【第11回】新人脚本家◆小野ヨイコ◆プロデビュー企画エッセイ
いよいよ迫るタイムリミット。
1ヶ月後にプロデビュー…?!
■会社員+子育て+プロ脚本家、すべて両立させるには?
このコラムは、
シナリオ作家集団トキワに所属した新人作家・小野ヨイコが、
会社員で生計を立てつつ、暴れ男児2人を育てつつ、
トキワのプロ作家のみなさんから刺激やアドバイスをいただき、
1年で大きくプロデビューするぞ!というチャレンジ企画です。
プロデビューチャレンジのタイムリミットまで、いよいよ1ヶ月を切りました。
果たして、ワタクシは来月末までにプロデビューできるのでしょうか…?
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■現在進行中のシナリオ案件
①商業用オムニバス映画シナリオ
今年の8月にメインライターとして採用していただき、執筆を開始したオムニバス映画シナリオ。
いよいよ、最後のシナリオに手をつけております。
監督から事前に提示されたモチーフや、出演予定の俳優さんのイメージを汲み取って脚本を書いてきました。
コロナ禍もあり対面での打ち合わせは叶わないものの、メールの文面からも監督のお優しい人柄がわかります。
送付したシナリオの感想に必ず誉め言葉を入れてくださるのです。
もうそれだけで、天にも昇る喜びです。
②有料ドラマ配信サイト売り込み用企画書
売り込み用企画書の2本目を作成しました。
先月作成した1本目はNetflixへ、今月作成した2本目はDisney+へ。
内容は全く別の物です。
実現に至るかどうかわからない、すぐに報酬が出る案件ではないものの
なぜか湧き上がる思いがあり、力強く企画書の作成に臨めました。
自分一人で挑むコンクールとは違い、企画原案者の方とタッグを組んで、キャラクターを掘り下げたり、物語の構成を練ったり…そういったチームプレイに燃えたのだと思います。
③トキワ所属作家によるボイスドラマ脚本&演出&編集
今月、無事に収録が終了しました。
実は収録日の約2ヶ月前にはシナリオは書き上がっていたのですが、
収録直前まで声優さんが決まらず焦りました。
というのも、オファーさせていただいた声優さんが、たまたまお忙しい時期で
事務所からのお返事に時間を要してしまったのです。
声優さんのスケジュール的に、収録直前にならないと出演OKか NGの判断がつかないとのこと。
念のためボイスドラマ企画主催のササキタツオさんに現状をお伝えしました。
恐る恐る…「もし最悪の最悪、収録日までに声優さんが決定しなかった場合…自分自身の声でやりますか…?」と聞くと、力強く「それは、ありえません!」と。
「それでは、私のボイスドラマシナリオはお蔵入りですか…?」と聞くと「それも、ありえません!」と。なんと心強いお言葉。
さすがボイスドラマのご経験を積まれているササキさん。
最悪の場合を切り抜ける秘策を2つ、教えてくれました。なんと!そんな手が…!ホッとしました。
秘策についてはここでは明かせません。秘策なので…!(笑)
さて、そんな秘策も杞憂に終わり、正式に声優さんからご出演OKのお返事がいただけました。
有り難いことに本番当日までに、2時間以上の本読み&お稽古に2回もお付き合いくださいました。
準備は万端!本番当日、ササキさんの用意してくださった録音機材も良好!
お稽古の甲斐もあり、想い描いていたとおりの、
最高のイケおじ渋ボイスで語る乙女セリフが無事収録できました。
BGMの使用許可取り、SEの選定、最高のイケおじ渋ボイスの音声ファイル…
すべての素材がそろいました。
いよいよここから終盤。
スマホの音声編集アプリで、切って並べて重ねて…ボイスドラマ仕上げます!
通勤電車の中で!
