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しゅりる

浦戸諸島での研修

2018.10.14 15:33

私たちは地域創生の研修として、宮城県塩竈市にある浦戸諸島に行ってきました。

浦戸諸島は主に桂島、野々島、寒風沢島、朴島という4つの有人島で形成されています。

産業としては海苔や牡蠣の養殖、シラウオ漁、農業などがあります。


観光業や、地域の物産品を伸ばすというのも肝心ですが、

私たちの関心の一つとして、「いかにコミュニティを形成するか」というものがあります。

しかし、浦戸諸島は地形の特性上、どうしても交流が難しいのです。


コミュニティを形成する必要性として、次の二点があげられます。

第一に、島同士の交流を促進し、産業を発展させる

第二に、島外の人たちとの交流を増やし、島を知ってもらう

これらによって、よりよい地域の形成をしようという取り組みです。

なかなか容易ではありませんが、私たちにとって良い学習機会となりました。



せっかくなので、仏教学のアカデミックな視点を交えて感想を述べたいと思います。

浦戸諸島では、「地蔵信仰」を中心とした宗教文化が形成されています。

そして、自身のお墓の中に、「無縁供養」の地蔵も建てるという風習があります。

また、後世になり、浄土信仰や密教文化、庚申信仰が入ってきたためか、

大日如来石碑や曼陀羅石碑、阿弥陀像、徳本名号碑、庚申塔といったものがあり、

住民を中心とした講の文化なども残されています。

おそらく、昔の有力者が「信仰」をきっかけとして、島の人々を一つにまとめあげようと試みたのでしょう。


なかには「埋封大乗妙典墓誌」と刻まれた石碑もありました。

仏塔の中か、地面か、どこに埋封されたかはわかりませんが、

仏典はとても大切に扱われていたのでしょう。


また、神社の中に仏像が配置されていたり、寺院施設の前に鳥居があるなど、

神仏習合の色彩が非常に強く残されています。


島の人々ははるか昔から、神仏に対して「自然のありがたさ」を感じ、

そして、共生している社会の中で、隣人を大切にしてきたのでしょうね。



私たちが島にいて心に残った景色もあります。それは夜の寒風沢です。

灯りが非常に少ないなかで、星空が非常に鮮明に見えるのです。

田舎にいって、ただただ「都会よりも星が見える」というのではなく、

粒子のような細かい星までもが、びっしり夜空を埋め尽くしているのです。

静けさの中、非常にロマンティックなムードを演出してくれます。

そのような自然の演出を、もっと多くの人々に提供するためにも、島づくりが必要なのだと思いました。


文責:濱田