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【第1回】新人脚本家■小野ヨイコ■プロデビュー企画エッセイ

2023.12.17 02:00

子育てと仕事をしながら
今日から1年間で
脚本家デビューします


■ワーママ+プロ脚本家になるには

ワーママ+脚本家を両立したい小野ヨイコです!

このコラムは、

シナリオ作家集団トキワに雑務担当としてしれっと所属させていただいた小野ヨイコが、

トキワのプロ作家の皆さんから刺激を受けながら

会社員を続けつつ、4 歳と 2 歳の男児を育てつつ、

1年以内に脚本家として商業デビューするため色々やってみる!という実験的なエッセイです。


■商業デビューへの道のり

まずは、1年後のゴールまでの道のりを皆さんと共有できるよう、それぞれの定義を明確にします。

以下はシナリオでいうところの“カセ”にあたる部分で、達成したい願いをジャマするものたちです。

そしてどれも、私、小野ヨイコの人生では大切なものばかりなのが厄介です。


① 会社員である

小野ヨイコは、とある会社の正社員です。


勤務時間は 10:00〜19:00 ですが、シフト制のサービス業なので

状況によって急な早出や残業があります。

地域の人々の健康をサポートする接客業です。


36 歳、年相応にそれなりに努力して積んできたキャリアがあります。

仕事にやり甲斐も感じています。(もう少し出世もしたい)

現状では、退職や転職は視野に入れていません。

今より収入を落とせないのも大きな理由です。


「脚本家も目指しながら正社員も続けたい」とは虫のいい話ではないかと葛藤もあります。


通勤時間はドア to ドアで小1時間。

その内、電車に乗っている時間はわずか 9 分です。あとは歩いています。


② 育児中である

小野ヨイコは 4 歳と 2 歳の男の子を育てています。

平日は家から徒歩 10 分の保育園に預けて仕事に出ています。


保育園には月極の延長利用料を自腹で支払っています。(月々2 人合わせて 8,000 円)

それにより、通常 18:00 までの預かりのところを 19:00 まで延長してもらっています。


私と夫の実家から日々の育児のサポートはありません。

基本的には、何が起きても私と夫の 4 本の手だけで解決していくスタイルです。


夫との共稼ぎでなんとか子供達の将来の学費を貯金しています。

家計に余裕はなく、親類からの金銭的サポートも特に受けていません。

世帯年収は昨今の 30 代共働き家庭の平均かちょい下だろうと思います。


③ 目指すゴールの商業デビューとは

一般的に映像脚本で商業デビューというと、

テレビドラマ、劇場映画、V シネマ(オリジナルビデオ)などを指し、

さらに最近ではプロ制作の配信ドラマも加えたこの 4 つと定義します。

要約して、市場に出まわる映像作品を目標とします。


いかがでしょうか。

この3つの要素を踏まえて、小野ヨイコという名も知れぬアマ作家が

1年で商業デビューできるでしょうか?


