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【南アルプス北部ラウンド登山 2018/10/2.3】南ア北部の主要な山を巡るスルーハイク

2018.10.05 03:00

登山をされる方には、何度も足を運びホームとする山がある人も多いのではないでしょうか。

スタッフ綾井にとってそれは、南アルプス北部エリアです。小屋勤めで馴染みある白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)を筆頭に、甲斐駒ヶ岳・鳳凰三山・仙丈ヶ岳を抱える南アルプスの人気エリア。

山の諸先輩方に比べ登頂回数なんて知れたものですが、やはり愛着があり何度も訪れた大好きな場所。

そこに一度は挑戦したいルートがありました。

かなり大雑把にルートに線を引きました。

夜叉神峠から鳳凰三山、早川尾根を越え甲斐駒ヶ岳、北沢峠から仙丈ヶ岳を越え仙塩尾根を通り三峰岳、そして間ノ岳を経て北岳へ登るスルーハイク。

「の」の字を逆から書いたように、無駄のない美しいライン。

それぞれの山のピークは何度も踏んだことがありましたが、そのルートを一度に駆け巡りたい!

今回はエルクのお客様の「Mさん」が南アルプスを縦走したいということで今回の山行を提案、一緒に行くことになりました。

山行初日の未明。ここは登山口である夜叉神峠駐車場ではなく、その麓の芦安村。長い行程のため4時には登りだす計画でしたが前日の台風の影響で山の神ゲートが閉まっていました。

ゲートが開くのが5:30から…早速出鼻をくじかれたかたちに。

しかしこれは予想できたことなのに調べを怠りました。ここに限らず登山口へ至る林道は大雨や台風の後に安全が確認できるまではゲートが閉まることが多いです。

開き直って芦安で仮眠をとり夜叉神峠駐車場に着いたのが5:45分。入山は遅れましたが、いい天気!予報は山行の二日間ともいい予報です。

今回はテント泊。荷物は極力削りましたが10月のアルプス、夏に比べ重量があります。

さて初日はここから北沢峠が幕営地、急ぎます!

一気に駆け上がり夜叉神峠へ到着!

あれ…Mさん早すぎる。ほぼ寝ていない状況でただでさえ青みを帯びた不健康そうな顔が引きつる早さ。

Mさんはいろんなトレイルランニングのレース参加する猛者である。ガイドどころではない。

綾井「ひーひーふー。ひーひーふー。」

ラマーズ法を駆使して必死のぱっちで登ります。

Mさん「おーい、早くー」

登り始めから常に10mほど先を行くM氏。ペースを上げろと言わんばかりの距離感。こちとら登山開始5分から必死のぱっちモードである。

しかし疲れを忘れさせる秋晴れ!10月のアルプスとは思えない穏やかな登山日和。

M氏「はーい行きますよー」

綾井「あ、はい」

疲れを思い出しました。

紅葉は中腹あたりが見頃です。

初日の行程は以前のフィールドレポートとまるかぶりなので詳しくはそちらを

⬇︎夜叉神峠〜鳳凰三山〜早川尾根〜北沢峠のフィールドレポート⬇︎

ここからは苦しみもがいた初日をダイジェストでお送りします!

薬師岳山頂、北岳をバックに

先行していたお二人とM氏、左手には白峰三山

鳳凰三山の象徴オベリスク

スタッフ深澤と行った離山山群

ハイマツの海を駆けるM氏、甲斐駒ヶ岳が近づいてきました。

疲れた体にご褒美のぶどう🍇

Mさんはぶどう農家さんなんです。

台風の影響で、倒木もちらほら

アサヨ峰ももうすぐ!

アサヨ峰到着!Mさんは初登頂、おめでとうございます!

かっこよすぎるぜ、甲斐駒ヶ岳。今回は出発が遅れたためスルーします。

明日の最終ピークの北岳。奥の間ノ岳へぐるっと回り込むなんて、可能なのだろうか。

そう綾井はひどい有様です。まず言いたいのはストックに全体重をかけて登るのはダメです🙅‍♂️

辛すぎて下ばかり見てもダメです🙅‍♂️

頭を何度ぶつけたことか…。

苦しみましたが、なんとか日没までに北沢峠の長衛小屋に辿り着きました。最後の栗沢山からここまでの下りで膝がガクガク。膝が笑うどころではない、膝が叫び悶えている。

それぞれテントを張り、食事作りながら明日のミーティング。初日でも遅れをとりさらに膝の痛みまで出る始末。明日の山行も長丁場なので綾井はある提案をしました。


それは仙丈ヶ岳を越えて仙塩尾根の途中の野呂川越えというところが唯一のエスケープポイント。仙丈ヶ岳からの下りでまた膝が痛くなるようなら、綾井は野呂川越えから両俣小屋へ下りて下山。Mさんは僕を置いて計画通りに北岳まで行き広河原へ下山するという案です。


本来登山ではパーティが離れ離れになるのは良くないことです。しかし明日も絶好の天気。ルートの特徴や装備のチェックを前日に2人で確認し、別行動になった場合は逐一現状の場所を報告することを約束して、初日は就寝しました。

2日目はテント場を3:30出発。ようやく空が白んできたのが小仙丈ヶ岳に着いた頃でした。

仙丈ヶ岳の頂上直下で日の出を迎えます。街は雲海にのまれ、日は空を赤く染める贅沢な瞬間。この時ばかりは急ぐ僕たちも足を止めます。

日の出まちの方もたくさんいらっしゃいました。

ともかく登りは絶好調!これは行けるかも!

仙丈ヶ岳へ到着。奥には雲に浮かぶ中央アルプスの山並み。北沢峠から2時間ほどで来れました。行けるぞー!さあここから一気に下るぞー!

20分後、そこには膝を抱え遠くを見つめるモジモジくん。やっぱりダメでした、無理をしてはいけませんね。ここで事前の打ち合わせ通り、綾井はエスケープルートからの下山を決意。

お荷物から解放されたMさんは仙塩尾根を駆け下りて行きました。テン泊装備を担ぎながら走れるってすごいです。

念願の南アルプス北部ラウンド登山は敗退という結果に。悔しいですが力不足、両俣小屋に下山です。

帰りの林道歩きの途中、見上げればもうはるか遠くの北岳。Mさんはいまどこだろうかと思いながらトボトボ歩いて戻りました。

広河原に着くと電波が入るのですぐに位置を確認。するとこんな写真が送られてきました。

『北岳を超えて下山中』という言葉をそえて。

早すぎでしょ!!でも一安心、夜叉神峠へ先に戻り猛者の帰還を待つことにしました。

お疲れ様でした!別行動のあとは走れるところは走っていたそうです。これからはお師匠と呼ばせてもらいます!



さて今回の山行は敗退という結果に。このルートは3泊〜4泊くらいが一般的な計画でしょう。しかし1泊でチャレンジをしたいと思うなら、僕にとっては実力&訓練不足という他ないです。

登山は経験や様々な要素を必要とするものですが、やはり体力こそが正義。一から鍛え直してもう一度チャンスがあればリベンジをしてみようと決意した秋の山行でした。


最近は週末に雨や台風で山に行けない方も多いのではないでしょうか。しかし条件さえ良ければ澄み切った景色を眺めることができる秋の山、雪が降る前のいい季節です。山に入る際は今回のように無茶せずしっかりと準備をして秋の山を楽しみましょう!