「森のうれしいつながり」
『山水を歴て玄珠を磨く』という空海さんの言葉。
私はこの言葉がとても好きで、いつも大切に心の中に持っています。
『人間には誰しも我心がある。
その我心だけに走るととんでもないことになる。
他者を顧みない自分中心の心狭いものになってしまう。
我心を掘り下げてみることが必要である。
そうすると己自身に行き着く。 この自身が玄珠である。
ここまで掘り下げると、つながりの中に生きていることがわかる。
そして己のことを知った時に初めて、他の人を理解することができる。
なぜならそれはつながっているからである。
他の文化への尊敬の念も生まれる。
ここに初めて共存対話が可能になる。
そのためには山や森に入ることがいい。
そこであらゆる音を聞く。
自然界・森というところは、あらゆる真実の声の箱である。
心を透明にして、耳を澄ましてみる。
鳥の声、風の音、虫の声、水の流れる音、
そのなかに、そんな近くに、すべてのものがある』
先日嬉しいご縁でお会いできた、山田博さん。
森に身をゆだね、感じる力を取り戻す「森のリトリート」プログラムを
各地の森で開催されており、法人・個人さまざまな方たちが
参加しています。
近著『森のように生きる』には、プログラムを始めるようになったきっかけ、
参加した皆さんがそれぞれ森の中で得た「サイン」と気づきのことなど
書かれていて、かつて屋久島で遭難しかけた際に「サイン」を受け取った
私にはどれも興味深いです。
『今まで私がビジネスの世界で知っていた、計画しコントロールすることで
結果を出す、というやり方とはまったく違う世界がそこにはありました。
たぶん心のどこかで、今までのやり方に限界を感じていたのでしょう。
私は、森の魅力にどんどん惹き込まれていきました。森に身をゆだねていると、
ふとした瞬間に自分の心に触れる何かに出会います。小さな葉っぱ、緑に
輝く苔、木漏れ日の模様、風の渡る音、雨のしずく・・・・・。
心が捉えるものはそのときで、いつも違います。それは、そのときの
自分でしか出会えない、その場所だけの”サイン”です。サインの中には、
そのタイミングで自分に必要なメッセージが入っています。でも、すぐには
その意味がわからないことの方が多いのです。
まるで、メッセージ入りの宝箱のようなものです。』
(『森のように生きる』)
山田さんが代表をされている「(株)森へ」は、今注目のティール型組織として
大変ユニークな活動をしており、ホワイト企業大賞を受賞しています。
C.W.ニコルさんや星野道夫さん、北米先住民という共通のつながりを持ち、
森に入り身を置くことの大切さを感じている者として、とてもシンパシーを
感じました。
『人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。
しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に。』
森信三先生の言葉、まさにと有難く感じています。