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朝露が生まれる頃。

2018.10.07 15:00

Naoyaです。

今日は二十四節気の17番目、寒露です。本格的な秋の涼しさになりました。朝や晩にほんのり肌寒さを感じることもあります。冷えた朝、草木や花に朝露が宿るその露を寒露と呼びます。

夜、窓を開けていると涼しい空気が感じられ、虫の声がたくさん聞こえてきます。外を歩いているとどこからともなく金木犀の香り。視覚から得た情報で季節を感じることが多いと思いますが、音や肌に触れる空気の感触、匂いからも季節を感じてみてください。

うちの近所にはかなり巨大な金木犀が続いている並木道があって、そこらへん一帯にあの香りが漂っています。その並木道の近くを自転車で通るとき、視界にオレンジの花が飛び込んでくるよりも先に、微かに漂ってくる香りで金木犀の存在を感じるのです。

秋はおいしい旬の食材も多いので、味覚でも季節を感じたいところ。視覚、聴覚、触覚、嗅覚、そして味覚。秋は五感がトータル的に研ぎ澄まされる季節、と言ってもいいかもしれません。

個人的なことですが、寒露を迎えてしばらくすると誕生日を迎えます。なので、寒露のあたりは僕にとって、ちょうど一年のサイクルが終わる年の瀬のような感じ。新たな次の一年を迎える前の準備の時期に当たります。

すべての人にとって、この世に生まれた誕生日というものは、真っ暗な母親の胎内の海から、まったく異なる明るい外の世界への旅立ちの日であり、環境が急激に変化したタイミングでもあります。100%安全に守られていた環境から、日に日に独り立ちしていかなくてはならない環境へ。イニシエーション、通過儀礼。外の世界への旅立ちを今か今かと待っている胎児は、無意識に混沌と不安が渦巻いているのかもしれません。

誕生日前になると、状況や気持ちが不安定になるという人の話を聞きますが、それはきっとこの世に生まれたときと同じ状況のサイクルが起きているのかもしれません。誕生日を迎えるたびに、新しい自分が生まれるようです。そして、無事に誕生日を迎えられることに喜びを感じます。

寒露の時期、旧暦9月9日の重陽(ちょうよう)の節句を迎えます。今年は10月17日がその日に当たります。現行の暦の太陽暦9月9日だと、実は菊の花にはちょっと早すぎるのです。旧暦9月9日くらいに花の盛りを迎えます。

ふたつ前の投稿でも書きましたが、重陽の節句は別名、菊の節句。菊は薬草としても使われていて、延寿の力を持つものとされていたため、厄祓いや長寿祈願に用いられていたそうです。重陽の節句では、前日に菊の花に綿を被せておき、翌朝、菊の露や香りを含んだ綿で身体を清めると長生きできる「被せ綿(きせわた)」という風習がありましたが、菊の花が盛りを迎えるタイミングで朝露が現れ始めるという流れから、この風習が生まれたのではないかと思います。

今の日本では現行の太陽暦が基本となっていますが、そこに旧暦と旧暦以前の暦の行事が混在しているので、たとえば七夕や旧正月のように昔の暦で祝う風習が残っているものもあります。言ってしまえば、太陽暦と旧暦と、旧暦以前の暦の3つが混在しているのが今の日本の暦というわけです。

実際に肌で感じた季節感と現行の暦に違和感を感じても、旧暦に置き換えてみたらしっくりと来た…なんてことが意外とあると思います。

カレンダーを見て頭で季節を感じるよりも、自分の肌で感じた空気感や季節感を優先してみてください。