「植物標本づくり」の壁
小学4年生に植物標本のつくり方を体験してもらう授業をやりました。
植物標本は、いわゆる押し花のことです。だから難しいことは何も無いだろう、と思いながら・・・前日にひとり学校の校庭を歩いていたら、ドングリがありました。
きっとドングリの付いた木の枝を持ってきて「これ押し花にするにどうしたらいいの?」って聞く子が一人はいるだろう!?そう思って、そういうことに詳しい知人を友人に持っているメンバーのひとりに調べてもらいました。
得た回答は「同じように押して乾燥させて標本を作ればいいの!」
えーっ!立体物のドングリを力強く押したらぺしゃんこに潰れて実の内容物がドングリ粉になってバラバラ出てくるのでは?と思いました。だけどもうひとつの方法があって、それはドングリをとにかく乾かして袋に詰めて押し花標本の台紙に並べて貼っておくこと。というので、ドングリ用のポチ袋も用意して当日を迎えました。
ところがドングリを上回る難関の、栗の実を持って来た来がいました。ポチ袋にも入らないので、イガをハサミで切り開き、中の実とイガを並べて、痛くないようにゴム手袋で武装した私がイガを押さ、その子にテープで台紙に貼ってもらいました。
他にも太っとい木の根とか、マッチ箱ぐらいの大きさの弱々しい萎れて葉が互いにくっ付いた小さな草を持って来た子など、私たち大人の「常識?」を超えた豊かなバラエティーの植物を持って来た子が何人かいました。まるで私たち大人を試すかのように。A4サイズの紙からはみ出さない程度の大きさっていったら大体わかるでしょ?と思った常識では子ども達には通用しないことがよく分かりました。
とくかく悪戦苦闘して何とか全員が、台紙の上に採集してきた植物を貼りつけるまでこぎつけました。
台紙に植物を貼りつけたら、ラベルに採集者や植物の名前を書く番です。
図鑑やインターネットで自分が採集した植物の名前を調べることは、そりゃ言うほど簡単ではなありません。
いつもだったら子ども達から「えーっ、全然わかんない!! ねぇ教えてよ」って言われたら教えてしまうのですが、この日は教えませんでした。「分かっていても教えないから、最後まで自分で調べてね!」こう突き放しながら、どうやって調べるか、調べ方だけアドバイスしました。
案の定、ラベルに書き始めた植物の名前は間違いだらけ・・・でしたが、終了間際に見回ってみたら、ちゃんと正解まで漕ぎつけた子もけっこう多いことが分かりました。不思議なことです。最初は間違った名前を書いていたけど、それから何回も図鑑見たりネットで検索して正解した子も少なくありませんでした。さすがデジタルネイティブ世代だと思いました。
ちょっと面食らったのは、備考に書くことの質問でした。
「備考って何書いたらいいの?」って聞かれたから「採集したときの気づいたこと書いて」って言いました。それじゃ分からないかもしれん、と思い直し「例えば日なたに生えていた、とか、日かげに生えていたとか・・・」
これで多くの子は分かったようでしたが、ひとりの子が質問してきました。
「おじさん、この植物ね、大きかったからこっち側は日なたで、反対側は日かげになっていたの。どう書いたらいい?」
「・・・うぅぅ・・・日なたに生えていたでしょ?だから日かげの部分もできたと思うから、日なたじゃないかな?? 分かった?」
「・・・分からない! だってこっち側は日かげだったもん」
この議論は3分ほど続いたと思うけど、とうとう時間切れになってしまって「難しいねぇ」で幕引きになってしまいました。
いったいこういうとき、どう説明したら4年生は分かってくれるでしょう?
意外に困難が多かった植物標本づくりになりました。
だけど、協力してくれる方々がたくさん来てくれたし、子ども達はかなり熱中していたので、やってよかったなぁ、と思いました。
↑時間短縮のために、アイロンで押しました。これは事前にテストしているときの写真。かつてアイロンで押し花したことがある地元住民の方々にたくさんお手伝いしていただきました。