助っ人外国人白書 2018 《前編》
東京オリンピックに出場可能な野球リーグの中で最もレベルが高いのが、日本プロ野球NPBになります。そして、金メダル獲得を目指す稲葉ジャパンの最も警戒すべき相手も、日本プロ野球で活躍する助っ人外国人選手になります。ということで、今回は今年のプロ野球助っ人外国人の特集をしていきたいと思います。活躍した外国人選手や彼らを発掘した球団はどこなのか?など、様々な視点で外国人選手を特集していきたいと思います。
1.活躍度ランキング
単純に今シーズン最も活躍した外国人選手は誰か?見ていきましょう。“活躍”の定義は色々ありますが、ここはオーソドックスな所で、近年少しずつ浸透してきたセイバーメトリクス系の総合指標“WAR”を見ていきます。”WAR“とは、「そのポジションで、最低限の年俸で獲得できる選手と比べて、どのくらい勝利数を増やす活躍をしたか?」を示す指標です。最低限の年俸で獲得する選手とは、ざっくり説明すると1軍平均レベルには達しなく、1.5軍レベルから2軍レベルのイメージになります。早速見てみましょう。
※WARはDelta HP(https://1point02.jp/op/index.aspx)より。(10/12時点)
年俸は(https://www.gurazeni.com/)より。
1位はダヤン・ビシエド(中日/WAR 5.5)。今シーズンの活躍を見ると稲葉ジャパンの脅威となりそうですが、幸い(?)なことにビシエドは亡命したキューバ人なので、彼が東京オリンピックに出場することは考え難い状況です。
続いて、2位がブキャナン(東京ヤクルト/WAR4.5)、3位がランディ・メッセンジャー(阪神/WAR 4.1)、4位はクリス・ジョンソン(広島/WAR 3.8)。彼らは皆アメリカ合衆国出身です。アメリカ代表のオリンピックチームは、過去のオリンピックチームの経験からすると、3Aクラスのマイナーリーガーを中心に編成されNPB所属選手が召集される可能性は低いと思われます。しかし、今季読売ジャイアンツからMLBに復帰し最多勝まで獲得したマイルズ・マイコラス投手(セントルイス・カージナルス)の活躍ぶりから、NPB所属の投手に着目される可能性も十分あり得ると思います。
一番注目は、5位のネフタリ・ソト(横浜DeNA/WAR3.8)です。ソト選手はプエルトリコ出身で、同国が東京オリンピックを目指す上で、中南米の名立たる強豪と戦うためにも是非ともチームに欲しい戦力だろうと思います。ソト選手が、他の上位選手と違うのは“年俸の低さ”です。1位から4位まで選手は年俸1億円以上の高額選手で、高年俸に見合った活躍ができた訳ですが、ソト選手は年俸3,500万円と彼らと比べ破格の安さでした。今季一番の当たり外国人選手と言えるでしょう。
次に球団単位で見ていきます。
中日、横浜DeNA、東京ヤクルト、広島の上位4球団は、先ほどの選手別WARランキングを見ても分かるように、上位に食い込む選手がいたことが大きいです。ただし阪神の場合は、ランディ・メッセンジャーがWARランキング3位に入っていますが、W・ロサリオなど他の外国人選手が活躍できなかったことが足を引っ張っており、12球団中10位に沈んでいます。
パ・リーグを制した埼玉西武は、あまり外国人選手の活躍は目立たなかったものの、そもそも日本人選手の活躍がモノ凄かったため、影響が少なかったのでしょう。
2.コスパランキング
次にコストパフォーマンスを見ていきましょう。コスパは、外国人選手の年俸をWARで割り、1勝当たりのコストを計算してみました。(WARの定義を考えると、厳密にはコスパとはちょっと違うのですが、この際あまり細かいことは気にしないようにします・・・。)
トップ3のクリストファー・メルセデス(読売)、ヘロニモ・フランスア(広島)、サムエル・アダメス(読売)は、いずれも今シーズン育成契約から支配下登録を勝ち取った選手で、いずれもドミニカ共和国出身です。4位の宋家豪(東北楽天)も育成出身の台湾人選手で、台湾のオリンピック代表に選出される可能性が高そうです。
他にも一度プロ野球を解雇されたが、日本の独立リーグを経てプロ野球に復帰を果たしたエディンソン・バリオス(横浜DeNA)、デュアンテ・ヒース(埼玉西武)のようなケースも増えてきています。
続いて球団別のコストパフォーマンスを見てみましょう。
12球団で最もコスパが良かった中日ドラゴンズは、ドミニカ共和国やキューバを中心とした中南米ルートが奏功しているようです。続く横浜DeNAも外国人の成功率が高いようです。3位の東京ヤクルトも伝統的に外国人を当てるのが上手いですが、今シーズンも上手くいっているようです。
4位の千葉ロッテは、そもそも今シーズン外国人選手にあまり大きくお金をかけていません。年俸1億円以上の外国人がいなかったのは千葉ロッテだけでした。そんな中でマイク・ボルシンガー のように活躍した選手もいました。
読売ジャイアンツは、コスパの良かったメルセデスやアダメスがいたのですが、年俸4億円で獲得したアレックス・ゲレーロ(WAR 0.0)が年俸に見合う活躍が出来なかったのが勿体無かったようです。最下位は阪神タイガース。ロサリオへの巨額投資3.4億円がネックとなった形です。
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