”勝手に”「カンヌ 監督週間 in Tokio」開催記念・カンヌの思い出②
監督週間で忘れられない思い出と言えば、2003年に上映された三池崇史監督『極道恐怖大劇場 牛頭GOZU』です。
三池監督は『AUDITION オーディション』(2000)がロッテルダム国際映画祭で上映されて、観客を恐怖のどん底に落としたという評判がじわじわ世界に広がっていた頃。
とはいえ、東映ビデオ製作のVシネマですよ。吉野きみ佳(吉野公佳)と哀川翔がああなって、こうなって、えらいことになるぶっ飛びホラーですよ。
この作品、筆者は現場取材にも行っているのですが、主演の曽根英樹(曽根悠多)と石橋蓮さんの乱闘シーンの撮影中。石橋さんのお尻にお玉が刺さって、曽根さんが壊したスタンドライトをそのお玉に当てて感電死させるという展開で、なんちゅう映画や!と驚くと同時に、そんなシーンに記者を呼んでいいのか?とドギマギしながら現場にいたことを覚えています。
それがカンヌで世界初お披露目です。
カンヌといえば高尚とか、敷居が高いというイメージだったのですが、三池監督に着目し、この作品を選ぶなんて意外に懐が深いと認識を改めたきっかけとなりました。
公式上映がまた凄かった!
ラストシーンで大爆笑が起き、会場はヤンヤの喝采。
批評家からは「今年のカンヌで一番面白かった」という声も上がりました。
でもその評判は嘘ではなく、以後、三池監督はカンヌはもちろん、国際映画祭の常連になっていることで明らか。まさにこの年のカンヌが、”世界の三池”を不動のものとしたのでした。
ちなみに三池監督が着ているのは、盟友でもある俳優竹内力さんが手がけていたブランド「RIKI TAKEUCHI」のスーツ。力さんパワーをカンヌに連れてきたのかな?
その後本作は世界を回ったのですが、国内ではVシネマなので劇場公開されることはありませんでした。それがなんと、今回のカンヌ監督週間 in Tokioで特別上映が決定。
12月11日の上映後には三池監督のトークイベントも行われます。どうも三池監督は「映画ことをすっかり忘れちゃった」らしく、当日会場で観客と一緒に鑑賞するそうです。きっとホットな思い出話が飛び出すことでしょう。
ただし映画を見た後は、♪ごず、ごず、ごず〜のテーマ曲が頭から離れなくなるのでご注意を。
追伸:三池監督の新作『怪物の木こり』が公開中。
三池監督お得意のサスペンス劇。間違いのない面白さです。