タクシー四方山話
怪我をしてから通院などによくタクシーを使っています。以前は黙って乗っていることが多かったですが、あれこれ運転手さんと話してみると意外なお話が聞けて、最近はすっかりお喋り魔になっています。
先日のこと、家の前から乗ると病院までの道は一方通行だらけ。さっそく「この辺りは一通(一方通行)が多くて大変ですよね」と運転手さんに話しかけました。いやいや、世田谷の辺りはもっと酷いんですよ、と運転手さん。「駆け出しの頃、夜でナビもなく一通だらけでどこを向いて走っているか分からなくなってしまい、北極星を見て方角を定めたことがありました」
「実は昔、レンジャー部隊にいたんです。」
レンジャー部隊ってあの陸上自衛隊のエリート部隊?と思わず身を乗り出してしまいました。
レンジャー部隊の訓練は北海道でやるそうで、夏冬の年に2回あるそうです。夏の訓練はなるべく全員合格させるのでそんなに大変ではないそうですが、冬は違う。とにかく厳しい訓練で脱落者はすぐに帰されるそうです。
何十キロの荷物を背負って雪深い中に放り出され、必死に歩いたら「これじゃ跡が残るだろう!!」と怒鳴られる(跡を残さないためには凍った川の上や樹木の上を歩くそうです)。
冬は方位磁石も凍りついて狂い、同じところをグルグル回ってしまうのが恐ろしい。なので北極星を見て方角を定めるそうです。自分の歩幅を分かっているので、直進して何歩、左に曲がって何歩来たから、自分はここにいると位置が分かるそうです。
「冬の訓練に残った人は超エリートですね!」と言ったら「いや、馬鹿ですわ」とのお返事。
運転手さんは冬の大雪山での遭難者救助に向かったこともあるとか。
白髪の優しい穏やかな運転手さん、でもやはり身体つきがしっかりしていました。
楽しいお話ありがとうございました!と病院に向かいました。