vor.41 5つ目の前世 ~二ーナとロメオ ①
すでにAさんとの前世を4つ体験して、どの前世でも共通するのは、Aさんの死別に対する悲しみでした。私が先に亡くなるというパターンで、常に彼に残される悲しみを背負わせていました。
まさかまだ同じような前世があるのではないか?とその頃、何となく感じていました。
けれど、今回の4つ目の前世は夫婦や恋人ではなく、スペインの親子だった人生を体験することになりました。
前世体験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私が母親でニーナ。
Aさんは息子でロメオ。
二人とも真っ黒の髪で、太い眉、長いまつげ、ほりの深いとてもはっきりした顔立ちでした。
最初に出で来た場面で、私たち親子は暗闇の中、必死に何かから逃げている光景でした。
林の中を手をつないで走っています。
どうやら教会のほうへ逃げています。
教会の扉を開け、身を隠そうとしています。
ロメオを腕に抱き、必死に見つからないように息を潜めて祈っていました。
誰かが追ってきています。
複数の男たちという気がしました。
彼らの目的はロメオです。
教会の外に追っ手が迫ってきました。
息を潜めて、ただ男たちが去っていくのを願っています。
ロメオは私の腕で震えています。
教会の扉が乱暴に開かれました。
ドカドカと踏み込んでくる足音が聞こえます。
4~5人の男たちの気配を感じます。
「子供を捜せ ! !」 そうはっきりと聞こえました。
ニーナはロメオをきつく抱きしめました。
どうして追われているのかも、どうしてロメオだけを捜しているのかも全く分かりません。
ただ子供を奪われるかもしれない恐怖におびえています。
( この時、現在の私の心臓もドキドキしてきました )
一人の男が私たちに気がつきました。
無理やりニーナの腕からロメオを引き離そうとしています。
ニーナは恐怖と怒りで叫びました。
ロメオも泣き叫んでいます。
ロメオを助けようと必死にもがくのですが、すぐに取り押さえられてしまいました。
ロメオは一人の男の脇に抱きかかえられ、恐怖に引きつった顔で、手を伸ばし助けを求めています。
「その子は私の子 ! ! 連れて行かないでーー ! ! !」と叫びます。
まるで自分の半身をもぎ取られたような苦しみと悲しみを感じています。
必死に押さえつける男たちを殴ったり蹴ったりして抵抗しています。
手に余ったようで、一人の男に突き飛ばされました。
勢いよく台に頭を打ち、そのまま気を失ってしまいました。
その様子をロメオは見て必死に暴れています。
「ママー ! ! ! 」 ロメオの泣き声は真っ暗な教会に響き渡ります。
だんだんその声は遠のいていきました。
それを最後にロメオとは二度と会うことはできませんでした。