タテイト珈琲店

Gパン

2018.10.13 14:20

今日の加古川市、お祭りの地域が多かったようですね。

自宅の近所からも、タテイト珈琲店周辺からも、太鼓の音。

天気も良し。しばらく気持ちの良い秋を過ごせそうです。



ジーンズが好きです。

一週間のうち4日はジーンズ、エプロンもデニム。

汚れても破れても、それが「カッコいい」とされ得る、数少ない衣料だと思います。


糊も落としていない新品から穿くこともあれば、

どこのアメリカのおっさんが穿いていたかも分からない古着をありがたがって買うこともありました。

今も色々穿いています。

70年代のLevi'sも、80年代のWranglerも、

中学生の頃にジーンズメイトだかマックハウスだかダサめの店で親に買ってもらったダサいEDWINも、現役バリバリ。

高価なものや所謂ヴィンテージは持っていませんが。



そういえば、"尾道デニムプロジェクト"というものがありまして。

「どこのアメリカのおっさんが穿いていたかも分からないものをありがたがるくらいなら、日本のおっさんが穿いたものをありがたがろう」ということでしょうか。

すいません、もっとちゃんとしたコンセプトがあるはずです。適当に言ってます。


漁師、農家、職人、料理人…。

尾道で働く人々に、ジーンズを一から穿いてもらい、その「リアルな色落ち」に付加価値を見出す。

職業ごとに体の動かし方も違えば、働く環境も違う。

「ほほう、潮風に当たってあんな動きを繰り返すと、こんなところがこんなふうに色落ちするのか…」

といった面白さがあるのだと思います。


ただ、「この人が穿きました」という産地直送の野菜的な生々しさと、

「おっさんが穿いた」ことへの強気な付加価値設定に、食指が動きません。

ぶっちゃけ、高価なのです。僕にとっては。

顔の見えるおっさんの中古を穿くのはかなり抵抗があります。

でも、アイデアとインパクト、街を巻き込むパワーは凄いなと、いちジーンズファンとして思います。

(ちなみに、誰も穿いていないまっさらなジーンズも売っているとお客さまに教えていただきました。)



ジーンズが好きなわりに、よくよく考えると僕は色落ちの仕方に興味があまりありません。

普通に穿いて普通に洗う。穿いたら洗う。普通に干す。頑張って穿かない。

その過程における、タテイト珈琲店店主のリアルな色落ちで十分。

きっとそこに物語が。



それにしても、「色が落ちてしまう」というのは、衣料として本来は欠陥であるはずです。

なのに、ジーンズファンはそこに惹かれます。

二つとして同じものがない、唯一無二の"デザイン"となるからでしょうか。

それとも、ポケットに入れたケータイやサイフの跡に物語があるからでしょうか。



少しコーヒーに似ている気もします。

動物にとって、本能的に苦味は毒と認識して然るべきものです。

それでも、香りのアロマ効果、カフェインによる覚醒作用、何よりコーヒーの苦味そのものを僕たちは愛します。

本来は忌むべき欠陥であるはずなのに。



ちなみに、僕が持っている中で一番カッコいいと思っているジーンズは、

父が何十年も穿いてクタクタになった、よく分からないブランドの"Gパン"。

僕のジーンズの、原風景。



明日は日曜、定休日。

どのジーンズを穿いて過ごそうか。

また月曜の13:00より、皆さまのご来店をお待ちしております。