ここに生きてる

プラスチックの銃で狙う

あてはずれでピンボケの空

工場の煙になって うぬぼれの未来描いた

いつかのヒットソング聞こえてくる

擦り切れた安い台詞を並べて

リズム刻んだ引き金の音で

何故か懐かしいあの頃に焦がれた

この世界を壊しても

時間は永遠に流れゆくから

この世界の片隅で 生まれて消える運命だから

憧れも 優越も 刹那の光

ここに生きてる

記憶 / 渋谷すばる

エブリイと一緒に旅をする

たくさんの工具と重たい重機をのせて

いろいろなところに走り飛ばす

作業着の汚れは落ちないな

ただアクセルを踏むだけだ

ヘルメット被って 重たい道具を腰に巻いて

足場からの景色はどれも綺麗で

働いてるなと感じる いや働いてるだけだ

ここは金を稼ぎのために来てるだけで

それ以上のことはなにもなくて

そういうの すこし寂しく思ってる

現場が終わればまたエブリイに乗って

次の現場

高速道路はもう慣れた

白バイ 覆面パトカーに捕まってたり

トラックがクラッシュして

事故起きてたりとか

工事渋滞とか 毎日いろいろ起きてて

なんも知らんふりして 走りすぎる

家に帰れないことは多々あって

車中泊はもう慣れたもんだ

エンジンを止めてさ それはそれは

夏は酸欠になりそうなほどで

冬は凍死してしまいそうなほど

居心地は悪いもんでさ

あいつらはアホだから

そのうち慣れて居心地良くなるよって言うけど感覚が麻痺してるどころか

そう言ってなきゃ生きてられない

 精一杯なんだよな

知らない土地で朝を迎えて

コンビニでおにぎりをふたつ買って

また現場に向かう

このエブリイもおんぼろで 凹みだらけで

それでも頑張って走って まあ可愛いやつだ

明日は所沢に行く

好き勝手生きたい 翼を早く広げたい

でもまだ辛抱 もっと苦しまなければならない

この先 もっと人に優しくできるように

酸いも甘いも噛み分けろ

まだまだ涙は出るはずだろ

出なくなるまで ボロボロになれ

高村光太郎の智恵子抄がすきだ

わたしもいつか たったひとりの

まだ会ってもいないきみだけに

愛されたい