検査結果と中絶期限
著書「35歳で妊娠が分かったら読む本」から
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世界の国々の中でさまざまな医療技術が進歩しています。
さまざまな検査が進歩している中で、その検査が世界特許を取得して、高いお金を出してその恩恵を受けるという形になって、医療というものが違う形、ビジネスの1つのツールになってしまっているのです。
そういうような先端の医療技術を提供する企業は、特許を取ることで特許料を取っている。
先端医療を使いたい人は、特許料を払ってくださいというビジネスモデルになっています。
今回のNIPTの検査もそうです。
これが、日本ではほとんどできていない状態なので、そこがどんな議論よりも問題だと思うのです。
検査自体に高い特許料を払って、そしてアメリカ、イギリス、スペインに検体を送らないといけないというのは、いかがなものかと思うのです。
日本で妥当な金額で、検査を受けられるような医療体制作りを日本は目指して欲しい。
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新型出生前診断に関して繰り広げられる議論は、やはり「日本」という国に合った検査ではないと感じることがあります。
それは、日本で新型出生前診断ができないという点と、
日本では中絶期限が厳格に定められている点です。
新型出生前診断は、妊婦さんから血液を採取する事で、お腹の子どもの染色体異常の有無を知ることができます。
血液を海外の検査機関または、提携した機関に送るため、結果まで1週間から2週間ほど時間がかかります。
その分、検査費用も増加します。
また日本で中絶する場合、妊娠22週までに行う必要がありますから、最低でも妊娠21週までに選択しなければなりません。
つまり、検査結果が返ってくる期間と中絶期限を考えて、あらゆる選択をしなければならないために、安易な中絶が起こると考えられているようです。
中絶期限がなければ、じっくり考えることができますから安易な中絶とはなりにくい。
新型出生前診断が日本の検査機関で比較的安価で受けることが出来れば、早期に結果を知ることができ、選択までの時間的に余裕ができる。
新型出生前診断が中絶を促しているのではなく、検査に伴う時間的猶予によって苦渋の選択を強いられているのです。
新型出生前診断で陽性が出れば、確定診断として羊水検査を受けた方が良いですが、
なかなかこの形に持っていくことができない、難しいのが現状です。
なにせ、時間的に余裕がないため、検査もバタバタ、今後どうするか考えるのもバタバタになるわけです。
今の日本では、お腹の子どもの情報を自由に知ることができますが、
それからその情報をどのように扱っていけば良いのか?
という点が不足しています。
やはり、検査で陽性となれば、選択できる術は、中絶しかないのでは?
と感じる夫婦もいると思うのです。
昨今のニュースでは、新型出生前診断を受けて陽性だった場合、中絶する確率は96%と言われています。
これを聞けば、陽性だったら中絶するのが当たり前のように読み手は取ってしまいます。
つまり、さまざまな報道によって、私たちは「自由な選択」ではなく、「無意識のうちに不自由な選択」を強いられているのです。
ここが、新型出生前診断の問題であり、そこを分かった上で検査を受けるのであれば、
とても重要な検査だと思うのです。