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私たちの物語 #30~あの日、あなたと...~

2018.10.23 03:30

「あんた、名前は?」

「Ryok。」

「リョ...なんだって?」

「ま、好きに呼びなよ。どうやら、呼びにくいみたいだしさ。」

「ミコッテにいくらか知り合いがいるが、あんまり聞かない名前だな。」

「まぁね。私が勝手に名乗ってるだけだから。」

「なんだそれ。」

「私、親がいなくってさ。自分の名前もわかんないから、なんとなくいいなって思った響きをそのまま使ってるんだよ。」

「...なんか、悪いな。」

「別にいいよ。今更どうしようもないじゃない?それで、そっちは?」

「ん?」

「名前。そっちはなんていうのさ。」

「ああ、俺はDarren。Darren Jaegeaだ。」

「で、これは私が貰っていいわよね?」

「おいおい、おれの矢も刺さってるだろ?」

「でも、とどめは私でしょ?矢も当たりそうになったんだけど?」

「あ、ずるいぞ!それは、仕方ないだろうが!」

「ふふ、冗談よ。あなた、この辺りに住んでるでしょ?案内してよ。」

「何?」

「二人で食べようってこと。......あと、住まわせてよ。私、家もないのよね。」

「はぁ~?やれやれだぜ...」

「あんたの矢で死にかけたんだから、それくらいいいでしょ?」



「Dj!」

アレックスの叫び声で我に返る。

壁が割れて、巨人が現れたところだった。

これが依頼にあったヘカトンケイル族か。なんて、のんきなことを考えている間に、巨人の持つ棍棒が私に迫っていた。

「Dj!!!」

「ぐわっ!」

巨人に殴られて吹き飛ばされる。

「Dj、集中しな!そう何度も助けられるとは限らないんだからね!」

間一髪、トゥーグロナの魔法が巨人の一撃から守ってくれたようだ。

「ちっ、トトレイ!一旦、退くぞ。」

「了解。援護を。」

トトレイとアレックスが連携を取りながら後退してくる。

「ほら、一回退くよ。シャキっとしな。」

「ああ、ごめん...」

私は、ふらふらと撤退するのだった。