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石川県人 心の旅 by 石田寛人

ベトナム石川県人会との交流

2023.12.23 15:00

 先月28日から今月3日まで、石川県人会では、14名でベトナムを訪問し、ベトナム石川県人会の方々と懇親、交流する会合を持った。忙しい旅程の中、一同元気で無事所期の目的を達成し得たのは何よりで、これもベトナム石川県人会や関係の皆様、近畿ツーリストの北沢氏、添乗員の吉田さんのご尽力の賜物と深く感謝申し上げる。

 一行は、中部ベトナムの大都市ダナンでベトナムに入った。この町は南シナ海に面する大リゾート地でもあって、長く続く砂浜は見事だ。我々は、そんな海辺のホテルで春巻きなどの美味しいベトナム料理を味わい長旅の疲れを落とした。翌日訪れた大理石と岩窟寺院で有名な五行山では、多くの仏像がある中で、二人の老人がベトナム将棋を指している像に目を引かれた。ベトナム将棋は、中国象棋とほぼ同じと聞くが、盤上の駒までは確認できなかった。今年、この地で藤井聡太棋聖と佐々木大地七段が将棋棋聖戦挑戦手合い五番勝負の第一局を指している。

 ダナンに続いて、少し南のホイアンに足を伸ばした。ここでは、観光の中心来遠橋、別名日本橋が大規模修理の最中で、屋根のあるこの橋全体が、工事用の覆いで囲われていたが、夜になって雨が上がると川の水面に対岸の明かりが反射し、流れくるランタンや多彩な提灯の明かりで、光のペイジェントが出現し、旅情がかきたてられた。

 次に見学したフエは、19世紀から20世紀にかけて続いたグエン朝の王宮があった古都。王宮は極めて広大で、時間の制約から外堀を入り内堀のすぐ中に立つ午門(ごもん)を仰ぎ見るのがせいぜいで、修復中の中心的建造物太和殿までは行けなかった。この壮大な王宮は、その前に見学した皇帝廟とともに、この国の力と伝統を十分に示すものであった。

 最後に、一行は南ベトナムの中心都市で、かつてベトナム共和国の首都であったホーチミンに赴いた。かつてサイゴンと呼ばれたこの都市は、北ベトナム即ちベトナム民主共和国の初代大統領でベトナム統一の大功労者ホーチミンの名を都市名にしたものである。人口は1000万人に達して、ベトナム首都ハノイより多い。一行は、ここから数十キロ離れたクチにあるベトナム戦争でゲリラ戦に使われたトンネルをくぐる実体験をして、ホーチミン市内の戦争証跡博物館を見学したが、枯葉剤の影響を示す展示やベトちゃんドクちゃんの写真で、戦争の悲惨さを改めて実感した。

 ホーチミンにおける主目的は、ベトナム石川県人会の方々との交流である。この地で活躍されている石川県人会の方々、北國銀行の水口さん、山下さん、北陸銀行の山田さん、三谷産業の米澤さんにお目にかかり、食事をともにして懇談した。成長目覚ましいベトナムで経済活動を続けるのは、とてもやりがいのあるお仕事であろうが、他面、大きなエネルギーを要すると思われる。そんな状況で、この四人の方々は、任務に励みながら、故郷石川に対する熱い思いをたぎらされていることに感銘を受けた。かくして、我々は、車とバイクの波で都市の道路横断がままならないほど活動的な国、人々がたくましく、やさしく生きる国、日本人団体観光客を見かけることが少なくなった国、力強く発展を指向し続ける国、そんなベトナムのホーチミンを後に、万感の思いでベトナム航空機中の人となったのであった。(2023年12月15日記)