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中山治美の”世界中でかき捨てた恥を回収す”

”勝手に”「カンヌ 監督週間 in Tokio」開催記念・カンヌの思い出①

2023.12.10 03:29

 アジア初の開催となる特集上映「カンヌ 監督週間 in Tokio」が始まりました。  

 今年の監督週間で上映された長編12本がまんま日本で鑑賞できるという滅多にない機会。

その中には今年のカメラドール(新人監督賞)や、先日行われた第24回東京フィルメックスでも最優秀作品賞を受賞したファム・ティエン・アン監督『黄色い繭の殻の中』も再び上映されます。

 ベトナム期待の星の178分の大作をこの機会にぜひ!

 簡単に監督週間の説明を。

 世界三大映画祭の一つであるフランス・カンヌ国際映画祭と言えば、豪華セレブがレッドカーペットを歩くメーンのコンペティション部門が大々的に取り上げられますが、前衛的な作品を集めた「ある視点」部門、短編、シネフォンダシオン(学生映画対象)など様々な部門があります。

 その中で監督週間は、実はカンヌ国際映画祭からは独立した部門。世界各国で反体制を掲げた学生運動が盛んに行われた1968年。官僚的で権威主義的なカンヌの体制にジャン・リュック=ゴダールやフランソワ・トリュフォー監督らが反旗を翻し、映画祭を中止に追い込む事件が勃発。

 そして1969年に生まれたのが作家性の強い作品をセレクションした「監督週間」で、主催はフランスの映画監督協会です。その後、映画祭本体とも雪解けしましたが、もちろんプログラマーは別ですし、ホームページも別。

 映画祭本体はプロ向けで一般の人が参加するのは困難なのですが、権威主義を嫌っていることもあって、こちらはレッドカーペットもなければ現地でチケットも販売していて一般の方も入場可。会場のホテル1階に建てられた仮設テントで行われる会見も参加可です。

  監督週間に見出され、世界的に知られる存在となった監督・作品は多数。12月8日に行われたオープニングパーティーに参加した西川美和監督もそのひとり。会期中には西川監督の『ゆれる』(2006)の特別上映もあります。

(写真左から)西川美和監督、総合プロデューサー 吉田佳代さん、「監督週間」アーティスティック・ディレクターのジュリアン・レジさん


 映画好きなみなさんはもちろん、よく「この作品はカンヌを狙ってます!」と企画書に堂々書く映画関係および出資者の皆様。今回の特集を一通り見て、どんな作品が選ばれているのか?をまず知ることが大事だと思いますよ。


追記:オープニングパーティーは話題の「Shibuya Sakura Stage」で開催されました。オープンしたはずなのに、駅からの案内表示がなく迷うこと数分。何よりここ、出入りしていた雑誌の編集部もあったし、映画会社もあったし、好きな定食屋もあったんですよね。通りを見ながら感傷に浸ってしまいました。