日本経済もマイナス成長寸前に・・・!?
現代ビジネス
【転載開始】
保守的な国際機関・IMFが試算した
「悪夢のような未来」
世界はいま、危機を迎えている
■日本経済もマイナス成長寸前に・・・?
先週火曜日(10月9日)、
「国際通貨制度の番人」であるIMF
(国際通貨基金)が世界経済の
先行きに異例の警鐘を発した。
警鐘は 「World Economic Outlook
(世界経済 見通し)」と
「Global Financial Stability Report
(世界金融安定報告)」という2つの
定例報告書に盛り込まれたものだ。
それらによると、現状でも世界経済は、
2018年と2019年の成長率が従来の見込み
より0.2ポイント低い3.7%に減速する。
加えて、貿易戦争の激化で投資意欲が
減退したり、市場の混乱を招いたりすると、
世界経済は巡航速度を維持できず、
日本経済はマイナス成長寸前まで失速
しかねない。
FRB(米連邦準備理事会)やECB
(欧州中央銀行)が進める金融正常化
も波乱要素を持っており、中国を除く
新興国から年間1000億ドル (約11兆3000億円)
の資金逃避が発生して、世界は10年前の
リーマン・ショックに匹敵する経済危機に
陥るリスクがある という。
保守的な国際機関が試算して見せた悪夢
のような未来を検証したうえで、膨らむ一方
のリスクに、我々はどう立ち向かうべきか
考えてみよう。
■いつもと違う報告書
まず、IMFについて簡単に触れておこう。
正式名称は、International Monetary Fund。
今年9月末現在の加盟国は189か国で、
本部はアメリカの首都ワシントンDCにある。
設立を決めたのは、アメリカのニュー ハンプ
シャー州ブレトン・ウッズで1944年7月に開催
された「連合国国際通貨金融会議」、
通称「ブレトン・ウッズ会議」だ。
参加44ヵ国の協定により、翌1945年に設立され、
1947年3月から業務を開始した。
現在の専務理事はフランス人で、女性初の
専務理事となったクリスティーヌ・ラガルド氏。
弁護士出身で、フランスの経済・財政・産業大臣
を務めた人物だ。
IMFの使命は、1930年代の世界恐慌、ひいて
は第2次世界大戦の引き金になった通貨切り下げ
競争の再発を回避するために、国際的な経済協力
の枠組みを作ること。
そのために加盟国の為替政策を監視し、 国際収支
が著しく悪化した加盟国に支援融資をする役割を
担っている。
言わば、国際通貨制度の番人である。
最近では、通貨危機に陥ったアルゼンチンの危機
回避策として緊急融資などを行っている。
前述の2つの報告書はいずれも定期的に更新
されている。
更新の頻度は「世界経済見通し」が3ヵ月ごと、
「世界金融安定報告」が半年ごとである。
両報告書がいつもと違うのは、異口同音に、
リーマン・ショックから10年の節目を迎えた
世界経済が、半年前には考えられなかったほど
大きな下振れリスクに直面していると世界経済
の先行きに強い危機感を表明した点である。
ラガルド専務理事も記者会見で
「ユーロ圏も日本も中国も成長鈍化の兆し がある」
と訴えているという。
危機感の根底にあるのは、欧米の利上げが原因
で新興国経済や国際通貨市場が混乱するリスクと、
トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争のリスクだ。
IMFのような国際機関はいたずらに危機感を煽る
ことを嫌うが、10年前のリーマン・ ショックの
ような国際的な危機が再発するリスクの高まりが、
IMFを異例の警鐘発出に駆り立てていると言え
そうだ。
■やっぱり原因は貿易戦争
両報告の一端を紹介しよう。
「世界経済見通し」は、今年と来年の世界経済の
成長率予測を3カ月前に比べて 0.2ポイント低い年
3.7%に落ち込むとしたが、下方修正はおよそ2年
ぶりだ。
リーマン・ショックから10年続いて来た世界経済
の回復・拡大局面が転換点に差し掛かったことも
意味する。
これだけでもかなり大きなニュースである。
今回の報告書は「シナリオ・ボックス」という
コーナーを設けて、現状(ケース①)だけでなく、
トランプ大統領が中国への制裁関税を上乗せした
場合(ケース②)、アメリカが輸入車や輸入自動車
部品全体(日本製、欧州製を含む)に25%の上乗せ
関税をかけて、それが報復合戦 に発展した場合
(ケース③)、そうした措置が投資の減退に繋がる
場合(ケース④)、さらに 市場の混乱を招く場合
(ケース⑤)の5つの シナリオに分けて、経済
成長率を詳細に試算 してみせた。
