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更夜飯店

ヴァイブレータ

2018.10.07 10:08

ヴァイブレータ

2003/12/23

シアター・イメージフォーラム2

 

この映画は観る人の好みではなく、性格・気性・経験・考え方で見方、評価わかれると思います。

冒頭コンビニで、酒を求めてふらふらする寺島しのぶ演じる玲という女性。

モノローグを聞いただけで「嫌な女」と拒絶・嫌悪感を抱いてしまったらこのあととてもつらい時間になってしまうでしょう。

酒に依存していて精神的にも不安定で、自分勝手な孤独な女性。

理解できない。こんな女は最初はよくても手を焼いて面倒で逃げ出したくなる・・・のですが、そこを寺島しのぶが上手く、妙な純粋さを持った女性ともうけとれるのが、ギリギリ。

しかし、私はこのモノローグでびびっときてしまいました。

この女性は自分である・・・という共感が生まれればとても救われる崖っぷちのギリギリ感がいいです。

孤独な人間というのは独り言が多い・・・そして幻聴のようにその言葉が頭の中をかけめぐる。

雑誌を広げれば、派手な宣伝うたい文句が虚無感でいっぱいでうっとおしい

(牧瀬里穂の宣伝・・・は妙に生々しくて、うわ~っと思ってしまいました)

コンビニで出会って目があったトラック運転手の助手席に乗って、旅は道連れ・・・と一緒に

新潟まで行ってしまい、映画は運転席と助手席を中心とした狭い空間のみで映画は進みます。

このドライバー、大森南朋さんが、「中学もろくに出ていないし、ヤクザな仕事を色々経験してきて、

結婚して子供もいる」のですが妙に知的で優しく辛抱強い。

こんな優しい男性はいないだろう・・と思いつつも「長靴をはいた釣りでもしそうな王子様」

なんだな・・・と思わせる誠実さはもう、現代のファンタジー。

寺島しのぶとの車中の会話もごく普通の質問と答えの繰り返しなのにだんだん誠実さが

にじみ出てくる気がして、いつまでも聞いていたい2人の会話でした。

「ああ、なんで、このひとは、こんなに・・・わかってくれるのだろう」という玲の心の言葉が字幕になりますが、「好き」「愛している」よりも玲に必要なのは、「理解して、許してくれる」ことが大事なのでしょう。

そしてラスト、2人はどうなるのか、という着地の仕方もさりげなくてよかったと思います。