた医師がいた。
患者と丁寧に対話し、必要に応じて代替医療を組み合わせるスタイルで、地域の人から厚い信頼を寄せられていたという。
医療の進歩によって、病との向き合い方に選択肢が増えた一方で、枯れるようにこの世を去ることが減りつつある現代。
恵子さんは、本来の老人医療の在り方や生命の尊厳・意味について、恩師の深い考察に触れることができたと話す。
恵子さんは、大学を修了後も恩師の元で習い続け、2006年にレインボー(色彩)療法を用いたメタボリックシンドロームへの有効性について、京都大学で論文発表。
「〈綺麗〉は作ることができるけれど、〈美しさ〉は、歳を重ねるほど内側から放たれるもの。予防的ケアの根幹は、命に対する考え方。自分らしく生きる心のあり方に、深い関わりがあると確信しています。」
その後、得意先への講座を〈自分らしく、美しく健康寿命を全うすること〉をテーマに「予防美学」セミナーを開催。学びを活かした活動に邁進する。
2005年。ハワイに在学中の息子に会うついでにと訪れたのは、ハワイの伝統療法ロミロミのヒーラーのアンクル・デレク。この出会いを発端に、転換期を迎える。
ロミロミとは、ハワイアンの精神性と技術を兼ね備えた、カフナ・ロミロミ(マッサージの達人)によって伝統的に守られてきた癒しの技術。
揉む、撫で上げる、圧すなどの手技を組み合わせ、全身をケア。
積み重ねた緊張やネガティブな感情をほどいていき、身体が治癒に向かう状態へと導く。
彼は、痛みのある部位を〈イタギモ?〉と片言で言い当てる。そこが瞬く間に軽快していく事実と、中年のハワイアンが全方位に放つフランクさのコントラストに少し困惑しつつ。
施術者としての技量と、引き出された治癒力に目を見張った。
施術後、彼に案内されて島々に点在する聖域へ。神聖な地だと肌で感じるその場所は、厳かで慈愛に満ちていた。
そこに居ると、まるで自身を洗い流すかのような、彼女の意思とは無関係にかつてない量の涙が流れたという。
その後、恵子さんはデレクに師事するよう勧められて帰国。しばらくは半信半疑だったが突き動かされるように再びハワイへ赴いた。
「仕事の都合上、短期集中でお願いしたのですが、朗らかな彼もこの時ばかりは違って、険しい形相と、手厳しいトレーニングで。半泣きしながら全力でやりました。」と苦笑い。
〈ケイコ、君はパワフルな手を持っている。人を癒すという才能は授かりもの。人のために使わなければ意味がない。手を介して神様のエネルギーが、受ける人の心や身体に伝わるんだ。〉
人生は学びだというデレク。彼の遺志とともに継承したのは、アレンジや形を変えてはならない「ハワイの神様からの啓示」と呼ばれる厳格なものだった。
女性は、40歳から身体が更年期に差し掛かると同時に、公私ともに責任や役割が増えるなどライフステージに変化を迎える。
けれど日常的にやり過ごしてしまい、結果、色々と溜め込んでしまう。だからこそ、身体を想い、心身の声に耳を傾けて。
きっかけは、美容でも癒しでも。
これまで様々な人から学び、培ったものがその人に合う美しい生き方のヒントになれば、と。
振り返れば、人生は創造、維持、破壊の繰り返し。
起こる事象は自分にとって必要なものだった。困難に見える状況も、自分の捉え方次第で、その景色を変えていけるからー。
琵琶湖の持つ力とハワイのエネルギーに着目し、独自製法によって製品化された「Re∞dox(リドックス)」。酸化還元力や界面活性力が高いことが特徴。写真は「シャワータイプ」(200ml・1,980円税込)。
「仕事は私たちの代まで義父の時代の踏襲でしたが、今は息子夫婦が引き継ぎ、よりお顔が見えるやりとりへ。このお店を構えてから、お客様とのやりとりに、嬉しい発見の日々で。今後も伝え方に工夫していきたいです。」
恵子さんの明るく、場を灯すような笑顔が光った。
(取材・川島沙織)
ヒュゲイア予防美学研究所
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