なかなかできないのはやる気がないから。
昨日の「ガイアの夜明け」の最後の方の下着メーカーのお話の中でレース問屋さん出てきてトラブってた。
レースの染色が指示と違うとデザイナーさんは涙目だった。
まぁ結構製造業あるあるなので特に驚きもしないけど、それがあるあるだということは非常に恥ずかしいことだなと。
染色確認のやりとりが複数回重なって起こってしまったと説明があったが、こんなの誰が納得できるのだろう。
しかもデザイナーさんの手元に間違って染めた現物が届いてしまっている。
確認用に送ったのはレース問屋さんであろう。ということはレース問屋さんが間違って染まってしまっているのをわかって送っているか、レース問屋さんがそもそも間違った染色指示をしてしまっているか。
前者であれば、送ることで間違って染まってしまっている物を使ってもらえる可能性にかけたのだろうか。新規出店計画の目玉アイテムにそんな妥協するようなブランドは無い。だから送る前に事を説明してリカバリーのスケジュールも含めて提案するのがこの場合は取るべき対応と言えるだろう。
後者だとしたら後の電話での対応(話てても解決しないので一回考えますと言っていた)はおかしい。すぐ生機(染める前の生地)から染色までのスケジュールを確認してブランドさんに伝え、工場に頭下げてアクロバティックな納期対応をしてもらえるように動くしかない。
「普段は一色染めで、実は二浴、三浴はあんまりやりたくない」と言っていた。色分けをするということはそれだけ精錬の回数も増え生地が脆化しやすいから実際そうなんだけど二色で依頼が来てたものを逆に三浴しちゃってたから理由にならんしね。レース問屋さんをフォローする言葉は見つかりません。はい、残念。
↑これは染め分けできる生地、コットンとポリエステルは属性が違うのでそれぞれ違う色に染めることができるけど、染める回数が多いほど生地はダメージをうける。
しかしながら僕らも含め中間業問屋さんなどは取引先の件数が非常に多い。
売り上げベースで金額が多いお客さんに仕事のウェイトを多めにとるのは普通のことである。
そこへおそらくはそんなに大きい規模で商売が出来ていないであろうブランドさんの仕事が入るとどうなるか。
そのブランドさんの仕事の優先順位が下がり確認ややりとりもおろそかになる。
だから先述のような対応になってしまう。
出店後店を訪れて「全部うちの生地や、感無量や」と言っていたが、ブランドさんの規模が小さいうちは一件に集中的に仕事を依頼することが仕入先にとってもバルクで金額が張るのがわかっているから敢えてそうしているところもあるはずなので、喜んで終わってたらちょっと心配。
こういうところから客先に対しての甘えと怠慢が出てくる。
「ウチしかあれへんのやから」とどこかで上から目線になってしまう。
これが冒頭のミスを引き起こした大きな要因だと僕は考える。
合同展示会などに出展してる工場や問屋のブースを訪れて、その商談の時は対応も良さそうで商売出来そうな感じがする。だけど実際に依頼をしてみるとかなり邪険に扱われたという経験はないだろうか。
または産地や現場に足を運んで打ち合わせをした時は「できる」と言っていたのに、後日「出来ない」と言ってくることってないだろうか。
これは全て、工場や問屋の「やる気」の問題である。
もちろん製造上手間のかかることはある。設定をするのに時間がかかるのに数量がまとまらない先の相手をしている暇はないというのは本音だろう。
だから無理してそういう工場と付き合う必要はない。
ブランドさんは「あの時取引してたら今頃めっちゃ多くなってただろうに!」と思わせるくらい大きくなってそんな工場を見返してやって欲しい。
また、やる気がある工場や問屋諸兄は、引き受けたのならちゃんとやろう。
今そのブランドさんにとって素材提供してくれるかけがえのない大切な仕入先はあなたたちなのだから、そのブランドさんのファンが増えるように妥協せず付き合い切ってお互いに大きくなるように全力でフォローしてあげて欲しい。
今の製造側の人たちにはまだまだそういう意識が足りていないと感じたのでね、自戒もこめて。