あねきゃば!〜第3話『縦列駐車にコツなんてない』
前回、切るとこ間違えました(´∀`;;
数日後。講義を終えて教室を出ようとしていた馨を「あの〜」情けない声が呼びとめる。振り返ると、爽やかなポロシャツ姿のコンビニ店員・善光。
「えーと、どちらさんでしたっけ?」
「近くのコンビニの……」
「ああ、あんときはどーもすんませんでした。ねえちゃんが乱暴なこと言うて」
「いえいえ、とんでもない! 僕もお姉さんを助けてさしあげられず……情けない」
「うちのガッコになんの御用ですか?」
「あはは、恥ずかしいな。僕、生徒です。偶然ですねぇ、同じガッコ。いい歳してオカシイでしょ。弁護士になりたくて。オカシイよね」
「いや、そんなこと……」
「ところで、お姉さんはカレシとかいるのかなぁ、なんて。イヤだな、オカシイよね」
「いや、そんな…… って、えぇッ!!?」
(ここまでが前回)
馨が運転免許取得の為に群馬県の合宿所に入った。
その間、未散の中学からの親友で、東京のデパートで受付をしている岡本 茉莉花 (マリカ /24) が恵比寿の家に泊まり込んだ。
「なんや。馨くん、ほんまにおらんの? つまらんわ」
その言葉にドキッとする未散。
「茉莉花かて馨はやらんで!」
茉莉花は笑う。
「なに言うてんの、あの子のツッコミおもろいやん。馨くんナシやったらミチルのボケも台なしっちゅうことや!」
一方、合宿所。馨はロビーで同じサークルの松中 裕也 (19)と筆記試験の答え合わせをしていた。しかし、馨は善光のことで頭が一杯。
『お姉さんにカレシおるんかって……つまり、そーゆーこっちゃなぁ。アイツ、思い余ってストーカ—化せんやろか。ミチルは無事やろか』
そのとき
「縦列、難しい」
女の子のか細い声が聞こえた。合宿に参加していた早乙女 葵 (20)と友人のエリである。目をギラギラさせる裕也。
「あのコ、やばくね?晩飯に誘おうぜ」
「誘ったらええやん。俺、ちょっとウチに電話いれるわ」
「バカか! 来い!」
馨の腕を引っ張り、葵の方へ連れて行く裕也。
「ねえ、縦列のコツ教えようか?」裕也が声を掛ける。エリが食いつく。「えー、そんなのあるの?」「あるある。一緒にご飯食べながら教えてあげる」。
すると葵が
「結構です。合宿はナンパが多いって本当ですね。私たち、彼から厳しく言われてますから」
キッパリと言った。
「えー。葵ちゃん、カレシなんかいないじゃん」
そうツッコむエリをキッと睨みつけ、葵は足早にロビーを去った。エリは「ごめんねー、うちら今週いっぱいここに泊まってるから」と、葵を追いかけて行った。
葵の態度に
『なんや、気ぃ強うてミチルみたいやな』
──馨は思った。
馨が合宿を終えて帰ると……家は荒れ果てていた。
生ゴミの腐臭が鼻を突く。「ミチル!!」寝室の襖を開けると、ビールの空き缶やマンガ雑誌に埋もれて未散が眠っている。Tシャツにパンティー。焦って布団をかける馨。
「それでもオンナかぁ!! 早よ起きや!!」
やっとで目を覚ます未散。付け睫毛が鼻の下についている。噴き出す馨。
洗面所から響き渡る未散の声。
「なんやコレ、ほんまチョビヒゲやん!! 目ぇこすって鼻こすったからやろかー。ヌーブラもはずさんと寝てもーたわ。アイタタ……剥がれへんやんかぁー乳首とれるー!!」
そんな叫びを聞きながらゴミ拾いする馨。
『これやったら、あのコンビニさんもヒくやろ。なんとかして諦めさせよ。アイツ、なんやキモイしな』
なんだかホッとする。
着替えて化粧を終えた未散。さっきまでとは別人のように美しい。馨が支度したカボチャの煮物を頬張りながら、言う。
「うち、オムライス食べたい」
笑顔でないところがさりげなく押しつけがましい。
「ハイハイ、今度な」
「それからな、馨が免許とれたら、江ノ島に行きたい」
「江ノ島?」
「鎌倉の大仏さんも見たい」
「なんや注文多いなー。ハイハイ、連れてったる」
晴れた休日。ふたりはレンタカーを借りて江ノ島に出かけた。
つづく
リズです♪ 〝妹萌え〟があるように、わたしはずっと「弟がいたら可愛がるのになぁ」と思いながら青春時代を過ごしました。でも実際に弟がいるひとは「そんなにイイものじゃない」と言います。
まあ、わたしも〝妹〟なんだけどイイものじゃないしねぇ。
弟妹がいるのって、どんな感じか知りたいっす。特に!〝 血の繋がらない弟〟とか、どんな感じか知りたいっすー!