sui 情景のある仕草 5
笑い声と笑顔
笑顔が素敵ですね。
良く笑いますね。
若い頃から褒められることといえば
この一言に尽きるといってもいいくらいです。
箸が転がっても笑える年齢を過ぎた今でも同様なので
その褒め言葉はあながち嘘ではなさそうです。
撮影の仕事をするようになって
笑いの大切さを実感しています。
カメラマンにとって会話は大事な仕事の一つです。
モデルが緊張でぎこちなくなってしまっていたら本来の素敵な表情は撮れませんから
ただひたすらに色々な会話をします。
ウィットに富んだ面白い話を提供するのは苦手ですが
些細な話題でも「面白い」と感じられるので
現場は笑い声と笑顔でとても明るい雰囲気となります。
今回の一枚は、そんな撮影の時の一コマです。
わたしも緊張していましたが
お互いに大笑い出来た瞬間から撮れる写真の雰囲気も
変化していった気がします。
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夫は滅多なことでは大笑いしません。
お笑い番組を見ていてニヤつくことはあっても
大声で笑っている姿はほぼ見たことがありません。
代わりにわたしが隣で大笑いしていますから
家族としては凹凸で丁度良いのかもしれませんけれど。
そんな、良く笑うわたしですが
突然声を出せなくなりました。
歌手や司会者が良くなるという喉の病気になってしまったのです。
声を出すことは条件反射。
それが出せないとなるともどかしいことこの上ありません。
今までいかに声に助けられていたか
失ってみてその存在の大きさに驚いています。
仕事はもちろん
ご近所の方への朝の挨拶
買い物する時に店員とするちょっとした会話
声を出さずに過ごすことの大変さを痛感しています。
その代わりマスク越しにことさら大げさに笑顔を作り
表情で会話をするようになると
機械的に買うだけだった近所のコンビニでも
会話が噛み合わずに困っていた職場のバイトの子からも
笑顔をもらうことが増えました。
不便な生活ですが
それも悪くないな。
今はそんな風に思っています。
photo & text by sui