阿修羅のごとく
阿修羅のごとく
2003/11/04
東宝試写室 ( 試写会 )
かつてのNHKのドラマが大好きでした。和田勉監督による向田邦子脚本、役者をそろえた見ごたえあるドラマで、
その後何度も、再放送されるたびに見ていました。
ドラマの印象があまりにも強烈だと、つい映画化されたものと比較してしまう・・・のは仕方ないと思っていました。
この話のキーポイントはなんといっても配役をどうするか。
4姉妹、その父母、周りの人々をどういう俳優を使ってどういう演技にするか・・・原作はもうすでに知っていたのでそこが大変興味ありました。
映画の方が全体的に優しくてソフトな仕上がりになっています。
加藤晴子が演じた長女、大竹しのぶと不倫相手の妻役、桃井かおりとの「対決」はお見事。
テレビでは八千草薫さんが演じた次女、黒木瞳なかなかよかったのですが、一番おとなしくてしっかりしていて・・・と
いうキャラクターにはちょっと頼りない感じ。
いしだあゆみが演じた三女、深津絵里、かたくなな不器用なギクシャクとしたキャラクター、好演。
風吹ジュンが演じた四女、深田恭子、これが・・・とても幼く見えて三女とソリがあわなくて嫌味たらたら・・・の部分が全くなくなっていて、ソフトに見える最大の原因かもしれません。
実は、70過ぎて愛人がいた・・・という話の発端になる父が仲代達矢ですが、テレビの佐分利信は、本当に「えっ、この人に愛人が?」という朴訥で無口な男、の割にはちょっと生臭くて(笑)いかにも愛人がいそう・・という印象です。
しかし、これが、ドラマの単なるダイジェストかというと、そうではなく、昭和を舞台にした女たち(阿修羅たち)の葛藤ドラマです。
意外な拾い物・・・いつも勝ち誇ったような表情で小首をかしげる木村佳乃。私は常に上位に立っているわよ、という表情しぐさが凄いです。