■タイムリミットまで あと 【8016時間】

そもそも、なぜ1年という期間が設けられたのかについても、少し説明させてください。


さかのぼること今より 9 年前の 2012 年、

フルタイム正社員で地域の人々の健康をサポートするべくバリバリと昼夜働いておりました。

独身で趣味もなく、自由に使える時間はたっぷりありました。


その頃、シナリオ教室に通い始めました。

なぜ急にシナリオ教室に通い始めたのかについては長くなるのでまたの機会に。


2016 年まで通って、ある程度の課程を修了しました。

それは今の夫と結婚して、長男も産まれた頃でした。


片乳を授乳しながらノートパソコンの前であぐらをかき、

シナリオ教室の課題を通信で提出し終えました。

シナリオ教室は上のクラスへの移籍を予定していたのですが、

急に夫の収入があれよあれよと半分になりまして、

私も育休中でしたのでほぼ無収入で、小野家は貧乏になりました。


貧乏な中、毎月シナリオ教室に1万円近くの月謝を払う余裕もなく、

シナリオは諦めました。


辞める時、お教室の先生から手紙をもらいまして

「ヨイコさん、人生にはシナリオを書けないときもあります。がんばって」

というものでした。


その「続けて」というメッセージを胸にそっと置いたまま、2020 年になりました。

小野家はまだ貧乏でした。ついにコロナが追い討ちとなり夫の職場が倒産しました。

その時、Twitter をスクロールしていたらこんな記事に出会います。

これは元のツイートで、実際に私が見たのはこれをリツイートした米村唯さんのアカウントでした。


不躾にも米村さんに突然 DM を送り、半ば無理やり 2020 年 2 月から参加させていただけることとなりました。


「少しだけ説明させて」といいながら、トキワ所属にいたるまでを延々と書いてしまいました。


そういうわけで、トキワに雑務として潜り込んだ小野ヨイコをですね、

主宰の難波望さんはじめメンバーの皆さんが本当にあたたかく迎えてくださったんです。


そうしてちょっとずつお仕事を紹介してくださったり、企画書の書き方を教えてくださったり、

とにかく勉強になる1年でした。

具体的にどのように勉強になったのかは、次回更新時に詳しく書きたいと思います。

さらには、2020 年の年末に「小野さん、トキワのコラムにエッセイ書いていいよ」と

難波さんからご提案をいただきまして。


ただの私の成長日記じゃあ誰も読まんということで

「1年で商業デビューできるか」というチャレンジ企画になりました。

スローペースな私に難波さんが痺れを切らしたのかもしれません。


なんせ、シナリオを書き始めてからもう9年も経ったのです。

スローペースにも程があるのです。


書き始めた頃は「20 代のうちに売れる!」と意気込み、

途中で金銭的に諦めたとは言っても、昨年こうしてまたシナリオの世界に飛び込み

1年が経ったのです。


「いつか子育てが落ち着いたら…」と逃げて提出しなかったプロットもありました。


4 歳の長男も今年は 5 歳になり、その先には「小1の壁」があると聞きました。

そうしたらきっと私はまた「息子が小学校を卒業したら…」とか言い出すかもしれません。


■不安と期待のチャレンジ企画

「いやいや、1年で商業デビューなんて無謀ですよ」

そう思います?思いますよね?

私も思います。「無理ですー!」と逃げてしまいたい。


達成できなかったら恥ずかしい。誰かをガッカリさせるかも…。

商業デビューのために執筆の時間を増やしたら、生活のどこかにしわ寄せがいくに違いない。

夫はなんと言うだろうか…。

相談してみました。

「うーん、10 年後生きてるかわからないから、今やれば?」


「できるかできないか」を飛び越えて「生きているか生きていないか」の次元から意見をくれました。


たしかに、失敗したからとて命取られるわけでなし…!!

とにかくやってみよう、と腹をくくりました。


そうして小さな家族会議がひらかれ、もしもこのチャレンジ企画が成功した暁には、

小野家初めての家族旅行をすることも決まりました。

子供が生まれてから職場と保育園と家の往復生活で、

やっと家計が安定してきた昨年はコロナに見舞われ、

正直この 5 年、旅行どころではありませんでした。


来年の今頃は、コロナが終息していることも願い、

マスクをはずして、家じゃない保育園じゃない、世界は広いんだよと

息子たちに見せてあげなきゃ…!と俄然気合の入る小野ヨイコです。

というわけで、今回のコラムは

無謀なチャレンジへの初心表明ということでこれにて終わらせていただきます。

次回更新は1ヶ月後、2月末を予定しています。


毎月更新の全12回です。

次回以降では、具体的に「執筆時間の捻出」や「プロからの刺激」にフォーカスしていきますね。


2021 年1月

このエッセイに目をとめてくださり、ありがとうございました。

健康と平和を添えて

小野ヨイコ

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