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【最終回】新人脚本家◆小野ヨイコ◆プロデビュー企画エッセイ

2023.12.17 13:53

会社員+子育て+プロ脚本家の両立はできたのか?

このコラムは、シナリオ作家集団トキワ所属の新人脚本家の小野ヨイコが、

脚本とはまったく無関係の業界で会社員をしつつ、5才と3才の男の子を育てつつ、

2021年の一年間で大きく市場デビューできるか?! というチャレンジ企画です。


さて、いよいよ今回が最終回です。

焦りと不安の中、目の前の書くべき物を着実に書いていきた一年でした。

それが達成に繋がる道と信じて、年末まで突き進んできました。


初回コラムはこちら→【第1回】新人脚本家◆小野ヨイコ◆プロデビュー企画エッセイ

■チャレンジ企画総まとめ

この一年で挑戦したコンクールやコンペ総数…19作品

【内訳】

大きなコンクール…10(0/10)

商業用コンペ公募…2(2/2)

売り込み用…3(0/3)

自主制作…4(3/4)


・実績なしワーママシナリオライターが一年本気で頑張ったら?%の確率でプロデビューできる。

詳細はコラム最後の結果発表までお付き合いください。


・実績なしワーママシナリオライターが一年本気で頑張ったら、26%は映像化される。

本当に有り難いことに商業と自主あわせて19本中、5本が作品として実現されました。


・一年本気で頑張ると謎の体調不良にもなる。たまに夫とも衝突する。

年末、チャレンジ達成に焦るあまり家事よりも執筆を優先させて少々喧嘩してしまいました。気まずかったです。


・転職もしたくなる。

シナリオライターへの転職応募…2社(0/2)

書類選考は通過したものの、二次選考の試験で落ちてしまいました。

すごく悲しかった……。

チャンスを逃した、ワタシの頭が悪かった、もっと頑張っていれば……。


同じタイミングで長編映画コンペの落選通知にもショックを受け、ネガティブな思考に支配されました。

尊敬している映像監督さんと組んで応募した企画だったので、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。


・「お金」と「時間」のバランス感覚が狂う。

それでもクリスマスを迎える頃には、

「天国の祖父母なら、こんな時なんて声をかけてくれるかな…」と自分で自分を慰めて、立ち上がろうとしました。

祖父母はいつも私の味方で、私が失恋して部屋で泣きじゃくっている時も、酔い潰れて朝帰りした時も、正しい優しさで包んでくれてる人でした。


今はもう居ないけど、居たらなんて言ってくれていたかなぁと。


なんとなく、良い顔をしない祖父母が思い浮かびました。

どうして祖父母は良い顔をしてくれないのか…?


子供の世話が終わった夜中に執筆を頑張れたのは「この一年は頑張ってみよう」と期限を決めていたから。これが一生続いたら倒れてしまう。

だから、在宅で時間にも体力にも余裕ができる仕事に転職したくてたまらなくなりました。


でも、祖父が亡くなるとき、遺言のように私に何度も「絶対に会社を辞めてはだめだよ」と言っていたんです。


冷静に考えると、貯金なし実績なしでの転職は危険すぎますよね。

(多少収入が下がっても執筆時間が増えればその分実績も増やせる、そうすれば…)なんて希望的観測は博打に過ぎず。

さらには(会社員としてのボーナス一回分を自主制作費に回せば、好きな作品が一本作れる…!)それも安易で危険な思考でした。


私が最低限守らなければいけないルールは家族に迷惑をかけないことであって、素人の出来心で貯蓄資金に手を出すわけにはいかないのに、です。


会社員と子育てと執筆の並走が体力的にしんどかったから、

もっと執筆時間が増やせれば……と、少しずつ少しずつ楽な方に思考が流れていたのです。


■大事なものを守りながら、成功する方法

いつのまにか私は大好きな祖父母に守られる側から、チビ助2人を守る側に。

温かい宝物を守りながら、己の欲望を実現するのは不可能なのでしょうか?


この一年挑戦してきて、圧倒的に落選の方が多かったし、家族にも迷惑をかけてしまって、私の執筆に価値はあるのか意味はあるのか。虚しい。悲しい。色々な思いが交錯しました。


祖父は…大好きな祖父は一体どうやって夢を実現させたのだろうか。

終戦後、京城からひきあげてきた祖父は親も家もない何もないところから、映画を作りたい一心で新宿の人形劇場で仕事に打ち込んだと聞きました。


「夢が稲穂のようにたくさん実りますように」私の名付けに込められた意味は、祖父自身の願いそのものだったのでしょう。


祖父は実現させました。

大切なものを一つずつ手に入れ、守りながら、夢を実現させる方法があったのです。

大切なものを犠牲にする必要はありません。

「続ければいい」と祖父の背中も、難波さんも、先輩作家の方々も、シナリオセンターの先生も、ずっとずっと私に教えてくれていたのです。


目立たなくともシナリオの世界に身を置き続け、

今の自分に書けるより少しだけ上の案件にチャレンジし続けて、

シナリオを勉強し続けて、

「その時」が来るまで虎視眈々と爪を研ぎ続けることが成功に繋がるんですね。

肉を切らせて骨を断つ、脚本家として名が爆ぜるまで引き続き頑張ろうと思います。


■チャレンジ企画の結果は…

チャレンジスタートの1月に、トキワ主宰の難波さんと相談して決めた達成条件は下記でした。


① テレビドラマ

② 劇場公開映画

③ V シネマ(オリジナルビデオ)

④ プロ制作の配信ドラマ


これら市場に出まわる映像作品のうち、どれか1つでの脚本家デビューが条件でした。

そして、このたび


条件③にあてはまるオリジナルビデオ作品が、来春から撮影スタートとなります!


本当はババーンと作品URLや告知動画を載せられると最高にカッコ良かったのですがスミマセン。

「ホントかよ〜」「見栄はってウソついてんじゃないの〜」と思われてしまうかもしれませんがご容赦ください。

完成した暁にはシナリオ作家集団TOKIWAホームページにて改めて。

ぜひ観てください。よろしくお願いします!


■2022年はさらに新しい挑戦へ

ヨイコラムは、これにて最終回となりますが、

今後も同じ志の皆様と作品を通じてお目にかかれること楽しみにしております。


成長の機会をくださった難波さん、あたたかく見守ってくださったトキワの皆さん、ありがとうございました。

この一年があったおかげで、私の人生の中の「シナリオ」の価値が上がったのは間違いありません。


2022年は目標新たに、パニック映画の企画&脚本に挑戦します!

引き続きコンクールには応募し続け、商業向けも自主制作も

心と体がしんどくならない範囲で積極的に挑戦していきます。


ここまで読んでくださった皆様、

一年に渡りチャレンジ企画にお付き合いくださりありがとうございました!

この一年で皆様からいただいた応援の言葉と素晴らしいご縁は生涯の宝です。

またいつかどこかでお会いできる日まで、健康で楽しくお過ごしくださいませ。


2021年12月末日

小野ヨイコ