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砕け散ったプライドを拾い集めて

砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからなんだよ

2018.10.06 13:27

【wording】

『星の王子さま』(アントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリ:訳ー内藤濯:岩波書店) のなかのセリフ。

これって「童話」なの?「寓話」なの?「ファンタジー」なの?

「ぼく」がサハラ砂漠に飛行機で不時着して(サン=テグジュペリの実体験)、そこで「小さな王子」(原題) に出会う。

(翻訳者の内藤濯はこれを味気ないとして「星の王子さま」としたと語っている。事実このタイトルだからこそ、人口に膾炙しロングランを続けているのだろう。)


その「星の王子さま」はキツネとも友達になり、とても隠喩に富む会話をする。
とにかく、「ぼく」も「星の王子さま」も喉が乾いて、水を探しに向かう。

その時の王子が発したものが冒頭のセリフ。

「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからなんだよ」

その前後で言っていたのが、

「星があんなに美しいのも、目に見えない花が一つあるからなんだよ」

瞬間、これらのフレーズには置いてきぼりを喰らってしまう。

そう、このフレーズが独立でポツンとあるとキツネにつつまれる。だが、「星の王子さま」のこれまでの旅とか人生が語られているので、それらを照合してguessはできる。

「飛行機乗り」で「作家」という不思議な組み合わせの43歳がこういうイマジネーションを書くということに結構驚く。

翌年の1944年、サン=テグジュペリはマルセイユ沖でドイツの戦闘機に撃ち落とされて、そのまま海の藻屑になった。