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WUNDERKAMMER

1週間ぶりの帰宅

2018.10.08 13:52

バイクが趣味で、お盆休み一杯帰省もかねてあちこちをウロウロしてた。

で、休みの最終日の夕方、また一人暮らしのワンルームマンションに帰ってきた。

一週間誰一人入る者のいなかった独身男の部屋は、むわっと蒸し暑い。

クーラーをつけて熱いシャワーを浴びて、ビールのカンを空けてソファーに座り、ひといきついたその時。

ジジジジジジジジジジジジジジジジ!

部屋の中に大音量で奇妙な音が鳴り響いた。

音がした方向を見て、俺は「え!?」と固まった。

白い壁に、蝉、蝉、蝉。蝉が10匹ほどとまっていた。

そのうちの一匹が、人の気配を感じてか急に鳴きだしたのだ。

気持ち悪い。だが俺も男だ。別に虫が怖いわけでもなし。

どこから入ってきたのだろう?換気扇?

などと思いながら、壁の蝉の群れに近づいてぞっとした。

その蝉の一匹一匹が、壁に虫ピンで固定されていた。

鳴いた蝉以外の他の蝉は既に死んでおり、すっかり乾燥していた。

とりあえず警察を呼んだ。盗られたものなし。

変質者の仕業であろう、と言う結論に。

カギをかけ忘れた小窓から進入した可能性あり、と。

5Fなんだけどね、俺の部屋。


蝉の乾燥の具合の程度が異なることから、何日にもわたって変質者が俺の部屋に居座った可能性もある、とのこと。

あらかじめ死んだ蝉を持ち込んだ可能性もあるけど。

生きた蝉もいたことから、最悪、その日の朝くらいまで変質者が居た可能性も・・・。


さすがに気持ち悪かったので、冷蔵庫の中のもの、飲みかけのウィスキーのボトルの中身、全部捨てた。

蝉と虫ピンは、警察が全部持っていった。