「虎嘯龍吟」第三十五集
夏侯徽は一瞬だけ覗き見た夫宛ての地図の記憶を頼りに山へと入る。果たしてそこには大規模な兵士の訓練場があった。指揮をしているのは汲布に違いない。青ざめ帰ろうとする彼女の背後から小さな人影が近づき、そして彼女を石で殴り気絶させた。その人影とは、義弟・司馬倫であった。
司馬家では夏侯徽が失踪したと騒ぎになっていた。それを聞いて帰って来た子上に司馬倫はこっそり義姉の居場所を知っていると告げる。
司馬倫が兄を連れて来たのは山の洞窟だ。そこには手足を縛られた夏侯徽の姿が。彼女は全てを見てしまった、だからどうするかは兄上が決めて。そう言う司馬倫に、子上はすぐに縄を外しにかかる。だが夏侯徽は逃げ出そうとし子上は取り押さえる。ここから二人で逃げ出そう、洛陽から遠く離れた田舎でひっそり暮らそう、そう言って子上は長年隠し続けていた義姉への思慕を告白する。だが夏侯徽は怒り唾を吐きかけ、せっかくの好意を踏みにじられた子上は逆上し彼女の首に手をかける。指に強い力がかかり、そして夏侯徽は足元から崩れ落ちる…。
姪の結婚の前祝いに夏侯玄がやってきた。仲達は夏侯玄に昨日から夏侯徽が行方不明になっていることを告げる。その時、侯吉が大慌てでやってきた、大変です奥様が、奥様が!…運び込まれて来たのは変わり果てた姿の夏侯徽。首には絞められた跡が残っていた。
曹爽は司馬懿が口封じのために夏侯徽を殺したに違いないと兵を引き連れて司馬府へ押しかける。いち早く察した柏氏が宮殿へ赴き太后を連れてきた。曹爽は夏侯徽が子元の佩玉を握っていたことから子元が犯人で司馬懿が謀叛を企てている証拠を見たから殺されたのだと主張する。太后はそれが真であればまず裁判を行うべきで曹爽が独断で刑を執行することは犯罪だと突きつける。仲達は確かに子元に疑惑がかかるのも無理はないと、春華の反対を押し切って彼を連行させる。春華は怒りと悲しみのあまり血を吐いて倒れる。
柏氏は息子を呼び出し昨日はどこへ行っていたのかと追及する。司馬倫は勉強をさぼって遊びに行ってましたと答える。夏侯徽を見たのではと問うと、まさか、と答え、母上は自分の息子が信じられないのですかとニッコリ笑う。その後姿に柏氏と小沅は得も言われぬ不安をかき立てられる
春華を診た医者は、残念だがもう長くないと言う。長年の心労が溜まりに溜まって限界に来ていたところへ大きなショックを受け体はもうぼろぼろになっていると言うのだ。あの元気な妻が、まさか知らない間に病に冒されていたとは…仲達の目からは涙がぼろぼろこぼれ落ちて止まらない。
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うっそ、春華が先に退場するの?絶対柏霊筠のが先だと思ってたのに。