北村明子 Cross Transit project 「土の脈」観劇。
まだ、SNSという言葉が世界にないころ、私にBLOGというものを教えてくれた知人とはフェイスブックでは繋がっていて、今年になって1D1U kitを発売した記事を見ていただいたようで、15年ぶりくらいにメールのやり取りをしました。(笑)「手帳おひとついただけませんか?」というメールだったのですが、それでもお忙しいようで会えず、今だ会えていないのですが、素晴らしいダンス公演のチケットを2枚頂いてしまいました。解読不可能だけどソウルフルなダンスということで、何の情報もなしに、バレエが趣味の母を誘いKAAT劇場へ。
タイトルは「土の脈」。ねじれた時間のリズム・意味をなさない音・ばらばらなものが集まる・身体中から溢れる祈り・土地の声・土の脈…そんなキーワードがちりばめられた75分間のパフォーマンスです。
KAAT劇場は、パフォーマーに近い位置から見下ろせる傾斜の付いた、座り心地の良いベンチのような客席配列になっており、Parisにありそうな素敵な雰囲気でした。舞台のはじまりは真っ暗で、ダンサーたちもシンプルにブラック。吹雪のような白い紙が吊るされ、舞い散っていました。
観客たちも固唾をのまなくてはいけないほどの静けさから始まりました。ダンサーたちは無音のなかですが、まったくずれることなく同時に動けたり、しかもその動きは見えないほど速い。バレエとヨガと武道が混在しているかのような動きとダンサーたちの筋肉。母がしきりに、「あれだけ激しく踊っているのに、ダンサーたちはいつ息をしていたのだろうか?」と、まったく息が切れていないところに感動をしていました。
途中からどこの国でもない言葉のような音が発せられながらのダンス。出逢った二人は言葉になっていない言葉でコミュニケーションが交わされ、時々混じる私たちの知っている日本語が入りながら、やがて日本語を知らない相手も知らないうちに片言の日本語が移り、つながりを見せていきました。
太鼓の音、美しい音をしている言葉のない歌声、聴いたことのない楽器の音、どこにも存在しない言語、初めて見るどのジャンルともいえないダンス、激しいわりに音のない鼓動。宇宙の異次元空間い迷い込んだかのような無限の世界。知らないものはわからない。だけど知ってみたい、そんな疑問を抱えながら、疑問も解けないまま75分が過ぎ去りました。すごかったとしか言いようがない。でもこうして、文字にしてみたら、意外といろいろと仮説を立てて、空間認知をしていた自分にも気づかされました。
このエネルギーを身体に蓄えた私と母は、適当に横浜港を散策することにしました。遠いところに見えた、船なのか建物なのか? それに近づくために歩き出したのです。そして大さん橋に到着して目の前に現れたのは、横浜に停泊していた「セレブリティーミレニアム号」でした。
船のホテル!です。欧米人のシニア夫婦が多く、この船ホテルに滞在していて、日本人の私たちを眺めたり、手を振ったりしていました。こんなに大きな船見たことない!
想定外の船にたどり着き、トータル15000歩歩いた日でした。一体この船のサインは何だったのでしょうか?(笑) ど真ん中の席の招待券をくれたブログの恩人のお陰で思いがけない1日となりました。本当にありがとうございました。