ブランデッドムービーを考える。映文連アワード2023
わが国唯一の産業・文化短編映像祭映文連アワード2023では、企業や観光PR映像も多数出品されます。でもPR映像って、当たり前ですけど全面良いところ推しで、どこも似たり寄ったりと言いますか、凡庸というイメージがありません?
そんなイメージを覆してくれる作品があります。今回、優秀企画賞を受賞したGAZEBO監督・脚本・編集の『NEO PORTRAITS』です。
本作はアジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」で2022年に行われた国際カンファレンス「NTT presents 技術革新がもたらす未来を映像化するための国際カンファレンス feat. IOWN」の企画から生まれた作品で、クライアントはNTTです。
近未来の田舎町が舞台。その風景は日本でよく見られる過疎化しか地方なのですが、最先端のテクノロジーが導入されていて、その最たるが電子アンドロイド。亡くなった人が生前していた時のデータから生成させた電子アンドロイドが、喋る遺影として甦り、それを違和感なく受け入れている大人に対して、主人公の中学生だけは悶々とした日々を過ごしているという展開です。
そう、あくまでNTTがクライアントなので最新技術ウェルカムの内容かと思いきや、その使用法について疑問を投げかけるという驚きの内容なのです。
NTTといえば、通信会社としてかつては一強と言われていましたが、今は競合他社に押され気味。
テレビCMも減少したようなイメージがあったのですが、別次元のところで勝負していたのですね。
観光PR動画で新たな風を吹かしてくれたのが、共に優秀企画賞を受賞した岐阜県瑞浪市『奇跡の化石』と、愛媛県東温市の『東温ラブストーリー』です。
どちらも音楽にノッて、その街に暮らす人のリアルな声と体温が伝わってくるようで、
これを見れば、絶対この街に興味が湧きます。
映文連アワード2023は11月28日、29日に東京・渋谷のユーロライブで受賞作の一挙上映を行なっていますが、オンライン上で無料視聴できる作品も多数。
下記に現在視聴可能な作品をピックアップしましたので、ぜひ産業・文化短編の世界をお楽しみください。
【文化科学大臣賞】
『ノブさんからのメッセージ 手記に学ぶ関東大震災』(朗読・ナビゲーター:上野樹里)
【経済産業大臣賞】
『LIVE, BREATHE, EAT EEL : YAMADA NO UNAGI』(クライアント:山田水産)
【優秀作品賞】
『タングステン極細線 ストロンワイヤー Respact for Spaider 』
(クライアント:パナソニック ライティングデバイス)
【審査員特別賞】
『「はじめに遊びがあった」 ~ぴあの50年、これからの50年~
ぴあ創業50周年記念ムービー』(製作:ぴあ)
<コーポレート・コミュニケーション部門>
【部門優秀賞】
『みんなの想いを一冊に』(出演:左時枝)
『CROSSING NAGASAKI 交差する長崎』(クライアント:長崎県文化振興・世界遺産課)
『小さな椅子の物語』(クライアント:(株)カインズ)
『森をつくる人々 ブラジルのカカオ トメアスー篇』(クライアント:明治)
『太陽企画 リクルートムービー』(製作:太陽企画(株))
<ソーシャル・コミュニケーション部門>
【部門優秀賞】
『いつもの帰り道で 安永健太さんの死が問いかけるもの』
(クライアント:安永健太さん事件に学び共生社会を実現する会)
<パーソナル・コミュニケーション部門>
【部門優秀賞】
『回復タイム』(山口智誠監督)
『マンガガールズ』(大門嵩監督)
『飛べない天使』(堀井綾香監督)
〈特別表彰〉
【優秀企画賞 <コーポレート・コミュニケーション部門>】
『雪印種苗 会社紹介動画』
<ソーシャル・コミュニケーション部門>
『海渡り』(クライアント:つなぎ美術館)
(クライアント:東京大学大学院人文社会系研究科・同附属北海文化研究常呂実習施設)
【企画奨励賞】
『杉並区区制施行90周年記念 ドキュメンタリー「東京ごみ戦争」』
(クライアント:杉並区ごみ減量対策課)