お腹の音と胃腸の運動
なぜ空腹になるとお腹が鳴るのか?
お腹がすいた時にお腹が鳴ったという経験をされたことがあるかたは少なくないと思います。
または、お腹が鳴る=お腹がすいていると表現したり、空腹な状態を示すのに「グゥー、キュルキュル…」などという擬音を使うのは漫画などでも良く見かけます。
実際、静まり返った教室や、談話中に音が鳴っていまい、何となく気まずい思いをされたことがある方も居ると思います。
実は、この音の原因は胃の中の空気の移動する音だと考えられてます。
胃は食べたものを一時的に貯め、胃の動きと胃液(酸)で細かくしつつ、少しずつ影響を吸収するために腸へと送り出します。
胃は何も入っていない状態ではこぶし程度の大きさで、食べたり飲んだりすると広がる風船のようなものです。
例えば風船をたっぷり膨らませてから、手を離したらどうなるでしょう?
ゴム風船などを膨らませたことがある方なら経験したことがあると思いますが、結構大きな音を立てながら縮んでいきます。
ゴムの伸び縮みの動きと同じように、胃も伸び縮みを繰り返すことで、食べ物を細かくし、腸へ送り出す働きを持っています。
また、胃は空っぽの状態でも、通常1分間に4回程度の割合で規則的に伸びたり縮んだりを繰り返しているとされています[1]。
とりわけ空腹時は不意に強く縮むことがあり、この時に腸へを空気が押し出されることで音が出ます。
通常、空気は軽いので、胃が食べ物でいっぱいの時は胃の上の方へ押しやられ、げっぷとして出てきます。
逆に、空腹時は押し出すものが胃から押し出すものが空気しかないので、音がでやすいのではないかと考えられています。
過敏性腸症候群(IBS)と腹鳴(ふくめい)
過敏性腸症候群(IBS)で悩まれてる方に話を伺うと、お腹の音が腹痛や下痢の前兆と考え、不安を感じるという方が一定数いらっしゃいます。
また、音がしなくても張った感じがすると苦しくて仕方がないという訴えをされる方も居ます。
過敏性腸症候群(IBS)は知覚過敏が背景となっているので、お腹が鳴るのではないかと注意をお腹に向けることで感覚が鋭くなり、小さな音でも拾ってしまう可能性は高いと思われます。
お腹の音自体は先ほど述べたように胃腸が空気を送っている、つまりしっかり動いていることを示しているので悪いこととは限りません。
しかし、いわゆる条件付け**によって腹痛や下痢などの症状と結びつけることで「しんどい」「つらい」「不安」などの感情とも結びつくことがあります。
分かっているけれどどうしても注意がお腹に向いてしまうという場合には注意を他に逸らす注意トレーニングなどが有効なこともあります。
また、症状よりも音が周りに迷惑をかけてるのではないかが気になってしまうという場合は、認知再構成という手法が有効なこともあります。
IBSに対する認知行動療法ではこれらの手法を体系化して学んでいただき、症状や不安の改善を目指しています。
IBSに対する認知行動療法に興味をもっていただけたら、ぜひ事務局までご連絡ください。
現在はcovid-19感染の状況を鑑みて、オンラインでの実施を準備中です。
2020年4月28日 修正
クリエイター:acworksさん
(1)解剖整理が良くわかる プチナース:2011.5.Vol.20, No.6