Evidence Based Crinical Reasoning by Physical Therapist(理学療法士によるエビデンスベースドの臨床推論)④
こんにちは。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
何回かに分けて理学療法士の診断、クリニカルリーズニングに関して書いています。
前回の記事です。
下記の項目に関して書きます。
1.『診断』と『クリニカルリーズニング(臨床推論)』とは何か?
2.リハ専門職は診断を行うか?
3.リハ専門職の『クリニカルリーズニング(臨床推論)』はどんなものか?
4.私が感じていたリハ専門職の『診断』と『クリニカルリーズニング(臨床推論)』に対する違和感。
5. 以上を踏まえて、私がどのように考えたか
6.具体的な疾患を例に挙げた説明
昨日は、4で終わりました(*_*;。。。
今日はその続きから書きます。
5. 以上を踏まえて、私がどのように考えたか
①原因が分かっていて、その原因に対するリハビリの有効性が証明されているものはそのままでいい。
②腰痛などの様な『原因はよく分からないけど、どうすれば治るかはわかっている』疼痛や機能障害に関しては考え方を変える必要がある。
以下に②についての詳細です。
腰痛を例に挙げます。 まず、前提として、過去の記事にも書きましたが、今まで腰痛の原因を明らかにした人はいません。脳の機能低下の影響が言われるようになってきていますが決定的とまで言えないかもしれません。 姿勢や骨盤の傾きなどは影響がないとされていますし、
ガイドラインには『人間工学に基づいたアドバイスは行ってはいけない』と書いてあります。 『行わない方が良い』ではなく『行ってはいけない』です。
追記
人間工学に基づくアドバイスとは、例えば・・・
①パソコンをするときに、背筋をまっすぐにした姿勢で座りましょうとか、
②物を持ち上げる際に、腰を屈めないようにしましょうといった類のものです。
追記終わり。
この様に、腰の痛みの原因は分かっていません。しかしながらどうすれば治る(少なくとも軽減できる)かは、明らかになってきています。変形性膝関節症による痛みなどもある程度同じようなことが言えるかもしれません(変形性膝関節症はレントゲンなどの画像所見と症状の程度は一致しません)。
であれば、画像所見や評価や検査によって、運動器の痛みや機能障害の『原因』を探すのではなく、
a. どの治療に最も反応しやすいかを調べる
b. 目の前の患者さんにその治療法が適応か?
を調べる評価や検査を行う方がいいのではないか?と思いました。
この様なアイディアを話すと、『これは対症療法じゃないか?原因がわからなければ根本的な治療にならず、再発に繋がってしまう』という指摘を頂戴することがあります。ですが、疫学的に言えば、原因はわからなくてても症状を改善することも、再発を防ぐ方法も見つけることができます。まずは治療法が見つかって、その後にその治療の詳細なメカニズムが後の科学者のよって明らかになるというのは良くあることです。
一度まとめると、 私が思うPTのクリニカルリーズニングは、 医師による診断が確定(少なくとも生命にかかわる重篤な疾患は除外)した上で、どの治療法が最も効果が期待できるか?を明らかにする ことだと考えています。
長くなりましたので次回に続きます。
今日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。
理学療法士 倉形裕史
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