「モリシタクサアリは超々寄生種か? 」
ヤマアリ亜科
ケアリ属:日本には18種が記録されています。岐阜県には16種が確認されています。
「モリシタクサアリは超々寄生種か? 」
クサアリ類はケアリ属の他種に一時的社会寄生をすることが知られていますが、モリシタクサアリ( Lasius morisitai )は社会寄生する相手のアリが判明していません。
今回、モリシタクサアリの脱翅メスをクロクサアリのアリ道で発見しました。その後、その脱翅メスをクロクサアリの働きアリと一緒に飼育してみました。飼育後100日以上経過しましたが、まだ共存しています。これらの結果は、モリシタクサアリがクロクサアリに一時的社会寄生する可能性を示しています。
クロクサアリはアメイロケアリに寄生しますが、そのアメイロケアリはトビイロケアリに寄生する「寄生種」です。
従って、クロクサアリは寄生種に寄生するため「超寄生種」とも呼ばれます。そのクロクサアリにモリシタクサアリが寄生しているとすれば、モリシタクサアリは「超々寄生種」ということになります。
写真①:クロクサアリのアリ道を歩くクサアリ類の脱翅メス(矢印)を発見した。岐阜市 12.VII.2018
写真②:クロクサアリの働きアリと同じスピードで一緒に歩いていた。岐阜市 12.VII.2018
写真③:この巣(クロクサアリ)の有翅虫も時おりアリ道に出てくることがある。岐阜市 15.VII.2018
写真④:クロクサアリの女王アリは立毛や伏毛が多い。岐阜市 15.VII.2018
写真⑤:この脱翅女王は立毛や伏毛がほとんど無く、モリシタクサアリの脱翅女王(矢印)と思われる。クロクサアリの働きアリはモリシタクサアリの体をなめることがあるが攻撃行動は見られない。岐阜市 12.VII.2018
写真⑥:この脱翅女王(矢印)は、まれにクロクサアリから栄養交換を受けるが、産卵している様子はない。12.VII.2018