その結果、浮かび上がったのが貿易戦争の 深刻
さだ。
世界経済は、ケース③で0.4ポイント程度下振れし、
ケース⑤では最大0.8ポイント悪化するという。
貿易戦争が現状程度ならば、2019年の世界経済
の成長率は年3.7%と、巡航速度とされる年3.0%
以上を維持できるが、ケース⑤では成長率が年
2.9%程度に落ち込み、世界経済が失速しかね
ないというのである。
そのケース⑤で2019年時点のダメージが最も
大きいのは中国だ。
中国経済の成長率は1.6ポイント程度も下振れし、
年5%と同国として歴史的な低成長に転落しかね
ないとしている。
貿易戦争の災厄は発信源のトランプ米国にも
跳ね返る。
現状シナリオより最大1.0ポイント低下して年1.5%
成長に急減速しかねないのだ。
もちろん、日本も影響を免れない。
貿易戦争が現状程度にとどまっても、2019年の
日本の成長率見通しは年0.9%と先進国で群を
抜いて低いが、ケース⑤ではさらに0.7ポイント
前後下振れし、年0.2%とマイナス成長への転落
寸前まで落ち込むという。
もう一つの「世界金融安定報告」は、貿易戦争
に加えて、FRBやECBの金融引き締めが引き起こす
影響を憂慮している。
両者の引き締めは、リーマン・ショックからの
回復を目指した歴史的な金融緩和政策にピリオド
を打ち、次の危機に備えて金融政策の出動の余地
を確保するための金融正常化と位置付けられて
いるものだ。
FRBは、利上げをすでに今年3回実施したが、
さらに年内にもう1回、来年3回、再来年に最後
の1回を行う構えを見せている。
この結果、ドル高が進み、債務が膨張していた
新興国からの大規模な資金流出が始まり、
アルゼンチンやトルコ、ブラジル、インドネシア
が通貨危機に見舞われているのは周知の事実だ。
■リーマンショックを超えるかも・・・
「世界金融安定報告」は、米国だけでなく欧州
でも金融環境が急激に引き締まる可能性があること
を指摘したうえで、新興国の政情不安や政策面の
不確実性と結びつくと、新興国から先進国への
マネーシフトが大幅に加速するリスクがあると
強調している。
その深刻さについて、
「5%の確率で、中国を除く新興国の市場から、年間で
1000億ドル(およそ11兆3000億円)か、それ以上の
マネー流出が発生するリスクがあることが明らかに
なった」と述べている。
ちなみに、このマネー流出の規模は、ヨーロッパ債務
危機が起きた2011年当時の流出を大きく上回り、
10年前のリーマン・ ショック時の規模に迫るものだ。
リスクの背景には、米欧先進国のこれまでの
低金利政策が原因で、資金の運用先を求めて新興国
に大量のマネーが流れ込んだという事情がある。
そこで、報告は、通貨危機をこれ以上拡散しない
ために、新興国の政策当局がさらなるマネーの流出
圧力に備えて、健全な財政運営や外貨準備の充実に
取り組むことが急務だと結論付けている。
だが、世界経済の大幅な減速や新興国発 の国際
通貨危機を回避するには、こうした対策だけでは
効果が乏しい。
財政の健全化策は、新興国だけでなく、先進国、
特に日本にも必要な施策である。
リーマン・ショックから立ち直るため、各国が
大規模な金融緩和とあわせて財政刺激策をとった
ため、公的負債が膨らんでいるから だ。
FRBやECBが金融正常化に舵を切った以上、
金利負担の増大に耐えられるよう財政健全化を急ぐ
必要がある。
FRBもECBもそれぞれの国、地域の中央銀行で
ある以上、その国、地域に必要な金融正常化は怠れ
ない。
しかし、それだけでは駄目だ。
正常化を急ぎ過ぎて国際通貨体制の動揺を招か
ないよう細心の注意を払うべきだろう。
何より放置できないのが、貿易戦争の問題だ。
IMFと世界銀行の年次総会にあわせて先週木、
金曜の両日(10月11、12日)、インドネシアの
バリで開催されたG20(20カ国・地域)財務大臣・
中央銀行総裁会議は、懸案の貿易戦争を前に
共同声明すら採択できずに閉幕した。
これでは、世界大戦を繰り返さないために
IMFが創設され、その機能を補完するために
連携するはずのG20が機能不全に陥ったと
言わざるを得ない。
今一度、各国はトランプ米政権に貿易戦争を
自重するよう協調して圧力をかける必要が
あるのではないだろうか。
【転載終了】
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日本はマイナス成長の寸前ではなく、
既にマイナス成長の数字が出てしまって
いますよね。
そして、今まで言われてきたように、
米国は世界に災いをもたらす国という
ことですね。