スマホ編集だからといって侮るなかれ、有料プロ仕様の編集アプリです。
パソコン編集と仕様は変わりません。
必ずやハイクオリティに仕上げてみせます。
トキワ【ボイスドラマ企画】参加作家
主催:ササキタツオさん
・西島ユタカさん
・花苑さん
2022年1月~作家ごとに各媒体で配信スタートです。
それぞれの作家の個性溢れるボイスドラマとなっております。
■シナリオ執筆後に絶対必要なモノ
は何だと思いますか?
このチャレンジ企画をスタートして、商業も自主も意欲的に取り組んできました。
その中で、なんとなくわかってきたことがあります。
それは、シナリオは一人で書きあげてはいけないんだなぁ、と。
書き上げた後、客観的に作品を読んでくれる誰かの存在が必ず必要でした。
それは執筆仲間に限らず、お友達の役者さんでも。
監督志望の後輩や、少し先を行く先輩作家。
率直な感想を忖度なく不躾にくれる誰か。
そこには、相手の時間を貰うという意味でも、自分のシナリオに率直な感想を貰うという意味でも、信頼関係が必要でした。
信じられる仲間をつくれるかどうかは、シナリオライターとしての成長を大きく左右するんだな、と思いました。
今年の夏、小柳智則さん(プロデューサー)率いる静岡ムービーイノベーションクラブの映像制作勉強会に参加しました。
その際、波多野貴文監督(演出家・映画監督)がゲストにいらっしゃいました。
波多野監督への質問タイムがあり、ある若手俳優さんが
「本番になると緊張してしまい、思うようなお芝居ができません…」という相談をしたのです。
その質問、私の脳内では「監督に読まれると思うと、緊張して思うようなト書きやセリフが書けません…」と脚本に変換され(わかる〜〜)とzoom画面の端の方で大きく頷いていました。
波多野監督は、「作品のことを想えば、そんなことは気にならない。同じ作品を創るチーム内に、あなたを陥れようとしている人はいない」と教えてくれました。
この言葉はとても心に残り、その日からずっと支えになっています。
「あなたを陥れようとしている人はいない」って、とても安心する言葉です。
■じわじわと迫る「小一の壁」
今月、子育て方面では七五三をお祝いしました。
長男が来年4月から小学生になるにあたって、
「保育園よりも小学校の方が大変」という話を周囲から聞きました。
保育園よりも帰宅時間は早まるし、宿題ができたかどうか、翌日の時間割にあわせた持ち物チェックなど…日々の子にかける時間が増えるらしいです。
ただでさえ今も毎日、バタバタとやっつけで過ごしているのに、これ以上タスクが増えたら子供にも夫にも負担をかけてしまうなぁ…と来年を憂いながら…袴姿の兄弟をパシャリ。
■サラリーマンいつまで続ける?
15年以上、シナリオとは全く異なる業界で会社員をしています。
今月から勤務地が異動になりました。
今まで自宅から30分程度だったのですが、
ドアtoドアで1時間の店舗へ通うことに。
電車に揺られる時間は9分から20分に。
20分あると本が読めます。
さっそくトキワの先輩から紹介されていた本『往復書簡 初恋と不倫(坂本裕二)』に手をつけました。
Kindle便利ですね。特に良いのが「残り◯分で読み終わる」って左下に小さく表示されているのがいいです。
たしかに紙の本だと、あとどのくらいで終わるのか無意識に把握しながら読んでますもんね。
そして、このコラムも帰りの電車でスマホで打っています。
先月から頭をかすめている「転職」。
会社員・子育て・プロ脚本家の両立をこの一年目指してきたわけですが…
このまま会社員をつづけ安定した収入を維持しながら、脚本も書き続けるのは圧倒的に時間が足りない。
思い切って在宅の「シナリオライター」という肩書きにフルキャリアチェンジするには収入面が不安過ぎる…。
家計簿アプリと転職サイトを見つめながら、もやもやと悩み続けています。
このチャレンジ企画コラム最終回となる12月末には、答えを出そうと思います。
それまで皆さま、健康で楽しくお過ごしください!
2021年11月
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